小さなラジオパーソナリティ
実家の前には、祖父母が営む会社の事務所があって、そこは孫たちにとっての遊び場だった。
事務所には、祖父と祖母それぞれのデスクと、もう一つは大きなパソコンがどんと置かれている。
学校から帰ってきた後や、暇な時間さえあればそこにいて、宿題をしたりおやつをつまんだり、パソコンを借りて小説なんかを書いたりしていた。
祖父のデスクのすぐそばには、古いラジオがあった。それは一日中流れていて、地元の訛りで話している番組もあれば、コテコテの関西弁でどこか異国気分を味わわせてくれるものもあ