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銀河英雄伝説

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てんぐが最も愛するSF小説のひとつ「銀河英雄伝説」に関連した記事をまとめています。
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記事一覧

てんぐの2024年振り返り:ノイエ銀英伝編

てんぐの2024年振り返り:ノイエ銀英伝編

 今日は年の瀬の振り返り記事シリーズ第二弾です。
 昨日の日常生活編に引き続き、今日のお題はノイエ銀英伝。
 本来なら映像作品編のひとつに組み込むのが筋なんでしょうが、どうせ話が長くなるのが目に見えてるので、思い切って別項にしちゃいました。

夫婦の会話:ノイエ銀英伝編

 以前にeテレで放送された第1、第2シーズンに引き続き、テレビ初放送の第3シーズン「激突」編、第4シーズン「策謀」編、毎週録画

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第48話 フェザーン占領~黄昏時は神話の幕開け

てんぐのノイエ銀英伝語り:第48話 フェザーン占領~黄昏時は神話の幕開け

 ノイエ銀英伝とりあえずのフィナーレは、銀河を三分する勢力のひとつ、最も戦禍から遠かったはずのフェザーン自治領に不意に訪れた黄昏どき、そして新たな皇帝による神話の幕開けでした。

フェザーンの征服者ミッターマイヤー

 今週の回は朝にうちの奥さんと一緒に録画視聴してたんですが、ミッターマイヤーが艦隊クルーに対して出兵の真の意味を演説したシーンで、「ここで双璧の明暗が分かれたね」って言ったんですよ。

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第47話 鎮魂曲への招待~今回は珍しくケレン味を出してきたな

てんぐのノイエ銀英伝語り:第47話 鎮魂曲への招待~今回は珍しくケレン味を出してきたな

 いよいよノイエ銀英伝地上波放送もあと2回。そして、銀河の運命が大きく動き出すときが訪れました。

ユリシーズ艦長ニルソン中佐とユリアン・ミンツ

 上官の手が物理的に届かないとわかると途端に口が軽くなるというヤン艦隊の気風の標的にされた不機嫌極まりないユリシーズ艦長ニルソン中佐ですが、あのアホな部下(ちなみに名前はフィールズ中尉と申します)はなんで「ウチの艦長ってユリアン推しの腐男子なんだよー」

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第46話 作戦名『神々の黄昏(ラグナロック)』~ユリアン劇場を本編ラスト5分でひっくり返す歴史のメインエベンター

てんぐのノイエ銀英伝語り:第46話 作戦名『神々の黄昏(ラグナロック)』~ユリアン劇場を本編ラスト5分でひっくり返す歴史のメインエベンター


神々の黄昏、開始前夜

 ……呼ばれちゃったかな?(呼んでねえ座ってろ)
 実は、てんぐのハンドルネーム“ラグ”って、ラグナロクが由来なんですよね。といっても、北欧神話の終末戦争ではなく、FF8の飛空艇の方ですが。

 ところで、飛空艇ラグナロクって、ノイエ版バルバロッサ号にちょっと似てる気がするんですよね。

 で、そのラインハルトによる同盟侵攻作戦「神々の黄昏」。同盟の諸星系や艦艇名はかつて

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第45話 皇帝廃立~文化開放の春から軍国主義の夏へ

てんぐのノイエ銀英伝語り:第45話 皇帝廃立~文化開放の春から軍国主義の夏へ

 今週もノイエ銀英伝語りのお時間でございます。
 今回もかなり読み解き甲斐のある回でした。

ヴァレンヌ逃亡事件の再話~帝国平民の反応

 銀河帝国正統政府に対するラインハルトの宣戦布告に触れた帝国平民ですが、当然のごとく「与えられた」諸権利を奪われる危機意識と合わせて怒髪天をついてましたね。
 で、この反応を見ていて頭に浮かんだのが、フランス革命期に発生したヴァレンヌ逃亡事件でした。

 ルイ1

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第44話 旅立ち〜少年は、ついに自分のドラマの主人公に

てんぐのノイエ銀英伝語り:第44話 旅立ち〜少年は、ついに自分のドラマの主人公に

 物語の“主人公”としてのラインハルトは、三国志演義で言えば曹操のようなピカレスクヒーローなんですよね。帝国の支配者として時代を牽引し、社会の最大多数の要望をダイレクトに叶え、何より華もあるから擁護者も多い。芳樹御大の若い頃からの曹操びいきを反映させてるとも言えます。だけど客観的に見れば、「それ主人公のやるこっちゃないだろ」って所業も色々と多いんですよね。
 これに対しユリアン・ミンツはというと、

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てんぐのノイエ銀英伝語り:「真なる中立」としてのノイエ版トリューニヒト

てんぐのノイエ銀英伝語り:「真なる中立」としてのノイエ版トリューニヒト

 昨日の記事でちょっと触れ損ねたんですが、ノイエ版トリューニヒトってどうにも気持ち悪いんですよね。それも、原作や別媒体とは明らかに異質なんです。

 ノイエ版トリューニヒトの異質さ、訳のわからなさについては、前に書いたこの記事でも触れてました。

 ただ、あれからだいぶ経って、今週の銀河帝国正統政府受け入れやラインハルトからの宣戦布告を受けてからの反応を見ると、もっと訳がわからなくなります。

 

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第43話 宣戦布告~ノイエは相変わらず社会と人々を描くのがうまい

てんぐのノイエ銀英伝語り:第43話 宣戦布告~ノイエは相変わらず社会と人々を描くのがうまい

 はい、今週のノイエ銀英伝語りの時間がやってまいりました。

 前回の幼児誘拐犯銀河帝国正統政府発足の話もですが、今週のエピソードもテンションが上がりました。今までの銀英伝では原作含めて軽視されていた部分、即ち生の民衆目線での同盟社会の描写に満ち満ちてました。まあ、地味は地味なんですが。
 というか、今週の話って、帝国社会を描いたあの28話と対になってるんですよね。

衆愚の一言で語るなかれ、多種

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第42話 銀河帝国正統政府~ノイエ制作陣の空間把握能力が高すぎる

てんぐのノイエ銀英伝語り:第42話 銀河帝国正統政府~ノイエ制作陣の空間把握能力が高すぎる

 今週のノイエ銀英伝は、本当に楽しみにしてたというか、劇場で見た時も「こんなに地味な回なのに内容が濃すぎる!」と震えが走った回でした。
 端的に言っちゃうと、ノイエのスタッフって、作劇的な意味での空間把握能力がべらぼうに高いんですよ。
 ひとつひとつに意味を見出せる各シーンでのキャラクターの振る舞いや立ち位置もそうですが、もうひとつはイゼルローン要塞の立地環境の意味。
 小野不由美が徳間文庫版の解

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第41話 矢は放たれた〜放たれた矢が貫くものは?

てんぐのノイエ銀英伝語り:第41話 矢は放たれた〜放たれた矢が貫くものは?

 アメリカ大統領選の結果は衝撃的でしたが、あまりにも完全に勝敗が決まったので、かえってサッパリとした気持ちで今週のノイエ銀英伝を録画視聴してました。
 と思ったら、かなり時事にマッチしてるサブタイトルにスリルを感じてしまいますが。
 というわけで、今週のてんぐのノイエ銀英伝語りの時間です。

ノイエのヒルダはチョロくないぞ

 予告動画のサムネイルになってるヒルダ嬢、かなり怒ってましたなあ。
 ア

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第40話 迷宮~とっちゃん坊やと出来損ないの冒険者による幼児誘拐事件

てんぐのノイエ銀英伝語り:第40話 迷宮~とっちゃん坊やと出来損ないの冒険者による幼児誘拐事件

 今週のノイエ銀英伝ですが、完全に目つきがキマッてるこのとっちゃん坊やが生きながら地獄に堕ちるまでの第一歩を踏み出す回でした。
 まあ、それくらいの罰は受けて然るべきだとは思いますけどね。

ど真ん中の「キルヒアイスが生きていたら」案件

 幼帝誘拐事件については原作や石黒版、それにフジリュー版と見てきましたが、このノイエ版で初めて、エルウィン・ヨーゼフというひとりの子供のための怒りが込み上げてき

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第39話 雷鳴~“言葉”の重さと怖さ

てんぐのノイエ銀英伝語り:第39話 雷鳴~“言葉”の重さと怖さ

 今週の予告動画サムネイルのボルテックですが、初登場の頃は能吏って感じだったのに、なんか急に卑しい顔つきになっちゃったなあ。
 これは、相手をナメて掛かってたからなのか、それとも実はガチガチに緊張していたからなのか。
 そんなわけで、今週のノイエ銀英伝語りの時間ですが、テーマは「言葉の重さ」、あるいはそれを自覚しすぎるくらい自覚する生き方が沁みついた人と、それを知らない人、知らずに生きてこられた人

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第38話 決意と野心~ラインハルトという渦に振り回される人々

てんぐのノイエ銀英伝語り:第38話 決意と野心~ラインハルトという渦に振り回される人々


新章開幕! ……を告げるバラエティ丸出しのテロップ

 ノイエ銀英伝地上波放送も、今週から本格的に4thシーズン「策謀」編がスタートです。
 なので、これまでの振り返りがあるんですが……あの地上波バラエティ丸出しのテロップはどうなのよ? なんぼ日テレって言ってもさあ。
 実質タダでノイエ銀英伝見れてるしTverで見逃し配信もされてるから文句は言いたくないけど、作品との世界観が乖離しすぎてるんだよ

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てんぐのノイエ銀英伝語り:第37話 要塞対要塞 AktIV 決着~ラストラウンドでの激突はプロとプロの矜持とスキル

てんぐのノイエ銀英伝語り:第37話 要塞対要塞 AktIV 決着~ラストラウンドでの激突はプロとプロの矜持とスキル

 劇場公開時には第4シーズン「策謀」編の最初のエピソードとなった第37話ですが、今回はむしろ第3シーズンのラストラウンドといった趣きでした。

撃墜王ケンプ最後のフライト

 ガイエスブルグをイゼルローン要塞に突入させる。
 この決断に至ったとき、歴代のケンプに対しては「ついにイカれたか、このおっさん!」と毎回感じておりました。
 でもノイエでは、それまでの表情の険しさがスッと抜けて、極めて冷静な

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