EP.16 期待の新事業、全国初の入浴特化型短時間デイサービス!大苦戦!!
いつもお読み頂き、ありがとうございます。今回はEP.14 シニアマーケティングのきっかけ!お客様のクレームからの学びから続くエピソードです。こちらを確認頂くとより分かりやすくなります。
シニアマーケティングの結果、入浴×短時間のニーズを発見!差別化の図りにくい介護保険事業において新業態モデルを開発していきました。誕生の背景から満を持しての事業スタート、果たしてその成果はどうなったのか。当時を振り返り検証しました。
◆実は男性向け、入浴×短時間デイサービス!
お客様のクレームの一言から始まった全顧客ニーズ調査。結果として浮かび上がってきたのは、「入浴」×「短時間」のワードでした。
※ニーズ調査のきっかけについては、こちらをご確認ください。
男性の要介護高齢者は、
①レクリエーションやおしゃべりの時間を好まない
②目的思考で、困り事の8割は自宅での「入浴問題」
③99.9%一日滞在型のデイサービスで長いのが嫌
+αとして、「デイサービスに見学に行って二度と行きたくないと思った」が多数。
デイサービス利用者の男女比(当時)は、2:8です。よくて3:7、圧倒的にデイサービスは女性が利用するサービスになっていました。男性は、前記の理由で、ほぼ利用しない状態が明らかになりました。身体の大きな男性の入浴介助を自宅で行うことはとても大変な負担です。ましてや、デイサービスに行かないとなれば、家族(主に妻)が行うことに・・・。
私たちはこの問題に真向から向き合い、解決することに決めたのです。テーマは「男性高齢者が行きたくなる入浴特化型デイサービス」です。
内装コンセプトとしては、女性うけを狙ったように見えますが自宅に篭っている男性を引っ張りだすための施設として誕生しました。結果は、最後にお伝えします。
◆アジアンリゾートテイストの喫茶店
テーマが決まれば、モデルの組み立てです。あーだ、こーだと企画会議。そもそも介護状態になった人は、ただでさえ気持ちが落ち込むのに介護サービスを受けるのに介護を意識させられるのはおかしいのではないか、こんな話から、介護施設と意識させない工夫が必要という結論に。
非日常空間を楽しんでもらう。
旅行にもなかなか行けなくなってしまったのだからアジアンリゾート風の内装でリラックスしてもらおう!
😁アロマも焚いてリラクゼーションを追及するのも面白い!
😆BGMは、波の音!
😘TVは地上波ではなく、演出ツールにして海や自然の映像を流そう!
🤗デイサービスはお茶が一般的だけど、自分で選べる形にしたい。たくさん種類を用意してメニューをつくろう。喫茶店感覚!
五感を刺激するリラクゼーション空間
「入浴」×「短時間」×「リラクゼーション」にコンセプトテーマが追加されました。
外装には、「通所介護」「デイサービス」を表記するのは止めよう。介護と書いてあったら嫌でも「介護」を意識してしまうので、ない方がお客様の為にはよい。当社では、意図的に施設であることをわかりにくくしています。
◆満を持してのNEW OPEN!黒字化まで大苦戦
お客様の声を形に!ニーズから作った新業態モデル、業界初、全国初のモデルとして成功を全く疑わなかったです。
オープン前に内覧会を開催、多くのケアマネさんにご来場頂き、過去最高の見学者数を記録。
「ステキね~!私が来たいわ!!」
「とてもデイサービスとは思えないわ」
「ドリンクの種類もたくさんあって、迷っちゃう」
「お風呂は個室なのね、ゆっくり入れそうね。工夫もされているみたいだし。」 etc
概ね、好印象。「やはり間違っていない、いける!」メンバー内では大盛り上がりでした。
ところが・・・。
利用申し込みはおろか、問い合わせすら来ない・・・。数日まっても、一向に来ない日々が続きました。
何が起こっている⁉内覧会に来てくださったケアマネさんのところに直接訪問して話を聞きました。
「施設はきれいなんだけど、誰が使うの?😮」
「デイサービスって1日でしょ、半日でどうするの?😓」
「ケアプランにどう位置付けていいかわからないから紹介できない😧」
こんな声が上がってきました。軽くパニックです。
お客様の声から作ったモデル、困っている要介護高齢者とその家族がたくさんいる、なのに利用する人がいない⁉
そんなわけない!!
なんで、こんな状況になったかとい言うと【新し過ぎた】のです。介護業界の常識を打ち破るモデルでケアマネさんには利用者像も使い方も全くイメージできていなかったのです。
ここからは、地道なPR活動。少しずつ試しに利用してくれるお客様の事例を紹介し、利用方法やケアプランの作り方を伝え続けていきました。オペレーションなども手探りで動かしながら活動し、黒字化まで実に8カ月を要しました。その後の展開で、黒字化の記録は3カ月!革新的な取り組みが受け入れられるのには、時間がかかることを身をもって体験しました。
◆モデル検証とその結果
あるデイサービス拒否の男性をケアマネさん、奥様はなんとか連れ出してほしいとご依頼がありました。介護サービスを使わずにずっと家にいる為、奥様が休む時間がないと言うレスパイト目的の問い合わせです。
この男性を、過去に1日滞在型のデイサービスを利用させようと見学に連れて行った際に、あまりにも幼稚な扱いを受け激昂😡し、二度と行かないようになってしまったとのこと。奥様としては困り果てていらっしゃいました。
そこで、私たちの出番です。デイサービスとはお伝えせずにお店の写真を見せて気分転換に外出して喫茶店でお茶しませんか?と誘い出します。この男性は、コーヒーがお好きで介護状態になる前はよく喫茶店にコーヒーを飲みに行っていたと聞いていました。訝し気ながらも、ずっと家にいて実は外に行きたかったようで、「近くならいいぞ」とファーストコンタクトに成功します。お車でお店へ移動、移動介助しながらお席についていただくと
「こんな店ができてたなんて、知らなかったよ。コーヒーをもらおう😄」
上機嫌です。付き添いの奥様も安堵の様子。お店でしばらく談笑して、私の人となりも知ってもらったところで、
「〇〇さん、実は言いにくいのですが、ここはデイサービスなんですよ。」
「なに⁉ 前に行ったところと全然ちがうぞ!😲」
「ご自宅で入浴にお困りの方向けに作った店で、こうしてお茶してもらったり、軽い運動したりしますが、入浴のみのサービスです。ですので、半日で終わりになります。」
「そうなのか、ここなら来てもいいぞ!余計なことしなくていいんだろ!!😤」
〇〇さんの中でのデイサービスのイメージが覆った瞬間でした。こうなれば、利用はトントン拍子で進みます。この当時、見学に来ていただければ90%の確率で成約して頂けました。
お客様も増えて、ケアマネ支持率も徐々に上がっていきました。ある程度の稼働に達した時に検証に入ります。
私たちの狙いは男性の要介護高齢者。果たしてその結果は!男女比は・・・、
5:5!
この結果に驚きはありませんでした。狙い通りだったからです。このニーズにしっかり応えていかなければいけない。ここから入浴特化型短時間デイサービス「いきいきらいふSPA」の拡大戦略がスタートすることになります。この拡大戦略の果てに、またまた大波乱が起こります。
今回のエピソードからどんなことに気が付くでしょうか?
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