女の朝パート22
6月24日月曜日。
時刻が正午を過ぎた頃女がやってきた。
皆がそうするように、ここでは女も同じ事をする。
女が買ったのはアイスコーヒーで、座った場所は円卓のある席だった。
多少の違いや好みは別として、女も、皆と同じように過ごしていた。
暗転
女がやってきたのはスタバである。
今日日そう言うのがスタバ女の仁義ではないのかと思うけれど、ここはスタバではなかった。
しかし、どうでも良い。
スタバであれ、どこであれ、
女は、女の仁義がどこにあるかのほうが今は重要だったから。
暗転
スタバ女の仁義なき闘いはスタバの中で繰り広げられていた。
女にとって、スタバで過ごしてきた記憶は、浮わついた気持ちでいる事よりも仕方がない事のほうが遥かに多かった。
リスクの危険は常にあったし、最悪の事態も起こりえたかもしれなかったと言うのに。
時が経ち今思う事は、おぞましいという事実とどうしようもなかった過去をこれからも背負っていくこと。
女は戦っていた。
出口が見えないトンネルを一人でさ迷うかのように、
スタバと言う箱の中で。
暗転
女は時々思い出す。
ワタシの目的はスタバではなく手段に過ぎなかったと。
だから厭わなかった。
大切な者を守る為だったから。
もしかしたら、わたしも、
皆と同じように、一生背負わなければならない苦しみにこれからも縛られ続けるのかもしれない。
だからスタバに来てしまうのだ。
一時も離れることのないスタバの中に身を置くことで、ワタシは多分報われたいだけなのかもしれない。
吉祥寺のアトレ2階にあるTULLY'Scoffeeにきた女は、
席に座るやいなや一人でどうでも良いことを呟いていたが、
ここまで言うと、何故だか笑った。
そして次の瞬間に写メをした。
今日はスタバじゃないの。
皆がそうするように、わたしもこれ見よがしの写メをするだけ。
所詮おまけに過ぎないから。
完