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そして、バトンは渡された(2021)
愛する人を大切に思う心が描かれる
血のつながらない親子が織りなす人間ドラマ
2019年度の本屋大賞を受賞した瀬尾まいこ原作の感動作が2021年に映画化されました。
4回も苗字が変わった女子高生・森宮優子の数奇な生い立ちに秘められた親子の絆と愛の物語です。
【ストーリー】
物語は2人の女性を主人公にした、2つの時間軸で展開します。
1つ目は、高校3年生の森宮優子(永野芽郁)の日常です。彼女は4回苗字が変わり、今は義父の森宮さん(田中圭)と2人暮らし。森宮は血のつながらない優子を大切に育て、毎日何かと世話を焼いています。
高校では、意地悪な女子グループにからかわれても、笑ってごまかすだけの優子は、卒業式にクラスで発表する合唱のピアノ伴奏にさせられてしまい、ピアノの猛特訓を始めます。
2つ目は、何度も夫を変えながら自由奔放に生きる女性・梨花(石原さとみ)の物語。妻に先立たれた水戸(大森南朋)と結婚した梨花は、水戸の幼い一人娘・みぃたん(稲垣来泉)をとてもかわいがり、親子3人で楽しい日々を過ごしていました。
しかし、水戸が海外で事業を始めることに、梨花は反発。幼いみぃたんのために日本に残り、小さなアパートでみぃたんと2人暮らしを始めます。
ところが、シングルマザーの暮らしは厳しく、梨花はピアノに憧れるみぃたんのために、お金持ちの泉ヶ原さん(市村正親)と結婚、瀟洒な邸宅に移り住みます。
でも、やがて何でも整った泉ヶ原宅での生活に息苦しさを覚えた梨花は突然姿を消してしまうのです。
自分の目的のために、強引に結婚にこぎつける梨花の行動は謎だらけですが、やがて伏線は回収され、驚きの真実が明かされます。ぶっ飛んだ梨花を演じる石原さとみの突き抜けたような演技が印象的です。
優子と梨花、そして森宮の関係は小説ではあらすじで明かされていますが、映画では隠されているようなので、小説が未読なら、彼らの不思議な関係に想像をめぐらせる楽しみもあります。
血は繋がらなくても、一度は縁で結ばれた親子が織りなす心温まる物語は、親子だけではなく、どんな関係においても、人が人を大切に思う心を呼び覚ましてくれるでしょう。
監督は『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(’18)の前田哲。本作と同時期に公開された天海祐希主演のコメディ映画『老後の資金がありません』(‘21年)の監督も務めました。
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【永野芽郁の最新主演映画が2024年12月13日より公開】
人間の俳優が細胞を演じる痛快アクションコメディ
健気な細胞たちの奮闘は感動ものです!