牛がセルロースを分解する第一胃は腸内細菌がたくさん棲んでいます!
今日は、セルロースを分解する酵素を持つ草食動物について見て行きます。画像は、草を食べる牛です。草食動物の中でも4つの胃を持つ牛をターゲットに話しを進めていきます。
牛はいったん胃に入れたものを口に戻して咀嚼していると聞いたことがあり、とても興味を持っていました。いわゆる‟反芻”という行為です。これは、第一胃と第二胃の中のものを口腔に戻し、再咀嚼しているのです。
第一胃は4つの胃の中でも最も大きいもので、腸内細菌もたくさん存在しています。
ちなみに、生まれて間もない牛は第一胃から第三胃までは明確に分かれていないのですが、それは食道が進化したものだからと言われています。
そして第四の胃が消化機能を持つ本来の胃の働きをしています。
話しをセルロースに戻します。セルロース(食物繊維)は植物の細胞壁を構成するもので、牛といえども酵素がないと分解出来ません。分解する酵素はセルラーゼといい、牛の第一胃にはこのセルラーゼを分泌する細菌がいるのです。
セルロースが分解されるとグルコースが生成されます。このグルコースを細菌たちが食べることで短鎖脂肪酸を生成する仕組みが出来上がっています。
もちろんグルコースは糖ですから、人間と同じように重要なエネルギー源となります。
またその他にも様々な細菌たちが、タンパクや糖といった植物の様々な構成成分を分解する加水分解酵素などを生成して、ウシの消化を助けていると言われています。(マイキンソーのブログより一部情報を引用しています)
人との大きな違いは、人は腸で腸内細菌が食物繊維をエサにして代謝しているのに対し、牛は本来の胃の働きをしている第四胃に行く前の第一胃ですでに腸内細菌が働いている点です。
これは、セルロースをまずは酵素で分解しておかないと仮に第四の胃に運んだとしても、消化吸収できないためなのですが、腸内細菌の役割は人間以上に重要だということがわかります。
なぜ反芻するのかですが、口腔から第一胃の間の過程がいかに牛にとって大事かを考えると理解できるような気もいたします。
余談ですが、第一胃は部位で言うと‟ミノ”ですね!新鮮な上質の「上ミノ」は美味しいので私も好きですが、実はこの上ミノの上は、ランクが上の意味だとずっと思っていましたが、どうやら違って分厚い部分を上ミノと称しているそうです!?(笑)
牛にとってはとても重要な第一胃であるミノは、しっかり味わって食べたいものです。