#174 定期昇給で従業員に長期投資する 24/5/18
みなさん、こんにちは。
今日は、評価査定における給与原資の配分について考えます。
考えるきっかけは、評価キャリブレーション会議の一コマです。どの会社においても、給与査定・昇給の予算は決まっています。ここ2年は、政府要請もあり、賃上げムードが形成されています。
さてその給与昇給原資を、だれに、どう配分するか、にその企業や部門、評価者たる管理職の思想・信条が現れたりします。その様子から、人事部門の1人として考えたことを共有してみます。
(実例を基に編集しています)
当社は、定期的に新卒の採用と中途経験者の採用をしています。年々、社員の在籍期間も長くなり、段々と社員が長く勤める会社になりつつあります。ですから、年次年代でいうとそこそこ世代均等に階層化された組織構造を形成し始めています。そうなると、うれしい悲鳴ですが難しいのが給与原資の配分傾斜のつけ方です。
年齢や性別、職制を問うことなく、評価され、昇給もされる人事制度であり、その運用もそこそこにいい具合にできていると考えています。ですから、評価者の戦略性や価値観が、部門の方針が、原資配分に現れると言っても過言ではありません。
ある部門の課長の数名が、キャリブレーション会議でこんな発言をされていました。
「原資予算との兼ね合いで、相対的評価をして原資配分の優先度に差を付けました」
「その結果、新卒1,2年目の昇格・昇給を少し押さえることになりました」
これも1つの価値観ですから、良い悪いと二項対立するのもではありません。それでもなお、違和感を覚える強度のつけ方だと、わたしは考えました。
「新卒1,2年目であれば、仕事で取り組んだことはすべてが身になるくらい、吸収力の高い層です。その人たちの昇給を劣後させて、ベテランやすでに高給に位置づけれる層に定期昇給的な配分を行なうのはどうなのでしょう。今年も、賃上げ文脈から、等級に若い層はベースアップもしています。その意味合いを考えても、この配分でよいのか、考え直したほうがよいのではないでしょうか」
こう申し上げました。
仕事の性質上、ベテランや主力メンバーを高評価してしまう事業構造と評価者心理の両方が存在していると考えます。
前者の事業構造は、現場の成果やパフォーマンスをけん引するのが、最終的な顧客満足を実現するのは、現場責任者やベテラン・主力メンバーだからです。彼ら彼女らのプレイングが占める割合が成果貢献に相当影響することも事実です。
後者の心理は、評価者の課長職が直接的に日常接点を持つメンバーは、やはり現場責任者や主力メンバーたちです。すると、人の性質として、心理的距離の近さ、単純接触頻度の関係で、親密さを感じてしまい、評価者バイアスが働いてしまいます。
それでも、これらの障壁を排して、等級の若い、あるいは新卒・第二新卒世代の成長著しい層に対して、厚めの給与原資配分によって手当てするのが、時間軸を長く見ても良いと考えます。
結果、わたしたち人事のモノの見方も理解・共感してくれ、評価の見直しに至りました。
さて、管理職経験のあるみなさんは、どのように給与原資の優先度をつけ、それをどのように解釈されていらっしゃいますか。
それでは、また。