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五感は誤らない、誤るのは判断である

これは有名なゲーテの名言である。

私たちは日々、目で見て、耳で聞き、肌で感じ、鼻で嗅ぎ、舌で味わいながら世界を認識している。
五感は、私たちが生きる上での基盤であり、現実を把握するための唯一の手段といってもよい。

しかし、それにもかかわらず、人はしばしば誤った結論にたどり着く。これはなぜか。
それは、五感そのものではなく、それを解釈し、意味を与える「判断」が誤るからである。

たとえば、目の前に赤いリンゴがあるとしよう。
私たちの視覚は、リンゴの赤を正しく捉え、嗅覚はその甘い香りを感じ、触覚は滑らかな表面を認識する。

これは疑いようのない事実である。しかし、「このリンゴは美味しいに違いない」と判断するのは私たちの思考であり、実際にかじってみたら、予想に反して酸っぱいかもしれない。
この場合、五感が誤ったのではなく、私たちの「先入観」が誤ったのだ。

五感が正確な情報を送っていても、それを受け取る私たちの判断が歪んでいることは多い。
例えば、夜道で遠くに黒い影を見つけたとき、それを「不審者ではないか」と思ってしまう。

しかし、近づいてみればただの電柱だったという経験はないだろうか。
このとき、視覚は「そこに黒い影がある」という事実を正しく伝えていたにもかかわらず、私たちの判断がそれを「不審者」と誤認したのである。

また、歴史を振り返ると、五感の誤解によって多くの誤った判断がなされてきた。
中世ヨーロッパでは、疫病が流行した際に、「悪臭が病をもたらす」と信じられた。

しかし、現代の医学では、病原菌が原因であることが明らかになっている。この場合、人々の嗅覚自体は「悪臭がする」という事実を正しく伝えていたが、「悪臭=病の原因」という判断が誤っていたのだ。

では、どうすれば判断の誤りを防ぐことができるのか。
その鍵は、五感の情報をそのまま受け止めることにある。
つまり、「私は赤いリンゴを見ている」「この場所には黒い影がある」「空気中に悪臭を感じる」という、純粋な感覚のレベルで情報を捉えることが重要なのだ。

それを「美味しそうだ」「不審者かもしれない」「病気の原因だ」と即座に決めつけず、一度立ち止まることで、冷静な判断へとつながる。

また、私たちの判断は、経験や思い込み、環境によって容易に歪められることを自覚することも大切だ。
たとえば、ある人に悪い印象を抱いていると、その人の何気ない言葉さえも攻撃的に聞こえることがある。
しかし、それは聴覚が誤ったのではなく、私たちの解釈が影響を及ぼしているのだ。

五感は、私たちに嘘をつかない。
しかし、判断は誤る。だからこそ、感覚を大切にしながらも、判断を慎重にすることが求められる。

何かを見たとき、聞いたとき、感じたとき——その情報をすぐに解釈し、決めつけるのではなく、一度立ち止まること。その冷静な姿勢が、誤りを防ぎ、より確かな理解へとつながるのではないだろうか。

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クマ犬ぽた&chatGPT

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