はふはふ

湯気が立ち上る器を前に、私は早くもその誘惑に抗えなくなっていた。
目の前には湯気をまとった熱々のたこ焼き。

串に刺した瞬間に表面のソースがとろりと滑り落ちそうになり、具材の香りが鼻腔をくすぐる。

この一口がどれだけ熱いかは、もちろん分かっている。
しかし、「熱さ」の向こうにある旨みをどうしても待てない。それが私という人間なのだ。

串を口元へ運ぶ。
脳裏をよぎるのは「少し冷ませばいい」という冷静な助言。

しかし、私はその声を振り切り、熱々のたこ焼きを一気に口に放り込む。
すると、その瞬間——舌先が反射的に抗議を始める。

「熱い！熱すぎる！」頬の内側は火傷しそうだし、どうしてこんな無謀な行動を取ったのかという後悔が波のように押し寄せる。

けれども、ここで私は気づく。
今さら吐き出すこともできず、この熱さをどうにかする方法は、ただ冷ますことだけだ。
頬を膨らませ、口の中に小さな空間を作り出し、ふーふーと息を送り込む。

舌の上を転がしながら、熱さと格闘しつつ、その向こうに隠れた旨みを探る。熱さに涙目になりながらも、次第にその「はふはふ」の動作が楽しくなってくるのだから、不思議なものだ。

ふと思う。この行為は、まるで人生そのものではないだろうか。
誰しも、熱い挑戦に飛び込む瞬間がある。
準備不足だと分かっていても、待つことができずに飛び込む。
そして、最初はその熱さに圧倒され、後悔すら覚える。

けれども、その中で冷静さを取り戻し、熱さを受け止めつつ、乗り越える方法を探る。
そうするうちに、挑戦の中に秘められた美味しさや喜びを発見する。

「はふはふ」という動作は、私たちに教えてくれる。
急がず焦らず、けれどもその瞬間を精一杯味わうことの大切さを。
熱さを避けるのではなく、むしろその熱さを楽しみながら、少しずつ進む勇気を持つこと。
たとえ涙目になりながらも、熱さの中に隠れた旨みを見つけることができれば、その一口はかけがえのないものになる。

最後の一口を食べ終えた後、私はふーっと一息ついた。
器の中はもう空っぽだが、その満足感とともに、次の「はふはふ」を求める心が胸の中で静かに湧き上がってくる。
また挑戦しよう。熱さを恐れず、味わいながら生きていこう。
そんな人生の教訓を、この一皿のたこ焼きが教えてくれた。

はふはふするならはじめから冷まして食べれば良いのにと思うでしょうが、やはり出来たてを味わいたいのである。それも美味しさの一つであるから。
焼きたてというのは、温かくてほっこりする。
芋とかも熱々を頬ばるのが美味しいのである。

熱いうちに食べたいので、小籠包もなども熱々まま肉汁を口の中で解き放つ。
猛烈な熱さと旨みが口全体を覆い、火傷しまいとはふはふしてやり過ごそうとする。

コーヒーも熱々をまずはいただく。読書をしていて気付いたらさめていることはあるけど、火傷ぎりぎりをやはり味わいたいのである。

猫舌ではないので、これからも熱々挑戦はしていきますが、舌や頬が火傷しては他のものを美味しくいただけないので、そこは身体の反応と感覚を大事にしていきます。

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