漢方薬の服用時は「食前または食間に内服」を守るべき理由とは?
今日は、昨日のコラムの続きになります。漢方薬がどのような環境だと消化吸収代謝されやすいのか?を見て行きたいと思います。
漢方薬が体内に吸収されていくのに影響を受けることとしては、胃内のPHと腸内細菌叢によるものが大きいとされています。
腸内細菌叢については、漢方薬に含まれる生薬の配糖体を分解して、吸収代謝してくれる腸内細菌がいるかどうかにかかってくることは、昨日までのコラムでお伝えしました。
もう一つ胃内のpHについてですが、phが低い状態だと生薬に含まれる成分がイオン化するため、吸収が悪くなります。吸収が悪いのは一見不都合なことのように思えますが、例えば、成分の一つであるアルカロイドですと塩基性成分が多いため、胃内のpHが低い酸性の状態が強いと吸収が悪い、すなわち急激な吸収を避けられることで穏やかに成分が吸収されることになります。
アルカロイドは、毒性の強い成分ですので、急激に吸収すると副作用や中毒を生じかねません。すなわち穏やかな吸収が求められるというわけです。
漢方薬の服用の際に注意書きとして「食前または食間に内服」という指示を見たことがあるかと思いますが、食前や食事と食事の間の時間ですと、胃酸のpHは最も低い状態にあり服用するのに最も適したタイミングというわけです。
西洋のお薬のほとんどが食後に服用するように指示されているのとは、まったく異なりますね。西洋のお薬の場合は胃に負担をかけないように、食事と一緒に消化吸収させることを推奨しているようです。
人にとっての栄養素はじめ漢方薬についても、消化吸収代謝については、非常に奥深い人体の仕組みと腸内細菌叢が密接にからみあってる、どうやら一筋縄ではいかないようです!?(笑)