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五月
2020年10月23日 22:10
本を読むのが好きだ。文章を読むのが好きだ。いや、私はただ、文字を読むのが好きだ。物語性なんか無くてもいい、有益な知識や情報が増えなくてもいい。ただ文字を読むことが好きだ。例えば、ペットボトルのお茶とか、コンビニで買ったシュークリームの裏に書いてある「品名・原材料名・保存方法」とか。トイレの壁に書いてある、頭の悪そうな落書きとか。私はそういうのだって必ず読んでしまう。それくらい好きだ。読む
2020年7月27日 23:47
「嘘も100回言えば、本当になる」と唱えたのは、ナチスの宣伝塔であるヨーゼフ・ゲッペルスである。「もしあなたが十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう。」が直訳だ。そんな経験って、誰にでもあるんじゃないか。自分にとって都合が悪いことが起きた時、言い逃れをするために思わず嘘を吐く。その嘘を何度も重ねていくうちに、いつの間にか自分が吐いた嘘の方が真実であるように錯
2020年3月6日 23:26
戦争に代表される全体主義的思想を支えるのは「気持ちよさ」であり、軽薄な自己が大義に飲み込まれることで人間の凶暴性は解放される。戦争の裏にあるのは大国たちの思惑で、そこには愛国心や世界平和への祈りなど存在しない。兵士より民衆より重要視されるのは、巨大化した軍需産業が利益を得ること。戦後の復活で利益を得ようと目論む企業たちも存在する。企業の利益のために多くの人が死ぬ。それが戦争の意義で、戦争が無く
2020年1月28日 00:42
私には「偉大な小説家は必ず精神を病んでいる」という持論があったから、今まで読んだ本は暗い話が多かったんだけど、その考えを覆した一作。全日本国民に配るべきだとさえ思う。家族をテーマにした短編集で、それぞれのタイトルに植物の名前が当てられていたのが綺麗だった。どの作品も素敵だったんだけど、私のいちばんのお気に入りは『サボテンの咆哮』かなあ。「お父さん、言葉は少ないけれど、お母さん、お父さん
2020年1月24日 23:42
子どもへの虐待のニュースが多く報道されている。そんな中で本作は、ワンオペで育児をする「母」に焦点を当てた小説。すごく新しいな、と思った。ツイッターで、「好きな人の『おかしいんじゃない?』という言葉ほど私を傷つけるものはない」とツイートしたことがある。それは、この小説を読んで感じたことだ。「あの時の考えは、自分が正しかったのではなくて、陽一郎にとっての正解だったのだ」「憎しみではない、