コロナ鬱(うつ)の手軽で効果的な予防方法 ~日光浴
日照時間が極端に少ない北欧諸国では、うつ病を患う人が多いといいます。これらの国では、自殺率が高いことでも知られます。また、日本でも「冬季うつ」と呼ばれる、秋や冬に発症するうつ病が広く知られています。
これらのことから、県別の日照時間の統計と県別の自殺率の統計を重ね合わせてみたら、なにかしら有意な結果がでるのではと、少し調べたことがあります。結果は次のとおり。予想外に高い相関関係が認められました。
表 自殺率の高い都道府県の日照時間の順位
※黄色のセルは、ワースト10位内であることを示す
それぞれ、当時(2016年)公開されている最新の情報を使ったものです(自殺率は2011年の統計、日照時間は2014年の統計)。
自殺率が最も高いのは秋田県ですが、年間日照時間が最も短い県も秋田県でした。
秋田県の自殺率の高さは、自殺率の高い中高年の年齢構成比が高いという説や、農薬の空中散布が多いため(有機燐への暴露によりセロトニンレベルに異常を来たす)などの説もありますが、その他の都道府県の年間日照時間と自殺率の関係を考え合わせてみれば、両者には高い相関関係が認められるといえるのではないでしょうか。
日光を浴びると、どうしてうつ病を遠ざけることができるのでしょうか。
日照率の低さによ光刺激が減ることで「幸せホルモン」とも呼ばれているセロトニンの分泌が減り、また、メラトニンの分泌が変化してしまい、脳の活動が低下してしまうことに原因があるといわれています。また、マサチューセッツ総合病院(米国ボストン)の研究によると、紫外線を繰り返し浴びたマウスが「βエンドルフィン」をつくり出すことを発見したとのこと。「βエンドルフィン」は「快楽ホルモン」として知られます。
一方、皮膚でつくり出されたビタミンDは、脳の神経細胞の核内受容体に結合して、脳の機能を活性化します。ビタミンDの不足がうつ病のリスクになることは広くいわれています。2013年に発表された「イギリス精神医学ジャーナル(The British Journal of Psychiatry)」で発表された「成人におけるビタミンDの不足と憂うつ:システムレビューとメタ分析(Vitamin D deficiency and depression in adults:
systematic review and meta-analysis)」では、ビタミンD欠乏症とうつ病の関係をメタ分析したものですが、1件の症例対照研究、10件の横断研究、および合計31,424人の参加者による3件のコホート研究が分析された結果、低ビタミンD濃度がうつ病に関連しているという仮説と一致したという結論が出ています(ただし、さらにランダム化比較試験による検証が必要とも書いてあります)。
日光浴をすることで、うつ病が改善されるというのは、間違いなさそうです。ただ、日光の浴び過ぎには注意してくださいね。暑くなく、天気の良い日は積極的にお散歩という程度がよいのではないかと思います。