大量広告に頼るビジネスモデルにするのか?しないのか?
Voicy No.0219 2022年9月23日放送
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ビジネスモデルのタイプも組み方も多々あります。アドバイスをしていると、同業や競合をただまねしている方を見かけます。自分の場合はどのモデルがよいのか、じっくり検討して選びたいものです。
いま追い風のビジネスモデル。
取り組んでいるビジネスモデルが、今の時代に合わなくなっていることも結構あります。また、うまくいく可能性が低いのを、業種や職種で語る方も多いものです。
今ならメタバース、NFT、Web3.0、Vtuberは、完全に追い風です。
反対に、これから新聞社を新しくつくる人はいないし、1000億持っていても、ガソリンエンジンの自動車会社をつくりたい人も、いないでしょう。
多くの人がうまくいかない理由
そもそも無理なモデル
どの業種業態を選んだとしても「そもそも無理があるだろう」というビジネスモデルで組んでいるから、それを苦労して進めようと思っても全然進まない場合があります。
自転車を一生懸命こいでいても、チェーンが外れているか、めちゃくちゃギアが重い状態でこいでいることに、ご本人は気付いていないのです。
集客し続けるモデル
今なかなか難しいと思っているのは、広告や集客をし続けて新規でビジネスを成立させるモデルです。これに取り組んでいる人は結構苦しんでいます。
「集客し続けないと死ぬ」「広告しないと死ぬ」といったモデルで組んでしまうとやり続けるのが厳しいし、それにプラスして、値段を比較されるような商品やサービスでやっているのです。
大手は仕入の規模が違います。
全く同じか似たような商品サービスで勝負した場合、中小企業とか個人事業主が価格で勝てる可能性はありません。仕入れや分業サービスにおける効率が、全く違うからです。
逆に、大手と同じことを個人がやると安く提供できると思い込んでいる人がいますが、1個つくるのと1万個つくるので、コストが同じわけがない。
なぜか1個を丁寧につくったほうが安いと思って、これでビジネスを始めてしまう方が多いので困っています。
年々楽になるビジネスとは。
もう1個のモデルは、既存ファンをつくり積み上げて、それを中心に進めていくモデル。こちらがブランドです。
商品があるから、とにかく集客しまくって、広告しまくって、常に新規をとり続けてビジネスを成立させようというのは、そもそもブランドではありません。
ブランディングというのはファンがいることです。
既存ファンを積み上げていくことで、年々ビジネスが楽になるモデルがブランドです。
集客と広告をし続けないと成立しないのは、既にブランドにはなり得ないビジネスモデルなのです。
自転車を買ってきて自転車をこいでいて、バイクみたいに走らない」という感じなので、最初に自転車に乗るかバイクに乗るか決めたほうがいい。
既存ファンは全然つくれないのに、集客して数が売れたらいったん儲かるから成り立っている気がしますが、永久に止まれない自転車に乗り続けなければいけません。それをやっていたら、いつの間にか自動的にブランドになると思っている人がいます。
それでは、ならないのです。
ファンづくりビジネス。
ブランドにしていくには、集客して広告して買ってもらった人たちを「ファン化する」という活動を始める必要があります。
新規をとっていくら儲かっても、1回購入した「ただの顧客」という状況から、ファンづくりに変換する機能がないとファン化することはできません。
例えば今は全自動洗濯機なら乾燥機が付いて、自動で乾燥までやってくれます。
乾燥機能が付いているから、洗濯乾燥が機能するわけです。
乾燥機能は「ファン化する機能」みたいなものです。そういうものが付いていないビジネスモデルをやってしまった人はファンが増えません。1回買ってもらったら、全てお客様を逃がしています。
あとは値下げ競争とか値段とかで勝負してしまっているので、大手との苦しい戦いをしているのです。
なぜ集客と広告に苦しむのかというと、ファンがいないからだし、なぜファンがいないかというと、ファンづくりをしていないから。
新規のお客様の獲得と広告・宣伝・集客に、お金と時間と覚悟と愛情をつぎ込んでいても、既存のファンづくりには、そのどれもつぎ込んでいない。
それではファンができないでしょうというお話です。
死ぬまで集客に追われたいか。
短期的にバズったり集客がうまくいったりすると、周りから目立ちます。
「すごいですね」と言われるし、気持ちも高揚します。
承認欲求も満たされるから、目先の集客だけに燃えて時間もお金も全てそこにつぎ込み続けます。
けれども、一度買ってもらった方をファンにすることは地味で、多くの人が周りから褒められたりしなくても着実にやらないことには、ビジネスモデルが転換できません。
これは、どちらがいい悪いではありません。
大量広告で死ぬまで集客モデルで走りきるのか。それとも、それをブランドとしてファンをつくる形に切り替えていくか決めるのは、ビジネスオーナーの方自身です。
でも、どっちの乗物に載っているかわかっておらず、次にいつ買ってくださるかもわからない人が多いです。
タピオカ屋さんのように行列ができると気持ちも高揚するし、とても目立つじゃないですか。でも、それではコロナを乗り越えられませんでした。
コロナを乗り越えたのはデパートの外商とか、ファンづくりをめちゃくちゃちゃんとやったラグジュアリーブランドです。新宿の伊勢丹も過去最高益になりました。
これらは、地味ながらファンづくりをきちっとやってきたからです。
ビジネスモデルをどっちでやるか決めて、ちゃんとファンづくりをするのであれば、そこに時間とお金と愛情と覚悟を投入したほうがいいと思います。
以上、久々野智小哲津でした。
久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
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