LIFULLを卒業してnoteの事業開発をやります
3月に13年半勤めたLIFULL社を退職しました。4月からnoteの一員として、新しい事業やサービスを創る事業開発を担当しています。ここでは、退職に至る経緯と、新しい挑戦への想いをつづりたいと想います。
LIFULLという会社の素敵なところ
私の職歴としてLIFULLでは、WEBプランナーから始まり、マーケターやマネジメント、新規事業の立ち上げなど様々な経験をさせてもらいました。まず言いたいこととして、私はLIFULLという会社が大好きです。何が好きかというと、1)抜群に人がいい 2)ビジョンが染み渡っている 3)挑戦を応援してくれる、この3つです。
1)抜群に人がいい
人がいいというのは、コミュニーケーションで無駄な労力を使わないということです。一部の会社では、部署間のセクショナリズムや、縦社会による圧力など人との調整に労力を使い、それを生業にする人までいるという話を聞きますが、LIFULLでは少ないと思います。
例えば、何か困ったときに質問をしたり、助けを求めて、嫌な態度を取られたことは一度もないです。誰かが意見を述べて、否定だけする人は少ないですし、良い意味で便乗したり、高め合うという議論が普通になされています。
LIFULLでは"利他主義"という理念が浸透しているので、利己を追求する思想や態度は、カルチャーとして自然淘汰される仕組みが働いているのです。
2)ビジョンが染み渡っている
LIFULL社員は、強弱はありつつもビジョンを誇りにしています。13年半前の私は、正直ビジョンが何なのかわからず入社したのですが、今となっては、ビジョンは何よりもの原動力だと思っています。ビジョンは紙に書かれているものではなく、心の中にあって初めて機能します。
共感して、自分の心とつながって、行動に反映するという過程があるのですが、LIFULLではこのフェーズを丁寧に扱っています。またカルチャーが下支えして、ビジョンに目線をおいて行動する人が多く、反する言動は悪い意味で目立つようになっているのです。
3)挑戦を応援してくれる
今でも忘れられないのは、全社総会で新規事業を立ち上げたが、うまくいかなかった社員を、代表の井上さんが讃え、社員が大きな拍手を送ったことです。私自身も、主力事業のHOME’S内でも、HOME’Sを離れ、新しい事業の立ち上げでも、多くの挑戦機会を得ることができました。LIFULLでは、内発的動機づけがキーワードとなり、やりたいと手を上げた人には挑戦の機会がごろごろ転がっています。もちろん、能力と実績をともないますが、既存事業に人員を当てたい中、全員に挑戦の機会を与えることは、強い意志がなければできないことです。
ここまでになるには、採用からカルチャー形成、リーダー育成、社内制度や評価のあり方等、様々な実験と長い年月がかかるので、LIFULL関連の書籍やサイトを見ていただければと思いますが、真剣に取り組んで環境づくりをしてくださった経営陣と社員のみんながかっこいいし、感謝しかありません。
なぜ大好きだったLIFULLを辞めたのか
様々な葛藤がありましたが、無理やり整理すると、さらに自分の興味のある分野に挑戦したいと思った、40歳を目前にして焦った、居心地の良い環境に甘んじている危機感があった、からです。LIFULLにいることで、自分のやりたいことを実現することは、おそらくできたと思いますが、自分にはその実力が足りないと感じました。近しいことをすでにやっているチームの一員になるほうが合理的だし、環境を変えることでしか、自分を鼓舞することができなかったように感じます。
noteに入社を決めた理由
転職活動の中で、ピンと来たのは実はnoteだけでした。会社を探すときに、私が決めていた検討軸は、ビジョンへの共感、カルチャーフィット、事業成長性の3つです。
ビジョンへの共感
noteを運営するピースオブケイクのミッションは“だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。“です。私は育った家庭環境の影響もあり(決してネガティブではないのですが)、自立心が強く、自分らしくいること、そのために自分を活かすことに興味があったように感じます。何かに甘えたり、依存して生きることが得意ではありません。もちろん、人は一人では生きられないので、協力しあって助け合うことは大切ですが、何が起こるかわからないこれからの時代、自分自身が自分を支え、選択肢を持つことがより求められると思っています。
創作という言葉は一見、デザイン業界に特化した表現に聞こえますが、仕事でも、家庭でも、学校でも、誰しも自分を表現しながら生きているわけで、この表現活動が、自分の意思に基づいて、より楽しくあることが豊かであることだと感じました。例えば、上司や親の言う通りにしか動けない、本当は働きたいのに専業主婦でできないなど、意思がなかったり、意思に反することをしている毎日が豊かなのかというと、私にはそう思えないのです。
自分の思う通りに、自分らしくただ居続けることも大切ですが、継続できる仕組みが必要です。多くの方法があると思いますが、表現の場が開かれていること、自分という存在を他の人に知って認めてもらうこと、意見交換ができること、お金に変わったりすることです。安心安全な表現のプラットフォームがあることで、可能性が広がる気がしました。それが私にとっては、noteでした。
カルチャーフィット
ピースオブケイクのバリューを読んで、すごく自分に合う!と直感的に感じたのを覚えています。言語化されたバリューは、カルチャーのベースになるので、自分になりに注意深くチェックしていました。面接をしたときも感じましたし、noteで社員の方々が発信されていることが、何よりもの証拠です。発信力の強い会社は採用においてもかなり有利だし、受ける側にとってもミスマッチが防げるので、有用でした。(ただし、自信を持って発信できる内容があることが前提)
実際に入社してみて、「迷ったときは、バリューに沿って判断してください」と求められることが多いですし、ビジョン、ミッション、バリューをいかに自分のものにするかという仕掛けもあります。
よく男女の別れの理由として、「価値観が合わない」というのがありますが、会社と個人もその通りで、価値観は最初から擦り合っていたほうが楽です。物事がスムーズですし、早くゴールにたどり着けます。私の元上司は、意見は合わなくても、価値観には共感できると言っていたので、価値観が合わないというのが、果たしてあるのかはわかりませんが、大事なものが近しいほうが良いことは多いのでしょう。
事業成長性
noteのすごいところは、安易な利益追求やKPI達成をさせないところ。事業であれば、売上利益は最重要課題であり、皆が躍起になって追い求めるものであるはず。noteでは、利益はビジョンを達成するためのガソリンであり、ゴールではないことを、繰り返し丁寧に伝えています。お金は大切だけど、目線の置き方というものが重要で、ゴールという円の中にお金を置くのか、お金という円しか置かないのかによって、人の判断や行動は大きく変わります。
社員も定量的なデータや進捗は見ますが、数値を追わされるというのはありません。(もちろん裏で経営陣が頑張ってくれているわけですが)性善説のように聞こえますが、私自身もこれはチャレンジで、良いものを追求した結果、お金もついてくるという事業スタイルを成功させたいと思っています。
noteはまだ発展途上で、この先どうなるかはわかりません。ただ、少しずつですが、noteという世界観に共感し、可能性を感じている人が増えているのも確かです。この「なんか良い」という曖昧な感情を大切に継続させて、より多くの人が創作をはじめ、続けていく循環を創っていくことが、事業の成長につながるのだと信じています。
noteで何をするのか
長々と思いを綴ってきましたが、私がnoteでやることは事業開発です。noteの健全な発展のために、新たな事業やサービスを生み出し、広義の意味でのクリエイターに価値を創っていきます。特に企業や組織向けのnote proの領域で、表現活動を支援していくことを中心にやります。ですので、もうあらゆることをするのですが、丸投げとスピード感が好きな自分にとっては、うってつけの任務だと思っています。私自身が私の良さを活かして、自分らしくあるために、noteとともに走っていきます。
引き続き、皆さん、どうぞよろしくお願いします!