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50音エッセイ

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50音のタイトル(テーマ)で、エッセイを書くことにチャレンジしています。 思いつくまま気の向くまま、うつろう空のように日々の気持ちを言葉に綴っていければと思います。
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#創作大賞2024

「かしこいことと鈍なこと」-エッセイ

「かしこいことと鈍なこと」-エッセイ

昔から私はよくドジをする子供でした。
そんな時、祖母は必ず「鈍臭ぁ」や「鈍な奴やなぁ」と突っ込んできました。

京都寄りの関西弁を話す祖母の言葉は、時折キツく聞こえることも。
それでも言われ慣れていたせいか、そこまで落ち込むことはありませんでした。

……ただ。腑に落ちない点がひとつ。
例えば、お茶を淹れようとしてこぼしたり、何かを運ぼうとして落としたりすると、祖母は自分が同じことをしても「あーあ

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「カラスの道しるべ」-エッセイ

「カラスの道しるべ」-エッセイ

カラスと聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?
不気味で不吉な鳥、あるいはゴミを漁る迷惑な存在でしょうか。
そういったネガティブな印象を持つ方も多いかもしれません。
あるいは、カラスには人間の7歳程度の知能があると言われていることから、賢い鳥としての印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。

私にもカラスにまつわる忘れられない思い出があります。
子どもの頃、私は方向音痴で、何度

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「石垣にみる幻想」-エッセイ-

「石垣にみる幻想」-エッセイ-

私が生まれ育った家は傾斜地に建っており、裏庭には自然の石をそのまま積み上げたような大きな大きな石垣がありました。

所どころ苔むした石積みの壁は、長い年月を感じさせるような独特の風格があって、とても心惹かれたものです。

その石垣は、子供時代の私にとって、大好きな遊び場の一つでした。

ある時は、石垣を堤防に見立てて、魚釣りごっこ(長い木の枝に縄跳びか何かのヒモをくくりつけて釣竿代わりにしてました

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「医者選びって難しい」-エッセイ-

「医者選びって難しい」-エッセイ-

お陰様で、これまで生死をさまようような大病や大怪我には縁がないのですが。

これまでの人生で3度ほど、病院にまつわる強烈な思い出があります。

心配症の母に救われた話最初の思い出は、中学生の時。
前の晩からひどい腹痛や熱で、心配した母が仕事を休んで最寄りの内科まで付き添ってくれました。
「まあ風邪か何かの菌がお腹に悪さしたんでしょう。お薬出しておくんで、それで治らなければ3日後に」
と、言われたの

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「急がば泳げ?」-エッセイ-

「急がば泳げ?」-エッセイ-

「急がば回れ」という言葉があります。

『急ぐときほど、慎重にしなければ失敗しかねないので、遠回りなようでも確実な道を行くのがよい』という意味のことわざです。

実は、このことわざ。
滋賀県にある琵琶湖の交通手段にまつわる言葉で、室町時代の短歌が語源になっています。

「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」

ざっくりと訳すと。
京へ向かうために琵琶湖を渡ろうとしている武士に対して「

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「雨の匂い」-エッセイ-

「雨の匂い」-エッセイ-

雨の匂いって感じたことありますか?

特に、強く感じるのは雨の降りはじめの、土やアスファルトの地面から立ち上る独特の香り。

個人的にいい香りだなとか、大好きな匂いだとかまでは思わないのですが。
何となく懐かしいような、どこか切ないような気持ちになります。

私が以前、図書館で働いていた頃のこと。
雨の匂いにとても敏感な先輩がいたんです。
図書館の本は、湿気がとても苦手。
だから、換気のために窓を

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「ああ、無情」-エッセイ-

「ああ、無情」-エッセイ-

「ああ、無情」と聞くと、ヴィクトル・ユーゴーという人の書いた『レ・ミゼラブル』という小説の邦題を思い浮かべる人も多いかもしれません。

結構な大河小説なので、簡単にあらすじを紹介するのは至難の業です。
というか、これに触れちゃうと時代背景の説明とか色々長くなるから割愛! 
気になる人は読んでみて。めちゃくちゃ長いけど( ˘ω˘ )

とりあえず。今回は小説ではなく言葉の意味自体について語らせてくだ

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