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いつかの「久しぶり」まで


きっと25を超えたらもう切なさで泣くことなんてなくなる。

悠々と過ぎていく景色に身を任せて、

「あのころは良かったね」 なんて

目も合わさずにいうんだろう。


その時僕は限りなく透明で
ただ少しの青を携えた大人になっているんだ。


青春を永遠にしたいから
言葉にしていたのだと知った。

でも僕は、
ただ僕は、
あの夏から僕は
あの日の虜になってしまったんだ。

あれと、あれと、あれと、あれと、

あれも

舌に残って離れない。

2人の体温の代わりに吸った煙草は妙な味がして

それでもこれが好きなんだと思いこんだ

潮風が僕を取り込んで足の砂と一緒に呑まれてく

ぬるくなった酒の缶

海の塩っぽさの奥に本当の君の匂いがする

とける、

とけるとけるとけるとける!

どきどきした。


一緒に買った花火はもう湿気てて

ろうそくは底まで溶けた。


「今どうしてる?」

打っては消して、電話をかける指をギリギリで止めた。


まだあの夏の砂がジャリジャリ奥歯で鳴ってる


新しい夏が来る度に古い夏を思い出そうとするのは悪い癖だ

だって、海水で寝癖が治るわけがない

わかっているのに


「まだ、覚えてる?」

ぜんぶ、覚えてる?


私は覚えてるよ。忘れないよ。

君が忘れたフリした夜も

5%で肩に預けた頭も

「ずっとそばにいて」


2人はそばにはいられなかったね

2人は2人のままだった


いつの日も


でも僕は信じていたいんだ

あの時だけは、僕が君のいちばんだったこと

君の目の奥に入れたこと


いつかの「久しぶり」まで

願ってるよ
祈ってるよ

別になんてことないこと

しょうもなくてどうでも良くて

でもそれが愛おしい

砂に混じってったシーグラス




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