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高尾歳時記 2024年10月13日

 2024年10月8日は、二十四節気の寒露かんろ。次の節である霜降そうこう(10月23日)を過ぎると晩秋に入り、冬は目前となります。寒露を過ぎると朝晩の冷えこみが強くなり、特に早朝、草花は冷たい朝露にぬれるようになります。

 今年はとにかく暑かったですが、10月に入っても、厳しい残暑が続いています。ですが、体育の日の三連休は気温も落ち着き、夏日となる日もありましたが、湿度が低く快適な陽気となり、絶好の行楽日和でした。

 連休初日、12日の高尾山は比較的人出は穏やかでしたが、中日なかびの13日は大変な混雑になり、おそらく今年一番の人出だったのではないでしょうか。午前中に下山しましたが、ケーブルカーの乗車待ちの列が表参道商店街のもみじ橋までのびていたのにはびっくりしました。

 気温は高めですが、季節は確実に進んでいます。早朝の高尾では、草花が暦どおり朝露にぬれる姿をみることができます。そして、花が徐々に姿を消しはじめていることも、冬にむかっていることを実感させます。

 人出が多い日でも、高尾には人の少ない静かなトレイルがあちらこちらにあるのがいいところです。静かなところをめぐってきました。

こちらは連休初日12日の早朝の高尾山口の様子。初日の人出はそれほどでもなかったのですが、翌日13日は大混雑でした。
あっ!道路をサワガニが横切っています。ここは大型車もとおるところ。危ない!
手の中にやさしく握りながら、沢があるところまで運んで放しました。
それにしても、元気なサワガニでした。包まれた手のひらのなかで、足で踏ん張って甲羅を押し上げてぐいぐい手のひらをひらこうとしたり、ハサミではさんだり突っついたりして攻撃してきたり(グローブをしているので大丈夫ですが)、ちょっとした隙間をむりやりこじあけて外に逃げようとしたり。生命を感じます。
高尾は野菊が真っ盛りです。これはユウガギク。ユウガギクは開花がはやめなので、ピークは過ぎていますがまだたくさん咲いています。
カントウヨメナも高尾ではたくさん観察できます。ユウガギクと同じようなところに咲いています。
こちらのカントウヨメナは朝露に濡れています。季節は確実に進んでいます。
シラヤマギクも、比較的はやめに咲く種。ピークは過ぎて、徐々に数が減ってきています。
シロヨメナも個体数は多い。あちこちで見られます。
秋の訪れを告げる花のひとつ、イヌタデはピークを過ぎて、終わりかけの個体を多く見かけるようになってきました。
ハエドクソウはほぼ終わり。
ツリフネソウも終わりに近づいていますが、もうちょっとだけ見られそうです。森ではとっても目立ちます。
キツリフネもほぼ終わり。
ヤブマメも散りはじめていて、終わりに近づいています。
アキノウナギツカミはピークをむかえています。沢沿いに多く見られます。
ミゾソバはピークを過ぎて、徐々に少なくなってきました。
タニソバはピーク。アキノウナギツカミ、ミゾソバとタニソバは、同じようなところに同じぐらい生育しています。
チャノキの花。文字どおり、お茶の葉をとるのはこの種ですが、これは
野生のもの。
ヤマハッカが盛りをむかえています。
ムラサキシキブの実は落ち始めていています。
キバナアキギリは穂の一番上の花まで咲ききりました。もう最後です。
ナンテンハギ。今年は観察できる期間が長い。暑いからでしょうか。
ヤマゼリは沢沿いの湿った環境を好みます。個体数は多い。
オオヤマハコベは終盤。小さいのですが、造形の美しい花です。
マツカゼソウはほとんど終わり。名残の花をつけた個体。
ゲンノショウコもピークを過ぎて少なくなってきました。
カラスノゴマ。個体数は少ない。
あっ!セキヤノアキチョウジが咲いています!
これが咲くと、秋の深まりを感じます。
あともうひとつ、高尾で秋の深まりを感じる花がセンブリなのですが、開花はもう少し先。
アキノキリンソウも、高尾に秋の深まりを告げる花です。
(小仏)城山の山桜は色づいています。カエデは色づきが始まったばかりの頃合い。
アズマヤマアザミ。高尾では多く観察できます。文字どおり、ふもと山中問わずあちこちで見かけます。
アズマヤマアザミに飛来したホシホウジャク。ホバリングしながら、蜜を吸っています。
見た目は蜂のようなので恐れられますが、です。なので、人間には悪さしません。
蛾も含めたチョウ目のなかでも珍しく、空中でホバリングしながら静止することができます。
タイアザミ(トネアザミ)は、高尾で多く観察できるアザミの種です。
ノハラアザミも高尾では個体数が多く、あちこちで観察できます。
(小仏)城山から都心方面。天気は良好でしたが、空は霞が強く遠景は限定的。
同じく城山山頂から、富士山方面。霞が強く遠景がうっすらとしているのと、空の低いところに雲があるので富士山はほとんど見えませんが、よく目をこらすとうっすらとシルエットだけは確認できます。
あっ!これはナギナタコウジュです!
全然珍しい植物ではないはずなのですが、ここしばらく高尾で見かけることは稀になりました。毎年出会えてはいるのですが、数がとても少なく、また毎年全然ちがうところで見つかるので(咲いているところではわんさかいっぱい咲いているのですが)、ことしもほぼ諦めかけていたところでした。
クサボタンはほぼ終わり。
そして、これはクサボタンの実。綿毛でふわふわの実は、森の中でめだちます。
クサボタンの実に似ていますが、こちらはボタンヅルの実。こちらも、森ではたくさん見かけます。
一丁平の展望台から富士山方面。雲に隠れてほとんど見えませんが、頂上付近だけ、霞にまぎれてうっすらとシルエットだけ見えました。
ヤクシソウ。こちらも秋の花。個体数は多い。
ヘクソカズラの実。あちこちで見かけます。
シモバシラの花はもうそろそろ終わりですね。
イヌショウマの花も終盤。
一丁平の森のカエデはほんのり色づいていました。
高尾山山頂に到着。雲に隠れていますが、富士山のシルエットはうっすらと見えています。
同じく高尾山山頂から、丹沢主脈方面。天気は良好ですが、空の霞は強め。
高尾山ケーブルカー山麓駅(清滝駅)前のカエデは、うっすらと色づきが始まったばかりです。高尾山の紅葉の見頃は、例年ですと11月中旬です。


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