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読書記録『作詞入門』(阿久悠)5(読了)文字の価値を知る
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甘えをなくすこと
読み進めていると、「甘えをなくすこと」なんて言葉が飛び出し、相変わらず厳しいです。でも、優しさや愛情あっての厳しさだとも感じます。
後半では、作詞家になるためには、どのように売り込んでいけば良いかについて書かれていました。
「甘えをなくすこと」ときっぱり書かれるところが、冒頭からまったくぶれません。
売り込みの際も「経験が浅いですが……」なんて言葉を突き返します。
売りこみの時の基本姿勢として、「私は、あなたにとって、こんなにプラスになることを考えてきた。どうだろう。一つ検討してはもらえないだろうか」であるべき
このお話は、どんな仕事でも売り込む際に通用するのではないでしょうか。
阿久悠さんがヒットを生んだ秘訣は、才能以上に、このようなひたむきさによって培った能力が大きい気がします。
才能だけではないといっても誰でもできるわけではありません。そもそも、このような強い意思こそ誰でも持てるわけではないでしょう。
歌謡曲との出会い
最後の章は阿久悠さんの歌謡曲との出会いについて書かれています。
この章だけ、文章からにじみ出る雰囲気が他の章とは違う気がしました。
これまでは解説であったのに対して、この章はモノローグのような語り口調で、阿久悠さんの半生を綴った自伝のような文でした。
敗戦を通じて感じたこと、作詞家になるまでの道のり。
何を思い、何を感じて、歌を通してどのように社会と接してきたのか。
思いが詰まっていて、目の前で阿久悠さんが語っているかのような文章です。
阿久悠さんが2007年に亡くなられて、15年も経とうとしているのに今も目の前にいるかのように教わることができるなんて、文字が持つ力はすごいですね。
このような文章を書けるようになりたい。
ただただそう思いました。
この本は、一度では消化しきれないので手元に置いて何度も繰り返し読みたいです。
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