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「頭が良い」とは… 大リーグ殿堂入りイチロー氏の言葉に思うこと

よく、「あの人は頭がいい」とか言いますよね。

この表現は、結構子供のころからよく聞き、よく使ってきたと思います。
小学校で勉強ができる子がいると、「頭いいなあ」と言われていました。
学力が高い=頭がいい という発想ですね。

でも、社会に出てから既に何年間かを過ごしている人であれば、必ずしも学力の高いことが社会での「頭の良さ」に繋がっていないと感じる機会も多いのではないでしょうか。

今日はそんなことを少し書いてみました。

社会に出るまでに要求される学力は?

学力の三要素ってご存知ですか?

2007年6月、それまでの「ゆとり」か「詰め込み」かの二項対立的な議論を回収するかたちで、学校教育法を改正して示されたものです。

簡潔にまとめると 
①知識・技能 
②思考力、判断力、表現力 
③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度 
となります。

文部科学省は、これらの要素を確実に育成・ 評価するため、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の三者の一体的な改革「高大接続改革」を進め、大学入学共通テストでも、2021年からは、ヒアリング重視の英語問題や、国語・数学での記述式問題の導入などの変更を行っています。

確かにこれまでの日本の教育では、高校で学ぶこと、入試で求められること、大学で学ぶこと、社会に出てから必要なことが異なっているので、それを接続しましょうというのは、よく理解できます。

ただ、この改革が奏功するのかに関しては、私自身はやや懐疑的です。

私は教育現場のことは詳しくありません。
ただ、自分が長く携わっている業種では、行政や機構が決めた方針がうまく機能したという経験がありません。

お役所から多くの報告が義務付けられるのに対し、具体的な指針についての評価基準が明確でなく形式的で、現場では労多くして功少なしとの印象が強かったのが実感です。

社会で必要とされる頭の良さとは

記憶力の良さは、確かに社会においても強みとなります。
これは、暗記中心と言われる従来の学力評価とも相関するものです。

文章を書く能力、基本的な計算能力などが、多くの業種で必要とされるものであることは間違いありません。
社会や理科で学ぶ一般常識的な知識なども、あった方が強いことは確かでしょう。

でもそれらの多くは、恐らく義務教育で学ぶ範囲でカバーされている様に思います。高等教育や大学入試で高得点を取るために必要な学力は、その範囲を超えて詳しすぎるのではないでしょうか。

では、社会で必要とされる「頭の良さ」とは何でしょうか。

私見ですが、
・物事をどう捉えるか
・それに対してどう考え動くか
この点に集約される様に思います。

社会で成功している人たち

現代社会で特に問題なく普通の生活を送っている人たちは、求められる頭の良さを持ち合わせているのだと思います。
ことさらに文部科学省の方針を意識する必要もありません。

ただ、大きな理想として、より高いものを求めていこうとするのであれば、世の中で多くのリスペクトを集めている、一流の人達の姿や仕事ぶりを拝見することが、大いに参考になると思います。

一流の仕事をされている日本人はたくさんいらっしゃいます。
科学者、ミュージシャン、建築家、プロスポーツ選手、旅館の女将さん、国際機関で活躍されている方、会社の社長さん、等々…。
すべて挙げることは不可能ですが、各領域に多くの素晴らしい方がおられますね。

頻繁に報道され多くの方に馴染みの深い野球の世界で言えば、イチロー選手や大谷翔平選手がまず頭に浮かぶと思います。
お二人とも、文部科学省が担当される「大学入試」「大学教育」を受けておられませんが、そのクレバーさには、いつも感心させられます。

何がクレバー、すなわち「賢い」「頭が良い」かって、とにかく自分のことを良く知っている、自分が何をやれば、目標に到達できるかが解っている、そしてそのための努力を習慣にして実行する術を知っている、ということですよね。

もちろん身体的な素質があってのことで、当然、同じように考える人でも、皆があんな風になれるわけではありません。でも、同じぐらいの身体能力を持っていても、活躍できず埋もれてしまっている人は、少なからずいるのではと思います。

大リーグ殿堂入りが決まった時のイチロー氏の発言

去る、2025年1月21日(日本時間22日)、イチロー氏は日本人選手として初めてアメリカ野球殿堂入りという快挙を果たしました。
得票率は99.7%でした。

イチロー氏についてはここで私がご紹介するまでもありませんが、2001年に日本人野手として初めて大リーグでプレーし、いきなり首位打者、盗塁王、MVPのタイトルを獲得。2004年にシーズン262安打を記録し、メジャーのシーズン最多安打記録を84年ぶりに塗り替えました。

19年間メジャーリーグでプレーし、日米通算4367安打を記録しました。10年連続で200安打を達成し、最多安打のタイトルは7度獲得しました。10年連続でゴールドグラブ賞を受賞し、メジャー通算509盗塁も記録しました。

そのイチロー氏が、殿堂入りが決まった際の記者会見で、記者からの質問に答えて以下の様なお話をしました。

才能ある人たちもたくさんいます。僕なんかもうとても比較にならないぐらい才能にあふれた人がいっぱいいます。でもそれを生かすも殺すも自分自身だということです。自分の能力を生かす能力はまた別にあるということは知っておいてほしい。才能があるのになかなかそれを生かせない人はいっぱいいます。けがに苦しむ人もいます。自分をどれだけ知っているかということが結果に大きく影響していることを知っておいてマイナスはないと思います。

【全文掲載】イチロー氏 アメリカ野球殿堂入り 会見で語ったことは | NHK | #大リーグ

「自分の能力を生かす能力はまた別にある」というのは、まさに名言だと思います。

自分を見つめて能力を評価し、それをどうやって生かすか。

正しく現実を捉え、目標があるならそれに対して何が強みか、何が足りないかを考え、対策を立て実行する。どうしたら実行できるかを考え、検証し軌道修正を加えながら進めていく…
これこそが、必要な「頭の良さ」ではないかという気がします。

一流アスリート達が使っているノート

イチロー氏に限らず、多くの一流アスリートは、目標達成のために自らの能力を分析・評価し、自分の能力を最大限に活用して目標に近づこうとしています。

大谷翔平選手のマンダラチャートは有名ですが、フィギュアスケートの羽生結弦選手の「発明ノート」、サッカーの中村俊輔選手の「サッカーノート」、卓球の伊藤美誠選手がコーチと書いた「師弟ノート」なども良く話題になります。

練習内容だけではなく、自分を見つめ、今足りないもの、目標を達成するために必要な課題などを書き出すことでわかりやすくし、やるべきことを明確にしているわけですね。
「学力」とは違う形で、とてもクレバーに頭を使っていると思います。

そしてこの方法は、スポーツで好成績をおさめるためだけでなく、社会で遭遇するあらゆる状況・課題に対して適用可能なものだと思います。

noteを書くことは、良い頭をつくる

アスリートが一流を目指すための「ノート」。
皆さんもう感じておられると思いますが、同じ音の「note」も同じ役割を果たす部分がありますよね。

自分を見つめ、考えを整理するためにnoteを書いている人も少なくないと思います。
自分自身も、これまで何となく生きてきた感がありますが、noteをはじめてから考える習慣がつき、日々しっかりと過ごせている様な気がしています。

私は、親から授かった命や能力は、人生のなかで最大限に生かしたいと思っています。 別に一流を目指すとか、お金をたくさん稼ぐのに使うとかではなく、単純に自分の人生を充実させたいということです。

自分の能力の活かし方を間違って、十分生かし切れていない部分があるのであれば、それは勿体ないと思うので、改善して楽しい人生を送りたい。 それは、単に社会に利用されるだけではなく、自分と周囲の人が幸せな人生を送るために必要な事だと感じています。



学力は大切です。

でも「頭の良さ」というのは、学力とは別にあるもので、社会でうまくやっていくためには学力よりも重要なものの様に思います。


以上、私見ですので、異論のある方も当然いらっしゃると思います。
大切なことは、人それぞれが、良い頭をうまく使って、賢明に生きていくことかなと思っています。

最後までお付き合い頂き、有難うございました。




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