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午前4時にパリの夜は明ける(2022)

人々の人生に寄り添う深夜ラジオが
優しく語りかける希望の物語

1981年5月10日にミッテラン大統領が誕生したフランスは、それまでの33年にわたる保守政権が終わり、変革の時を迎えました。自由で開かれた時代の幕開けに多くの人々が期待を膨らませたといいます。

そんな希望の兆しが芽生えた1980年代のパリを舞台に、時代の明るいムードとは裏腹に、夫の浮気による離婚で、絶望の淵にいた女性が新しい環境に戸惑いながらも、自分の人生を歩き出す姿を描いています。

【ストーリー】
1981年。パリ郊外が見渡せる大きな窓のあるアパートの角部屋で、長年、夫と2人の子どもたちとともに暮らしていたエリザベート(シャルロット・ゲンズブール)は離婚したことで、仕事を始めることに。
ろくに働いたことのないエリザベートは、ラジオ・フランスの深夜番組『夜の乗客』のベテランパーソナリティー、ヴァンダ(エマニュエル・ベアール)と面接し、なんとかリスナーからの電話受付業務の職を得ます。
1984年。ある日、番組のスタジオゲストにタルラ(ノエ・アビタ)という少女がやってきます。収録を終えたエリザベートが帰ろうとすると、行く当てのないタルラに出会います。エリザベートはタルラを放っておけず、アパートに連れ帰り、上の小部屋に泊まらせます。

孤独なタルラとの出会いが、沈みがちなエリザベート一家の生活に、ちょっとした彩りを加えます。エリザベートはタルラの純粋な夢に心を動かされたり、高校生の息子マチアス(キト・レイヨン=ㇼシュテル)は奔放なタルラにときめいたり……。

他にも、大学生の娘ジュディット(メーガン・ノータム)の自立やマチアスの挑戦、さらにエリザベートの恋など、新たな経験を通して、少しずつ前向きになる一家の日常が淡々と綴られます。

シャルロット・ゲンズブールが絶望を希望へと変えたエリザベートの心の成長を繊細に表現しています。

どんなに落ち込んでも、明けない夜はないーー。眠れない夜を癒してくれる深夜ラジオのように、ノスタルジックな温かみのある作品です。

80年代のフランスのヒット曲がちりばめられています。また、1984年に25歳の若さで急逝した女優パスカル・オジェのオマージュとして、フランス映画『北の橋』(’81年)や『満月の夜』(’84年)が引用されるなど、80年代の熱いフランスが感じられるのも興味深いです。

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