【嫌われる勇気】考え方を変えるきっかけになるアドラーの教え【読書メモ】
はじめに
今回は「嫌われる勇気」(岸見一郎 古賀史健 著) を読んでみました。2013年に出版されたときには、どこの書店でも平積みされていたのをよく覚えています。流行に乗り遅れてはいるかもしれませんが、「アドラー心理学」の入り口になる本として読んでみました。「アドラー心理学」は、「心理学」という名で呼ばれながらも、ギリシア哲学の延長線上に存在しているとも言われています。アドラーと言う人物が人間という生き物について何を考えたのか、それが分かりやすく描かれた本です。
今回は、本の内容と合わせて、僕が強く共感し、ためになると思ったアドラー心理学の教えを二つばかり紹介させていただきたいと思います。
内容
この本は、人生において悩みを抱える青年と、哲学やアドラー心理学を学んだ哲学者である哲人との対話篇として書かれています。青年は幼い頃から自分に自信が持てず、自己嫌悪に苛まれながら生きてきました。そんな青年が時にはその教えに困惑し、怒りを覚えながらも、時には素直にその言葉を受け入れることで、アドラー心理学の教えを学んでいきます。読者は、自分が青年になったかのような気分で、アドラー心理学を青年と一緒に学んでいくことができます。
青年は5夜にわたって哲人と対話を繰り返します。各夜が1章として扱われています。
第1夜 トラウマを否定せよ
第2夜 すべての悩みは対人関係
第3夜 他者の課題を切り捨てる
第4夜 世界の中心はどこにあるか
第5夜 「いま、ここ」を真剣に生きる
それぞれの主題に沿って、二人の対話は展開されていきます。
①人は今、この瞬間から変わることができる
アドラー心理学においては、性格や気質のことを「ライフスタイル」という言葉で説明します。思考や行動の傾向のことです。そして行動は人が自分自身が選んで行ったものです。すなわち人はこの「ライフスタイル」を自らの手で選んだ、ということになります。自己嫌悪にさいなまれている人や、自分に自信が持てずに行動に移せない人、そんな人はその様な「ライフスタイル」を自らの手で選び取っているのです。この考え方は一見すると、辛い現実を突き付けてくるだけの様に思えます。
「あなたが不幸なのは、あなたが不幸になることを選んだからだ」
そう言われている気分にもなります。
しかし、この教えが言いたいのは真逆のことです。もし、あなたの選択によってあなたが不幸になっているのなら、あなたは別の選択をすることで幸せになることができるかもしれないのです。つまり「今のあなたを決定するのは今のあなたのライフスタイルであり、過去に何があったとしてもライフスタイルを選びなおすことができる」というのがアドラーの教えです。過去に何があろうと、今あなたが自分のことを嫌いだろうと、今この瞬間に「ライフスタイル」を選びなおし、自分の行動や思考を変えることで、人はいつでも変わることができます。
あなたは今この瞬間から、幸せになることができるのです。
②課題を分離する
「人間の全ての悩みは、対人関係の悩みである」
アドラーの教えの中で、強烈なものの一つです。そしてその悩みを解決する手段としてアドラーは「他者の課題」と「自分の課題」を分離することを提唱しています。そして、「他者の課題」に踏み込まず、「自分の課題」には誰も踏み込ませないことで、悩みは激変すると言います。この分離を行うための基準として「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考えると分かりやすいと言います。具体例があります。
・自分の子供が勉強をしないで遊んでばかりで悩んでいるとしています。しかし勉強することは「子供の課題」であり、「親の課題」ではないのです。
・自分の見た目が他人にどう思われているかが気になってしまうことがあります。しかし自分の見た目をどう思うかは「他人の課題」であり、「自分の課題」ではないのです。
・親が自分の子供に将来いい会社に就職先について欲しいと、期待をかけてしまうことは多くあります。しかし自分の就職先を決め、将来何をするかは「子供の課題」であり、「親の課題」ではないのです。
こうして、課題の分離を進めていくのです。他者が自分のことをどう思おうと、それは他者の課題であるから、それを変えようと努力する必要はないのです。こんな分離を行うことは、今までの人生でしたことは無く、勇気がいる選択かもしれません。そんな「嫌われる勇気」を持つことで、悩みを解消することができるかもしれません。
おわりに
今回私が感銘を受けた教えを抜粋して紹介しましたが、この本にはもっと様々な教えが書かれています。そして「アドラー心理学」の教えに従うかはあなた次第です。何故なら自分の「ライフスタイル」を決めるのはあなた自身なのですから。しかしその「ライフスタイル」を変えるきっかけを欲している人には、是非一読していただけたらいいなと思います。