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図書新聞掲載『シャドウプレイ』書評&全国翻訳ミステリー読書会YouTubeライブ第21弾「第3回 夏の出版社イチオシ祭り」(2024/8/4 14時~)

少し前の話になりますが、2024年7月6日号(第3646号)の図書新聞にジョセフ・オコーナー『シャドウプレイ』(栩木伸明訳、東京創元社)の書評が掲載されました。(書評へのリンクも下に貼っています)

この小説は、19世紀末ヴィクトリア朝時代にアイルランドで生まれ、イギリスで執筆活動をおこなった作家、ブラム・ストーカーの生涯を描いています。

はて? ブラム・ストーカーって誰? とお思いのかたもいらっしゃるかもしれません。けれども、ドラキュラ伯爵の名前を知らない人はいないはず。そう、あのドラキュラ伯爵の生みの親として知られる作家、それがブラム・ストーカーなのです。

書評にも記していますが、アイルランド出身で英語圏のベストセラー作家であるジョセフ・オコーナーは、アイルランドが輩出した文豪の多くは祖国への郷愁を綴っているにもかかわらず、ストーカーはまったく異なるモティーフを描いたという点に興味を持ったそうです。

この小説では、アイルランドからロンドンに渡ったストーカーが、名優ヘンリー・アーヴィングが主宰するライシアム劇場の支配人として働きながらドラキュラ伯爵を生み出した心理と背景を、史実と創作をたくみに織り交ぜてじっくりと紐解いていきます。

史実に基づいているため、ストーカーのみならず、ヘンリー・アーヴィングやエレン・テリーといった俳優陣、アイルランド時代から因縁のあったオスカー・ワイルドなど実在した人物が次々に登場するのも読みどころ。バーナードー・ショーやホイットマンについての言及も興味深い。なにより、当時のエレン・テリーの美しさに(検索するとすぐに写真が出てきます)度肝を抜かれました。

ちょうど昨年刊行されたブラム・ストーカー『ドラキュラ』(唐戸信嘉訳 光文社古典新訳文庫)を読もうとしていたときに、折よくこちらの書評のお話をいただきました。

『シャドウプレイ』には『ドラキュラ』からのモティーフや引用もたくさん出てくるので、照らし合わせて読めばおもしろさも倍増しますが、訳者によるていねいな注がついているため、『ドラキュラ』を読んだことがなくてもまったく問題なく楽しめます。『シャドウプレイ』を読んだあとは、『ドラキュラ』も手に取りたくなるのではないでしょうか。

古典名作からの引用と言うと難解な物語かと思われるかもしれませんが、ストーカーとヘンリー・アーヴィングとエレン・テリーの三角関係の行方を単純に楽しみながら読むこともできます。まさに『ドラキュラ』と同様に、エンターテインメントとしても一級品の作品です。

書評はこちらからどうぞ。
「図書新聞」No.3646・ 2024年7月6日号に掲載。https://toshoshimbun.com/
「図書新聞」編集部の許可を得て、投稿します。

さて、もうひとつ告知があります。

来たる2024年8月4日(日)、14時から全国翻訳ミステリー読書会YouTubeライブ第21弾「第3回 夏の出版社イチオシ祭り」が開催されます。

その名のとおり、出版社の翻訳ミステリー担当の編集者のみなさまが、読書の秋に向けてこれぞ!というイチオシ作品を全力でプレゼンしてくださります。
出演予定は、小学館、東京創元社、新潮社、ハーパーコリンズ・ジャパン、早川書房、扶桑社、文藝春秋、U-NEXT 、集英社といった錚々たるラインナップです(もちろん、今回参加されない出版社さまも来年以降のご出演をお待ちしております)。

毎回念押しして恐縮ですが、YouTubeですのでタダで観ることができます。登録などの手続きも一切ございません。下のリンクをクリックしてお気軽にご参加ください。

なお、みなさまからのご質問も絶賛受付中です。
どの出版社をライバルだと思ってる? 負けたくない出版社は? 
といった業界のタブーに踏み込むご質問も大歓迎です。
Xで #出版社イチオシ とタグをつけて投稿するか、あるいは当日YouTubeのチャット欄に書き込んでください。
アーカイブ視聴も可能ですが、みんなでリアタイした方が絶対楽しいはず!

とにかく外に出たら暑すぎる今日この頃。
なので、家のなかで外気よりも熱い出版社イチオシを視聴しましょう! 熱中症の危険もありません(エアコン入れましょうね)。

(こないだラジオでひさびさに聴いて、この頃の夏はのどかで気持ちよかったな~としみじみ思ったのですが、いまMVを観るとメンバーの若さにただただビックリしました)


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