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なぜ夏休みに「読書感想文」なのか?


そもそも論

読書感想文の宿題の大前提は、
日本語で読んで日本語で書くというものである。

しかも11月3日の授賞式に間に合うようにと設定た
知ると知らずと勝手に競争させられる
読書感想文コンクールに出品するために
夏休みに読書感想文という宿題が課せられている。

春休みでもなく冬休みにでもなく、
夏休みに課される読書感想文の宿題の裏側である。

苦労のうちに 

かつて出逢った子どもの読書感想文のことを共有しよう。
 
その子は、小学校2年生で来日し、日本語支援が加配されていた。
小学校5年生の夏休み前に学校の図書室から、
ライトノベルを物色し始めた。

支援員の私は
「周りを見て、読んでいるふりをしたいのだろうか」
と浅はかな想いを抱いてもいた。
 
2学期の始業式に、その子は本を読み終えていなかった。
そして
壁に張り出された宿題提出できていない人の一覧表に
その子の名前は長く残っていた。

担任の先生は、
「読書感想文は提出できなくてもいいよ」
という言葉をその子にかけた。
 
11月になっても、その子は同じ本を借り続けていて、
2学期が終わるころ、読書感想文を原稿用紙2枚に書いて提出した。
 
感想文には要約が付されており、さらに、
・自分もいじめにあっていた
・主人公のように友達を作りたい
と自身の心の吐露があった。
 
誰もひらがなが多いからと言って漢字を書かせたり、
文法の間違いを訂正させたり、
そんな無粋なことをしなかった。
 
「書かなくてもいいよ」という声かけを、
その子は優しさ聞こえただろうか?
 
その子だったから、3年という短期間で
努力と苦労を積み重ねて
夏休みの読書感想文を仕上げられる偉業をなしたわけであるが
日本語学習者の誰でも「読書感想文」にチャレンジできるわけではない。
本当に偉業!なのである。

読書感想文への提案

読書感想文コンクールの為に、
日本語で読書し、日本語で書くことが教育の本丸ではないだろう。

<その1>日程調整
4月の学級開きで
「学年が終わる3月までに1つ本を選んで読書感想文を書いてください」
という提案ではどうだろうか?
 
コンクールに出したい人は、2学期の始業式までに提出すれば、コンクールも継続できるのではないだろうか?
 
<その2>提出方法
日本語以外の言語で書いて、データで出すということはどうだろうか?
先生もデータで出された感想文ならば、
それこそ先生がAIを利用して、
多言語で出された感想文を翻訳して、日本語で読むこともできるだろう。
 
日本語学習者が、
読書に親しみ、
意見を発信できる能力を養い、
人生に活かしていけるような
「読書感想文」の教育の在り方を考えてほしいと願う。
 

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