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高尾歳時記 2023年9月17日(日)

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天気:晴れ
気温:31.5℃(高尾山山頂 11:30)
人出:混雑
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高尾山ではシモバシラが開花しました。

シモバシラ

シモバシラはシソ科の植物ですが、その中でも比較的株が大ぶりで、この時期、稜線上の、日陰のやや涼しい環境でその大きな葉を広げている姿をよく見かけます。花穂も大ぶりで、純白の可憐な花を連ねたその姿は美しく、森の中でとっても目立ちます。見つけると嬉しくなります。

このシモバシラ、多年草ですが冬になると地上部は枯れてしまいます。しかし根が生きているので、地中から吸い上げた水分が枯れた茎に供給され、それが徐々に滲み出る過程で冬の寒気にさらされて凍りつき、その名の由来である霜柱のような氷柱を作ります。条件がいいと美しい氷の花、氷華となり、高尾山では冬の風物詩として、とても人気があります。これを目当てに冬の高尾山を訪れる方がいるほどです。

シモバシラの氷柱。某年1月高尾山にて。
条件がいいと、美しい氷華を咲かせる。まさに自然の神秘。某年1月高尾山にて。

今年は残暑が厳しいですが、今日も高尾は30℃を超えて暑い日になりました。また、日本海に停滞している秋雨前線が南から湿った空気を呼び込んで、湿度の高い一日となり、流れる汗を拭いながらの山行になりました。

今日も、花の多い場所をぐるりと巡ってきました。

早朝の高尾山口駅を出発。駅前では高尾山マルシェが開催されていました。
ツユクサは秋の花。古来より日本人の詩に詠まれてきた、日本人にとって身近な花のひとつです。
稲垣栄洋静岡大学教授著「面白すぎて時間を忘れる 雑草のふしぎ」(三笠書房)によると、植物がさまざまな昆虫の力を借りて花粉を運んでもらうことは知られているが、このツユクサはアブを利用する。アブは美味しい花粉を食べたいが、黄色い花粉と補色関係にあるのは青色である。ツユクサは青い花をつけることで黄色い雄蕊を目立たせ、アブはそれを目指して飛来する。ところが、この雄蕊はダミーである。この美味しそうな偽物の雄蕊には花粉がない。実は、本物の雄蕊は花の下にぶら下がっていて、色も地味で雄蕊に見えない。獲物が偽物であることに気づいたアブが花の奥の方で花粉を探し始めると、本物の雄蕊にある花粉がちょうどアブのお腹やお尻につく設計になっている、ということなのだそうです。
キツネノマゴも秋の花。この時期、ふもとや里山で多く見かけます。
カタバミも日本人にとって身近な花のひとつ。高尾では、春と秋に花を見かけます。
ミゾソバも秋の花。高尾ではよく似たアキノウナギツカミと共に、河原などの湿った場所でたくさん見かけます。
ゲンノショウコも秋の花。東日本では白色の個体が多いのですが、西日本では紅色の個体が多いですね。北アルプス縦走の拠点となる上高地に咲くゲンノショウコは紅色です。植生的には西日本ということなのかなあ、と思いながらいつも見ています。
高尾では、このゲンノショウコにとってもよく似たミツバフウロが観察できます。
ツリフネソウも秋の花。盛りを迎えつつあります。くるっと丸まった距がかわいい。
ヤブランも秋の花。ヤブランも盛りを迎えつつあります。
先週は少なかったヒガンバナがあちこちで開花していました。
ムラサキシキブの実。これを見ると、もう季節は秋なんだなと実感します。今年は猛暑ですが、植物はきちんと季節の歩みを進めているんですね。
アレチヌスビトハギ。北米由来の帰化植物です。
ハグロソウも、秋の高尾を代表する花です。ふもとから山中まで、あちこちで見かけます。
フジカンゾウは盛りを過ぎて、もうそろそろ終盤です。
ツリガネニンジンも高尾の秋を代表する花です。個体数は比較的多い。
ツヅラフジの実が熟していました。
先日テレビを見ていたら、今年は猛暑で栗の成熟が遅れ気味なんだそうです。
これは、高尾山に自生するクリの木。
くるっと丸まったフォルムが可愛いクサボタンの花。こちらも秋の花です。
こちらも秋の花。ヤマハギ。
ハナタデ。沢沿いの湿った環境でよく見かけます。
イヌトウバナも秋の花。日陰の湿った環境を好みます。
こちらも秋の花。ヤマホトトギス。盛りを迎えつつあります。あちこちで見かけました。
高尾山山頂に到着。遠景は雲で霞んで、富士山はお預け。
同じく高尾山山頂から。丹沢主脈も雲に包まれていますね。空にはトンボがいっぱい。
シュウカイドウの花も盛りを迎えつつあります。


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