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《詩》月夜の調べ

月の雫はほろほろと

やがて海を作りだす

人の涙は心となり

いつかぬくもりとなるのでしょう


歩きだすあなたの背中を見ていた

幼き日に憧れた道の上を

あなたは確かに歩いている

気づくこともないだろう

人は気付かぬうちに夢の上を歩いている


海は

穏やかな海は月明かりに照らされている

月の水滴でできた水平線のあの場所

目を細めていた

遠くを見ていた

海は答えなかった

海は海だから


語る術を持たない海は

或いは言語が違うだけだと

私がそれに気付かぬだけでも

確かにそこに愛を調べ

夢を見てしまうのだ

憧れが

やがて今となってあなたに訪れると

あなたはやはり気付かぬのだろう


憧れはいつの日にか

あなたの常となっている

あなたのかけらが

あなたの光が

どこかの誰かの胸に降り注ぐ


月夜の夢が

照らされた雲さえも

希望の波間と

映るのだろう


月の光の注ぐ海を



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