Racco

企業人事に携わって15年ほどです。人事、採用の日々の活動から感じることを、従業員、経営、社会の視点から、考えたことをまとめます。

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#105 採用と人材育成のターゲット【2/2】24/3/10

みなさん、こんにちは。 前回に引き続き、どんな人材を採用し、どんな人材を社内に増やすか、を考えます。 前回のおさらいです。 仕事ができる・できない×人間性が良い・悪い、の二軸で採用や人材育成のセグメンテーションを切って考えてみます。         人間性が良い     人間性が悪い 仕事ができる  A:みんながほしい  B:現実の利に目を瞑る  仕事ができない D:変化なければ排除 C:避けたい 各セグメントの従業員や採用候補者に対して、マジョリティのビジネスパーソン

    • #272 キャリアデザインは意味を問い直す「金継ぎ」である 24/11/22

      こんにちは。 今日は、久しぶりにキャリアについて考えます。 以前から、わたし自身の考えの基礎にあるのは、「キャリアは描くものではない、積み重ねるもの」があります。それは、今のところ変わらない考えの1つです。その積み重ねた経験が、学びとなって昇華され、キャリアになります。 表層的にいえば、その経験から仕事で使いこなせるようになったことをスキル、手技と言えかえることができます。このスキル習得によって、手技として使いこなせる、エンジニアリングできることは、仕事で価値を生むには役

      • #271 守破離の「守」は、完コピする 24/11/20

        こんにちは。 今日は、仕事の熟達段階初期における、習得ポイントを考えます。 (実例を基に編集しています) 先日、半年前に異動してきたメンバーAさんの仕事の仕方を見ていて考えたことがありました。まず、異動して半年のAさんにとっては、大半の仕事は初めての分野です。 とある研修内容の刷新を任されて、その企画策定に四苦八苦していました。任された、といっても、丸ごと一からひとりで考えてくださいね、と渡された仕事ではなく、上長課長のBさん、同じチームの同僚Cさんを巻き込んでの、案件オ

        • #270 役割が変わったら、価値規範を学びなおす 24/11/18

          こんにちは。 今日は、昇進や異動などで役割が変わった際の適応課題について考えます。 先日、マネージメントの研修内容をチームで考えている中で、マネージメントの役割が段階によって違いがあることを、自社なりのステップに分解したいとなりました。段階の言い方はさておき、初級、中級、上級のように3段階のステージにおいたとします。 上級を事業責任者、執行役員、取締役など経営チーム、ボードメンバー階層とします。 中級は、範囲がやや広く、一般に言うミドルマネージメント、中間管理職の範囲とし

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        #105 採用と人材育成のターゲット【2/2】24/3/10

        • #272 キャリアデザインは意味を問い直す「金継ぎ」である 24/11/22

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          #269 コミュニケーションにおける認識ちがいは「時間軸」が合っていないことが多い 24/11/15

          こんにちは。 今日は、久しぶりにコミュニケーションを取り上げて考えます。 意見が異なったり、ある主張に対して大きく反対意見が訴えられるときに、比較的その相違、食い違いが「時間軸のズレ」に起因することが多いな、と感じることがあります。 いくつか記憶を辿ってみます。 数年前に、自分たちの事業のケイパビリティとしての専門性、強みが何かを考えるタイミングがありました。中期経営計画を考えるタイミングでした。最終的に意見を収束させるフェーズにおいて、ボードメンバー間の数名が大きな反

          #269 コミュニケーションにおける認識ちがいは「時間軸」が合っていないことが多い 24/11/15

          #268 人材育成は発達課題を点と点を線で結ぶ 24/11/13

          こんにちは。 今日は、人材育成、とりわけ個人に焦点を当てた成長支援を考えます。 一般的には人材開発と言われることです。 評価制度に、目標管理を導入している企業・人事部門は多いと思います。その期初の目標設定において、個々人が自分の成長目標的なことも設定したり、設定はしなくても業績・成果目標を達成するために自分自身がどのようなスキルや知識を習得する必要があるか、考える時間があります。外形的な理屈としては、言葉どおりです。 では、いざどうやってそれを解像度高く目標や課題にしてい

          #268 人材育成は発達課題を点と点を線で結ぶ 24/11/13

          #267 現代アート「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」展の感想 24/11/11

          こんにちは。 今日は、内藤礼さんの「生まれておいで 生きておいで」を鑑賞した感想を共有します。 本展は、2024年6月25日 ~ 2024年9月23日に東京国立博物館で開催されていました。内藤礼さんの作品は、ベネッセアートサイト直島の「このことを」家プロジェクト きんざ、豊島の「母型」豊島美術館で鑑賞しました。とりわけ、「母型」の世界観には、心を真っ新な状態にさせられる、瞑想的な感覚を持つ体験をさせてもらい、感銘を受けたことを覚えています。 さて今回の展示でも、その「母型

          #267 現代アート「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」展の感想 24/11/11

          #266 目的と手段の切り方が戦略ストーリーの善し悪しを決める 24/11/8

          こんにちは。 今日は、ストーリーづくりを考えます。 経営方針・戦略にはナラティブなストーリーがあるとベターと言われます。サービスや製品の機能的な差別化・違いがほとんどなくなってきている、それを価格差で勝負すること、これも段々と行き詰ってきていることが背景の1つと考えます。機能的に役立つ、その価格も圧倒的に安い、が成立しなくなり、ユーザにとって情緒的な価値の「意味」が差別化要因として際立つようになってきたからと考えます。 その情緒的価値「意味」をつくるのに、ナラティブにスト

          #266 目的と手段の切り方が戦略ストーリーの善し悪しを決める 24/11/8

          #265 500名のベクトルを合わせるオフサイトミーティングの難所 24/11/6

          こんにちは。 今日は、ベクトルあわせをテーマに考えてみます。 (実例を基に編集しています) 半年ほど前に、新たな経営方針や戦略を、経営陣がミドルマネージメント層に共有する場がありました。オフサイトミーティング、ワークショップ的な意味合いの場です。 その時点で、当社には500名ほどのミドルマネージメントの役割を担う人たちがいます。そのキックオフミーティングの半年ほど前に、事業・組織編成に割と大きな変化方針が打ち出されました。その時期が近付いてきたこともあっての決起的な場であ

          #265 500名のベクトルを合わせるオフサイトミーティングの難所 24/11/6

          #264 「良い」の基準を問い直す学習 24/11/4

          こんにちは。 今日は、経験学習や組織学習の「学習」を考えます。 学習する・学ぶとは、成長することとほぼ同義だと考えています。 ビジネスパーソン個人の、そして、その集合体としての企業組織、あるいはその中のチーム単位の成長があります。それから、スキル習得・マスターリングの意味合いの成長と、持っている規範や価値観の前提が変容する学習・ラーニングによる成長の位相があると考えます。 個人からチーム、組織への広がりと、 習得・マスタリングから学習・ラーニングへの階層の深さ、があります。

          #264 「良い」の基準を問い直す学習 24/11/4

          #263 「今ここ」をコラージュして組み合わせる人事が競争力になる時代 24/11/1

          こんにちは。 今日は、人事の企画立案とその実装・実行のあり方を考えます。 企画といえば、完全なる設計図を描くことを想起します。その設計図づくりには、かなり緻密なリサーチやステークホルダーの要求事項をバランスするなど、計画フェーズに多くの時間や気遣いのパワーを要します。 そして、完璧なる計画に合意した後は設計図に基づき忠実に実行します。そこでは、多少のエラーや想定外のトラブルがあっても計画と設計図の見直しはかけずに、ある種、盲目的に実装・実行を進めることが是とされることが多

          #263 「今ここ」をコラージュして組み合わせる人事が競争力になる時代 24/11/1

          #262 アンラーニングは、修正主義へのパラダイムシフト 24/10/30

          こんにちは。 今日は、思考や行動の規範を「訂正・修正」主義的にしていくことを提案します。前回に続き、これまでのパラダイム、規範的前提を洗い替える、変化を考えます。 昨今よく言われるVUCAの時代≒変化の大きい時代、と言われます。だから、変化に柔軟であり、受け身の取り方を変えつつ対応していくことが必要、との文脈で語られます。一方、「変化の多い時代」との言説は、どの時代を切っても常に存在していた通説、と考えるのが自然ではないか、とわたしは考えます。ある種、予定調和であり、落語の

          #262 アンラーニングは、修正主義へのパラダイムシフト 24/10/30

          #261 目的よりも「効果」に体重を乗せると上手くいく 24/10/28

          こんにちは。 今日は、目的と効果について、考えます。 (実例を基に編集しています) 人事にしても、営業にしても、何かの取り組みを提案したり、課題解決のための施策立案をする際に、必ずその目的や背景とその実施効果(費用対効果)をクリアにします。 その時に多くの場合、原理原則の作法、前提・規範のパラダイムは、「何のためにやるのか?」「なぜそうなのか?」の目的に置かれると考えます。そのことについて、わたし自身も基本的にアグリーですし、目的なくして改善や創意工夫をする思考には至らな

          #261 目的よりも「効果」に体重を乗せると上手くいく 24/10/28

          #260 中途入社者に必要なのは知識ではなく前職経験をアンラーニングすること24/10/25

          こんにちは。 今日は、前回に続き、アンラーニングを考えます。 (実例を基に編集しています) 3ヵ月ほど前に、わたしが所属する採用部門に、中途入社で仲間に加わってくれた方がいます。その方を同僚として見ていて感じたことを客観的な立ち位置から考察してみます。 仮にAさんとすると、Aさんは、前職までも採用領域での経験が豊富な方です。人材エージェントとしてのキャリアが数社と、とりわけ長かったようです。一方、自社の採用部門は当社にきて初めての経験になります。エージェント企業での経験は

          #260 中途入社者に必要なのは知識ではなく前職経験をアンラーニングすること24/10/25

          #259 新卒採用に表れる事業責任者の想いと価値観 24/10/23

          こんにちは。 今日は、アンラーニング(学習棄却、学びほぐし)を考えます。 (実例を基に編集しています) 半年ほど前のできごとです。ある事業部門の責任者Aさんが、失敗談を共有してくれました。コーポレート部門との定例会議の中で、Aさんが感情に任せて怒りを爆発させてしまったそうです。話の顛末はこうです。 コーポレート部門から、翌年度入社の新卒社員配属について提案がありました。これまでは入社後研修の様子を見て、1人1人と面談をして、希望と適性をできる限り把握しながら、配属案を作成

          #259 新卒採用に表れる事業責任者の想いと価値観 24/10/23

          #258 経営チームのエグゼクティブ・ファシリテーション 24/10/21

          こんにちは 今日は、2ヵ月ほど前に行なった経営チーム向けのセッション(研修的な要素を含む)から感じたことを考えます。 (実例を基に編集しています) わたし自身が、経営チームのボードメンバーを相手に、プロジェクトを進めたのは、何回かあります。事業再編に伴う人事基幹制度改定や報酬水準を底上げするための数十億の報酬投資をテコにした報酬制度改定、中期経営計画の策定が主たるテーマでした。それぞれ、人事部門、事業企画部門としての経験です。それぞれ、今の自分を形成する血肉になった経験です

          #258 経営チームのエグゼクティブ・ファシリテーション 24/10/21