#将棋がスキ
異世界将棋道場 いざよい 第3話
カーヌーンガルドが現在のような小国の連合体となったのは、300年前のことだ。それより前は、強大な外国勢力の支配下にあった。
だが、千年前。カーヌーンガルドは古代帝国ソーナの中心地域として繁栄を極めていた。古代帝国は大陸の大半を支配下におき、古代文明の極地に達していた。行政技術、農業の生産性、建築技術等々はソーナ帝国の時代を頂点とし、その後衰えた。天才レオナルドをもってしても、ソーナ時代の水道橋
異世界将棋道場 いざよい 第2話
昼間の問屋街は多くの人でごった返していた。
革製品、毛皮、織物…様々な商品がうずたかく積み上げられた、迷路のように入り組んだ路地はそれだけで圧巻だ。
ここに来れば何でも何でも揃う。値段も安い。
売り手と買い手の間で飛び交う交渉の声が増幅され、あたかも蝉時雨のようだ。ここで売られている商品が、都市生活の日用品となっていくのだ。
だが、静まり返った店が一つ。染料・顔料の問屋、ベルニケだ。
異世界将棋道場 いざよい 第1話
「何度来てもらっても、教主庁からの仕事は引き受けねえからな」
荒々しい鑿跡が残る彫刻や、神話の一場面が描かれた油彩画が散乱したアトリエに野太い声が響いた。
「でも、レオナルドさん。オジュマル共和国に、聖堂の設計ができる人間はいないんだ。いや、カーヌーンガルド全体でも、数える程しか人材はいないんだぞ!」
「それに、これは教主様から直々のご命令だ!」
「けっ!」
椅子に腰掛け、踏ん反り返るレオナル