「ジョジョの奇妙な冒険」で学ぶ皇位継承の用語("男系・女系")
今回は、私が好きな「ジョジョの奇妙な冒険」に触れながら、難しそうで敬遠しがちな天皇家の継承問題に関する用語を学んでみようというものです。
実学と雑学どちらか一つの切り口に興味があれば読んでいただきやすいと思います。
・実学:皇位継承問題(男系・女系という用語)
・雑学:「ジョジョの奇妙な冒険」の主人公の歴史
「男系」と「女系」とは
まずはそもそも、「男系」とは「女系」とはという点を考えみましょう。
特に「女系」という言葉が”性別としての女性"と混同されやすいです。
例えば「女性天皇は容認」と言った場合、必ずしも「女系天皇」を認めることを含意しないのですが、両者が混ざってしまっている人も居ると思います。私もしっかり考えるまでよく分かってませんでした。
では、ある家系をモデルとして、その「家長」を誰が継いでいったかというケースを場合分けしながら考えてみましょう。
A:「男系男子」
家長のルートを"男性"で辿っていくことが出来るのが「男系」です。
以下の場合は「おじいさん」を最初の家長とした場合、2代(父と息子)に及んで男系と言えます。
B:「男系女子」
以下の場合はどうでしょうか。
女性である「娘」が家長を継いでいますが、実はこの段階では「男系」で継承されていると言えます。なぜなら「娘」は"父(男性)"の子供だからです。
性別としては女性のため、「男系女子」となります(※「○系」という概念は、性別とは別の概念であることがポイントですね)。
C:「女系男子」
さて、それではもう一世代さきに進めてみましょう。
以下の場合、"娘"が女性であるため、それ以降の代は「女系」ということになります。性別が男子であれば「女系男子」です。
ここで注目したいのが、"娘"の配偶者は一体誰なのか・どのような位置づけの人だと評価できるかということです。これは、一族の外部にいた男性ということですね。つまり女系ラインは「外部の男性」との繋がりを意味します。
とすると、天皇陛下が現在に至るまで一貫して男系継承であるということは「一族以外の男性の血が入っていない」という事を意味します。もちろん、各世代が子だくさんであれば男系継承を維持することはある程度可能だったでしょうが、現在は天皇家といえども少子化が進んでいるため選択肢が限られてきてしまいます。この辺りが、男系女系に関する議論のポイントになっているということですね。
D:「女系女子」
当然ながら、最後を女子に変えれば「女系女子」ということになります。
ジョジョにおける「ジョースター家」とは
さて、小難しい話が続きましたが、ここでタイトルの通り「ジョジョ」のことを考えてみましょう。ジョジョは、主人公の一族「ジョースター家」にまつわる冒険のお話です。
エピソードのまとまりは"部"に分かれていて、それぞれの時代にジョースター家の人間が登場します。何世代にも渡っているというのがポイントです。そこに、何世代にも渡って宿敵「ディオ」が絡んでくるのがモーレツに熱いポイントなんですよね・・
そのジョースター家の家系図がこちらです。
では、ひとつのまとまった世界観を形成しているジョジョ「第1部~第6部」の主人公が男系なのか、女系なのかを見ていきましょう。
第1部「ファントム・ブラッド」ジョナサン・ジョースター
ジョジョシリーズの幕開けである今作。
イギリスを舞台とした、すべての元祖となるシリーズです。その主人公は誇り高き(暑苦しい)ナイス・ガイである「ジョナサン・ジョースター」。
以降は彼が「ジョースター家の初代家長」だったと便宜的に置いて、部が進むごとに主人公が継承していったという仮定で見ていきましょう。
第2部「戦闘潮流」ジョセフ・ジョースター
続くシリーズは、何十年か後のアメリカが舞台。
ジョナサン・ジョースターの孫である「ジョセフ・ジョースター」が主人公です。高潔だったジョナサンから一転、破天荒で機転が利き、とにかく明るい性格ですね(羨ましい)。
彼はジョナサンの「孫」なので、その間の世代も見てみます。
ジョセフの父は、ジョナサンの"息子"である「ジョージ二世」であることが分かります。つまり男性のラインで繋がっているため、「男系男子」ということになりますね。
第3部「スターダスト・クルセイダーズ」空条承太郎
続いては第3部。言わずと知れた「スタンド」という能力が初めて登場した回です。
舞台はアジアからエジプトまで、世界を股にかけていきます。このシリーズでジョジョ人気は爆発的に伸びたと耳にします。
特殊能力を擬人化・可視化する描写はまさにマンガ界に置きた一つの革命ですね・・・荒木先生恐るべし。
さて、その主人公「承太郎」ですが、位置づけは第2部主人公「ジョセフ」の孫です。ただし、繋がりとしてはジョセフの"娘"「ホリィ」が、空条家の男性と結婚して出来た子供です。
この時点で、ジョセフと承太郎の間に外部の男性が入っていることになりますね。(言い換えると、男性のみを辿るルートでは、ジョセフに遡りつけないということが分かると思います。)
つまり承太郎は「女系男子」ということになりますね。
もちろん、「女系」というのはあくまで整理上の分類に過ぎず、よく言われている「血の濃さ」という意味では間違いなくジョースター家のものであり、ジョセフとは二親等の近さです。
ただ本当に勝手に、何となく彼には男系のイメージがあったため意外でした。
第4部「ダイヤモンドは砕けない」東方仗助
続いては、日本の仙台市をモチーフにした街が舞台となる第4部。主人公は「東方仗助」という青年です。
余談ですが名前の部分が「仗=ジョ」「助=ジョ」ということで「ジョジョ」なんですね。みんなが抱く疑問らしいですが、分かると気持ちいいですね。
さてその「仗助」ですがなんと、驚きの「ジョセフの息子」です。
ジョセフがそれなりにオジサンになってから、日本滞在時に愛人との間にできた子供が仗助でした。
ということは・・・男系である「ジョセフ」から直接繋がっているので、仗助は「男系男子」と言うことになりますね。
ここにきてまさかの、男系回帰です。
第5部「黄金の風」ジョルノ・ジョバァーナ
イタリアを舞台とした第5部。マフィアの内部抗争をテーマに、イタリアの風景も相まってオシャレな雰囲気抜群のシリーズです。
その主人公「ジョルノ・ジョバァーナ」ですが、こちらは扱いが非常に難しいです。なんと、ジョースター家の永遠の敵である「ディオ」の息子ということになっています(日本人女性との間に出来た子供らしい)。
ただ、これまたややこしいのですが、ディオは第1部の主人公である「ジョナサン」の体を乗っ取る形で生き残っていました。つまり"体はジョースター家"という風にも言えます。
そのため解釈が非常に難しいですが、仮に上記のように考えると、生物学的にはジョルノの息子ということもできます。従って「男系男子」という見方も出来るでしょう。
(ジョルノは、主人公として「黄金の精神」をもった清らかな性格ではあるのですが、性格面や口癖の部分でディオの影響を感じる部分もあり、誰の息子なのかということは一概には言いづらいですし、突き詰め過ぎても野暮かなと思ったりしています)
第6部「ストーン・オーシャン」空条徐倫
最後はアメリカが舞台となる「監獄モノ」で、脱獄の緊張感も感じられるスリリングなシリーズです。
初の女性主人公。「空条徐倫(ジョリーン)」は、父親に愛されなかったという心の渇きを抱えながらも、その父親を含めた一族の宿命を背負って、高潔に敵と対峙していきます。
その父親とは、なんと第3部の主人公である「承太郎」。すでに触れたとおり、承太郎は「女系男子」であることから、その娘である徐倫は「女系女子」ということになりますね。
※仮に、承太郎を起点に考えると男系になります。
シリーズのまとめ
一つひとつ見てきましたが、まとめると以下のようになります。
第1部:ジョナサン・ジョースター
→最初の「家長」と仮定
第2部:ジョセフ・ジョースター
→A:男系男子
第3部:空条承太郎
→C:女系男子
(補足として、承太郎の母「ホリィ・ジョースター」はB:男系女子)
第4部:東方仗助
→A:男系男子
第5部:ジョルノ・ジョバァーナ
→A:男系男子(解釈の幅あり)
第6部:空条徐倫
→D:女系女子
いかがでしょうか。
一番分かりづらいかも知れないパターンCの「女系男子」ですが、一番人気と言っても過言ではない承太郎が該当してくれたのは理解の助けになるため、良かったなと思いました。
また、パターンBの「男系女子」は主人公としての該当はないものの、ジョセフの娘(承太郎の母)である「ホリィ・ジョースター」が該当してくれました。
最後に
今回は、長い歴史を持つ人間賛歌コメディ「ジョジョ」の主人公をもとに「男系」「女系」という単語に触れてみました。
私は、実社会で起こっていること・議論されていること(実学)と、フィクションの世界で扱われているテーマや豆知識(雑学)を繋げて理解を深めることが面白いと考えていますので、今後もこんな感じの記事を書いてみたいと思います。
それでは!
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