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高尾歳時記 2024年11月23日

 2024年11月21日読売新聞朝刊「編集手帳」(読売新聞東京本社)より引きます。原文縦書き。

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…きのうの日本列島は各地で澄んだ空がのぞいたにもかかわらず、東京は朝から晩まで冷たい雨が降ったりやんだりだった◆日中の気温も9度までしか上がらず、真冬の厳しい気候が思い出される日になった◆東京だけ天気が悪い。あるいは、いい。そんな気象状況の出現は昔から出張族の語りぐさになっている。関東の地勢がかかわるらしい。本州のカドのような場所に位置し、風をさえぎる山が南北になく、太平洋からは海流の影響を受けやすいため、という解説を聞いたことがある◆
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 特に真冬、日本列島の気圧配置が西高東低になると、日本海の湿気を含んだ北風は関東平野の北を取り囲む山脈にぶつかって日本海側に大雪を降らせたあと、カラカラに乾いた空気となって関東平野に吹きおろします。こうなると、特に南関東の空はくっきりと晴れわたり、夜間の放射冷却で地表は冷えこみ、稜線上は北からの強い風が吹きつづけるようになります。南関東のほぼ南端にあたる東京はこの影響を強く受けるので、他の場所と天気がガラリと違うことがよくあります。

 もしかしたら多くの人たちのイメージと違うかもしれませんが、実は東京は、高尾陣場エリア、奥多摩エリア、丹沢エリアと箱根エリアという、一年中様々な楽しみかたができる主要な山塊が日帰り圏内にあり、その全てに電車やバスなどの公共交通機関でアクセスが可能で、登山をたしなむ人たちにとっては極めて恵まれた環境です。真冬でも晴天に恵まれることから、通年途切れることなく山に通うことができます。

 この週末は、今シーズンでもっとも西高東低の気圧配置が強まりました。

2024年11月23日午前9時の天気図。日本列島は西高東低の気圧配置になった。(注1)

 こうなると、もう南関東は雨の心配が必要ない、晴天以外考えられません。ただし、早朝の冷えこみは厳しくなり、風が強めになりますのでそれに応じた準備が必要です。

 早朝の高尾山口駅前の気温は5℃。ものすごく寒いですが、わかっていたので準備はばっちりです。

 高尾の紅葉は先週がピークで、一部ではすでに散っています。天気が良かったからか、高尾山の人出はおそらく今シーズンの最繁忙を更新したのではないでしょうか。早い時間に下山しましたが、ケーブルカー待ちの行列は商店街まで延々と伸びていて、高尾山口駅からの人並みは途切れることなく、続々と登山口方面に押し寄せていました。

 紅葉が終わると、高尾は本格的な冬を迎えます。

早朝の高尾山口駅前を出発。この時間ですでに大勢の人がいました。事実、本日はおそらく今シーズンの最繁忙だったのではないでしょうか。
ご来光!
イヌタデはほとんど終わり。朝日に輝いていました。
アラカシのどんぐりはほとんど成熟して茶色くなっていましたが、一部まだ青いものが残っていました。
足元ではそこかしこに秋の色づきが。
先週はまさに紅葉のピークドンピシャだったのですが、既に散り始めています。
名残のヤマハッカ。この日はこの個体以外花をつけたものは見かけませんでした。
ゲンノショウコも最終盤。
ノコンギクもほとんど終わり。
シロヨメナはまだもうちょっと残っています。
リュウノウギクは、高尾で最後に開花する野菊です。
フユイチゴの実はいっぱいなっていました。
 ヘビイチゴの実は本来初夏になるのですが、この秋の暖かさで狂い咲いた個体を見かけました。それが結実しています。
キレイに色づいたクサイチゴの葉。
今年リンドウは豊作です。
こちらの個体は色が濃いめ。
リンドウにも様々な個性があります。
相模湾の遠景。雲間から光がふりそそいでいます。
相模湾をアップ。江ノ島のシルエットもはっきり見えます。
一丁平の紅葉がキレイに見えます。
高尾山の遠景。支尾根の箇所箇所にキレイに色づいた紅葉が見えます。
今日早朝は雲多めでしたが、徐々に晴れてきました。
(小仏)城山山頂の紅葉は散りはじめています。
城山山頂から富士山の遠景。冠雪して、やっとこの時期の富士山らしくなりました。
今年の富士山の冠雪は観測史上もっとも遅くなりましたが、紅葉に間に合いました。
今年、紅葉に彩られた富士山はこれで見納めかもしれません。
同じく城山山頂から、都心方面の眺望。今日は空気が澄んでいて、都心のビル群の向こうの東京湾、そのまた向こうの房総半島までくっきりと見渡せました。
城山をあとにします。
一丁平の森の紅葉も散りはじめていました。
名残のトネアザミ(タイアザミ)。
一丁平の展望台から、富士山方面。富士山ちょっと雲に隠れています。
センブリの花も最終盤です。
一丁平の紅葉も散りはじめ。
年によっては色づく前に朽ちてしまうことがあるのですが、今年はキレイに色づきました。
ここは日陰なので、緑と赤のコントラストがまだ楽しめますね。
ノササゲの実がなっていました。
高尾山山頂に到着。富士山くっきり見えました。
同じく高尾山山頂から、丹沢主脈方面。空は霞なくクリスタルクリア。
高尾山山頂の紅葉はピークを過ぎています。
すでに二割ほど散っていました。

(注1)
気象庁HP 利用規約に基づく表示

出典:気象庁HP 各種データ・資料 過去の天気図

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