高尾歳時記 2024年1月25日
先週末、1月20日は二十四節気の大寒。冷気が極まって、最も寒くなる時期とされます。
それに呼応するかのように、昨日24日はこの冬一番の寒気が日本に近づいてくる予報がでました。日本海沿岸は広い範囲で大雪。そして、この雪雲は太平洋側の一部、近畿地方や東海地方にも流れ込むとのこと。
昨日夜から本日未明までの天気図を見ると、典型的な西高東低の気圧配置になっています。これに加えて、日本海には空気の流れがぶつかって雲が発達する日本海寒帯気団収束帯(Japan Sea Polar Air Mass Convergence Zone、"JPCZ")なるものが発生しており、これが到達する北陸地方を含む日本海沿岸は大雪の予報。
日本海から流れ込む湿った空気は、本州中心に横たわる高い山脈にぶつかり大雪を降らせた後、乾いた空気となって関東地方に吹き下ろします。その結果、特に南関東は空気がカラッと乾き、どこまでも青く晴れ渡る空を伴う好天になります。ただし、冷え込みは厳しい。
本日の天気はまさにその典型。さらに、本日はこの冬一番の冷え込みとなる予報でしたので、入念に準備して夜明け前自宅を出発。夜明けの高尾山口は予想通り抜けるような快晴の空でしたが、気温は零下3℃。めちゃくちゃ寒いですが、準備はバッチリなので大丈夫です。
ものすごく寒いのですが、今年の冬の全般的な傾向は暖冬で、先日のNHKニュースによると、今年の東京の梅の開花はなんと例年より2週間も早いのだとか。
事実、高尾山周辺では先週すでに梅の開花が始まっています。本日裏高尾をウロウロしましたが、もうすでに木全体が色付いている個体もあり、今年の見頃は例年より早まりそうです。
そして、今日みたいに冷え込む日はシモバシラの氷華が期待できるのですが、期待以上の豊作でした。シモバシラはシソ科の多年草で、秋に小さな白い小花が鈴なりに並んだ可憐な花を咲かせます。そのあと、冬になると地上部分は枯れて朽ちてしまうのですが根は生きていて、地中から水分を吸い上げ続けます。すると、吸い上げられた水分が地上の枯れた茎から徐々に滲み出て、それが冬の冷え込みが厳しい夜間に凍りつき、さらに吸い上げられた水分により徐々に押し出されて成長し、氷の花になります。
この過程で、地上の枯れた茎は氷結による膨張と解氷による収縮を繰り返すことでボロボロに朽ちていき、氷の花を咲かせる力も衰えていきます。年末年始に豊作だった某観察エリアはやはり朽ちてしまったらしく、今日はほとんど観察することはできませんでした。一方、もうひとつの観察エリアは、今年は全くの不作だったと思っていたところ、先週末の降雨で地面に水分が供給されたらしく、群生が広がっていました。それだけではなく、大きく立派に成長した個体があちこちに。実に見事でした。
冬の高尾の醍醐味が存分に味わえるルートを巡ってきました。
以下は冬の高尾山で空のコンディションが良い日に実施した山座同定を再掲(撮影日:2024年1月8日)。
参考資料
安藤淳、「第一級換気が南下、大雪の危険高まる」、日本経済新聞、2024-01-24、日経電子版(参照:2024-01-24)
(注1)
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