今の自分を受け入れるな
僕はカール・ロジャーズの考え方は好きだ。
心理学者として彼の事は尊敬している。
恐らく、彼は日本でも人気の心理学者の一人だろう。
彼の名前を聞いたことがない人でもかれの考え方や理論を学べば、共感するところが多いはずだ。
彼は人間性心理学のパイオニアであり、来談者中心療法の確立者でもある。
彼は我々の可能性や良心を信じていた。
彼の考え方が日本人に響くのは、おそらく日本の教育に原因がある。
日本の教育では否定されることが多い。「こんな事がしたい」「将来はこうなりたい」、ちょっとでも周りと違う事を言おうものなら否定が待っている。
だから、日本人は自分自身に対しての評価が低い人が多い。
なので、日本では「自己受容」や「自己肯定」といった言葉が流行している。
「自分をありのままに受け入れよう」とか「自己肯定感を高めよう」とか、そんな言葉をよく聞くだろう。
僕はそういった言葉が嫌いだ。
今の自分を受け入れる事もその自分を肯定する事も、別に必要ないと思っている。
もしかすると特定の人を敵に回すことになるかもしれないが、あくまで僕の考えである。
僕は自己受容や自己肯定は、自分の事をきちんと知らない人がするものだと思っている。
違う言い方をすると、それらの行為は自分自身をきちんと知る事を諦めた人たちがする事だと思っている。
ましてや、「ありのままの自分を受け入れましょう」と言われている人たちは、その今の自分を受け入れてはいけない。
人生に絶望し精神疾患に罹った人や酒やたばこ、薬や犯罪に走ってしまう人、人生に悩んでいる人がそんな自分を受け入れていいはずがない。
そして肯定して良いはずがない。
僕は「あなたのままでいいよ」なんて絶対に言わない。
人はいつまで経っても理想に向かって進んでいく。
しかし、理想が現実となった瞬間に次の理想が生まれ、その現実には満足しなくなる。
つまり、カール・ロジャーズが述べたように理想と現実が一致する事はない。
理想とはかけ離れた現実を受け入れる事で人は理想を追わなくなる。そして、自分の可能性や成長を潰してしまう事になる。
人は、自分の現実の為に自分の理想を犠牲にしてはいけない。
精神疾患の症状に苦しむ人がその自分を受け入れてしまったら治療をする必要が無くなってしまう。
しかし、彼は症状に苦しむことなく、もう一度希望を持って生きたかったはずだ。その理想を諦める事になる。
もし成長しないといけないのならするしかない。改善する事があるならしないといけない。
人は常に完璧ではなく、その完璧ではない自分と理想を照らし合わせて、そこに襲ってくる問題や絶望と闘いながら成長していく。
今のままの自分を受け入れていい時なんて存在しない。そしてまた、人は自分を肯定する必要も否定する必要もない。
あなたが受け入れる事の出来ない自分は変えていけばいいのだ。
今の自分を受け入れるな。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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