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意味を探すのと見つけるのは全く違う
僕は普段から、生きる「意味」や「目的」を自分の手で見つける事が大切だと述べている。
意味を失った人生は絶望へと変わり精神疾患や自殺はその結果である、と考えている。
実存主義者のビクター・フランクルは「実存的うつ病」といううつ病を提唱した。
彼はまさに人生の意味を重要視している哲学者の1人で、「実存的うつ病」というのは人生の意味を失う事でうつ病のような症状が現れる状態のことである。
うつ病は英語で「Depression」というが、この言葉は元々病気として使われてはいなかった。
今のように、科学的に症状から「うつ病」を診断されるようになったのは1980年ごろからである。
医療技術の進歩とともに、うつ病が脳の病気だと言い始めたのも最近になっての話である。
しかし、フランクルの考え方の背景には、彼が経験した収容所での体験がある。
収容所では悲惨な扱いを受け、それこそ鬱病になる人間も山ほどいた。殺されるのではなく自ら命を絶つ人間の方が多かったそうだ。
しかし、生き残った者の多くが生きる意味を持っていた。家族や恋人など、何かしら生きる意味や理由を強く持っていた。
逆に言うと、生きる意味を持っていた者は生き残る事が出来たのだ。
人はうつ病の症状には殺されない。精神疾患は、癌や心臓病とは違い、自ら死を選ばない限り死なない。
「うつ病」という病名は結果論でしかなく後付けでしかない。
生きる意味のパワーは計り知れない。トラウマですら克服出来る。
とある興味深い研究がある。
2001年9月11日、ニューヨークにあったワールドトレードセンターにハイジャックされた飛行機が突っ込み約3000人の命を奪うテロが起きた。
多くの人に悲しみを与え、トラウマを植えつけた。
とあるデータによると、あの事件から数日間、アメリカの人口の約半分がトラウマの症状を訴えてきたそうだ。
あの事件をきっかけにPTSDになった人も沢山いる。
しかし、この研究によると、事件の後、改めて生きる意味を見つける事が出来た人は、PTSDの症状が軽減した、という結果が出ている。
おそらく、生きる意味を再認識した事で悲惨な過去を完了する事ができたからであろう。
しかし、この研究にはもう一つ面白い結果がある。
それは、生きる意味を探してはいるが、見つける事の出来なかった人はPTSDの症状が悪化した、という結果が出たのだ。
つまり、生きる意味は探すだけではいけない。もっと言うと、探している間は苦痛や苦しみが伴うのかもしれない。
ただ、見つかるまで探さないといけない。生きる意味を失ってしまったら、もう一度持てるようになるまでもがかないといけない。
「探しても見つからない」という人もいるが、見つかるまで探さないといけない。
メッシが「努力は報われるまでする」と言ったように、生きる意味も見つかるまで探す事が大切なのだ。
意味を探すのと見つけるのは全く違う。
最後まで読んで頂きありがとうございました。