自閉スペクトラム症(ASD)とは
自閉スペクトラム症とは
発達障害のひとつであり、以前は「自閉症」「アスペルガー障害」「広汎性発達障害」と呼ばれていたものにあたります。
その特徴は主に対人コミュニケーションへの苦手を抱えているというものですが、タイプは人によって様々です。近年ではこれらを細かく分類するのではなく、“光のスペクトラム”のように一連の・連なったカテゴリとして捉えることが大切であるという考えが広まり、自閉スペクトラム症という呼び方になりました。
●特徴
主に、以下の特徴を抱えられます。
① 社会性の乏しさ
② コミュニケーションの質的な特徴
③ 想像性の欠如
これらの特性を持ち、対人コミュニケーションの場面において著しく困難を抱えてしまい、社会生活に支障が生じてしまいます。
以前の分類であるアスペルガー障害には、言葉の遅れはないものの、コミュニケーションの困難さが生じてしまうことが特徴であり、広汎性発達障害には以上の3つ全てではないがいくつかの組み合わせによって同等の困難を抱えやすい、という内容になっています。
●症状
上記の特性を抱えているため、多くは対人コミュニケーション場面で困難を抱えられることになります。
・視線が合わない/合いにくい
・表情変化や感情表現が乏しく、無関心・無表情にみえることがある
・会話がなりたたない、オウム返しになっている
・集団にはいることができず、一人行動が多かったり、遊び方が独特である
・いわゆる“空気をよむ”ことが難しい
・こうすべきという信念のもとで判断/行動するが、周りとズレていることが多い
・とっさの変化に対して柔軟な対応ができない(臨機応変が難しい)
・ある特定の物事への興味関心は強く、没頭することができる
これらは症状のほんの一例であり、人によってその表れ方(困り方)は様々となります。
●治療・改善
自閉スペクトラム症に伴う特性は、生まれつきのものであり、子どもの時から困難を抱えているということが判断基準のひとつになります。
大人になるにつれ、我々は様々な困難に対しての対処方法を体得してゆくものであり、時間がたつにつれ発達障害であるかどうかの診断は難しくなってしまいます。
可能な限り早い段階で、医療機関や専門窓口に相談し、理解~治療に進むことが重要です。
●心理カウンセリングでできること
自閉スペクトラム症に関わる特性は“もって生まれたもの”である以上、根本的に取り除いたり変えるということはできません。
特性を自分自身・家族・支援者らが正しく理解し、いかに社会生活に“マッチする”かを考えそれを目指した対策や、ストレスマネジメントを積み重ねることが大切となります。
また、癇癪や多動・こだわりなど個別の症状については、服薬によって改善する場合がありますので、専門医に相談しながら治療を進めることも重要です。
心理カウンセリングでは、普段なかなか打ち明けられない悩みを話し、吐き出す場としてご利用いただき、心理的な安定をサポートいたします。また、心理検査を受けていただくことによって得意・苦手を客観的に捉えることができ、特性に合わせた対策を助言させていただくことが可能です。
家族・支援者への心理教育や、ストレスマネジメントについてもお伝えいたします。