【GAFAM面接官が明かす】海外で内定を勝ち取るためのSTAR法とは
こんにちはPolymathのイトクです。私は高校を卒業と同時に神奈川の実家を飛び出し、20年前にアメリカに渡りました。コロンビア大学のデータサイエンス大学院を卒業して今はニュヨークのAmazonで人工知能の開発業務に携わりながら、皆さんの理系留学、現地就職をサポートさせて頂いています。
2023年もたくさんのお客様のサポートをさせていただき、ありがたいことに、トップ校への合格者やGAFAMなどのテック企業への就職支援をすることができました。合格や内定を獲得されたみなさん、本当におめでとうございます!今、海外受験に挑戦中のみなさんも、最後まで頑張って、合格を掴んでください!エッセイやレジメのスポット添削も行っていますので、ご興味のある方はこちらからお気軽にご相談ください。海外就職の道は留学から始まります!
アメリカでは、12月は採用活動が鈍化する時期ですが、1月に新しいヘッドカウントが設定されると、企業は採用を本格的に行います。2024年の良いスタートダッシュを切るために、アメリカでの就職に成功するための具体的な方法と戦略を紹介します。私のアメリカ生活20年の経験から学んだ知識と戦略を皆さんと共有したいと思います。
前回は、GAFAMなどのテック企業を目指す際にSTARフレームワークが有効であることを解説しました。まだご覧になっていない方は、まずこちらをご覧下さい。
今日はさらに深掘りし、面接で成功するための回答を準備する際のSATRシート作成のコツを紹介します。
STARフレームワークとは?
行動面接の準備には、STARフレームワークが有効です。これは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Results(結果)の頭文字から成るもので、簡潔で整理された回答を準備するのに役立ちます。このフレームワークは、GAFAMの面接やアイビーリーグ留学のエッセイ作成にも効果的です。
あなたが何を行ったのかが大切
STARフレームワークのポイントは、あなたが担当したプロジェクトを具体的に説明することにあります。チーム全体の抽象的な成果ではなく、あなた自身の具体的な体験に焦点を当てましょう。重要なのは「組織全体の話ではなく、あなた自身が何を行ったか」です。たとえあなたがどんなに優れた組織に所属していても、面接官はその事実よりも「あなたが経験したこと、考えたこと、行動したこと、その結果として何を成し遂げ、そこから何を学んだか」に関心を持ちます。例を挙げる際には、大規模なプロジェクトではなく、具体的かつ詳細な事例に集中することが望ましいです。あなたが直面した課題や成功体験を共有することで、面接官は状況を容易に理解し、あなたのスキルや人柄を深く把握できます。面接官はあなたの所属する組織に興味を持っているわけではなく、最終的には「あなたがどのように貢献するか」を知りたいのです。
例えば、大手総合商社の営業部門でマネージャーとして働いていたとします。この事はあなたにとって誇らしいことで、あなたの部署が扱っている商品、売上の大きさ、担当している顧客のスケールなどを説明したくなるかもしれません。しかしそれらは組織の説明であり、あなた自身の説明ではないためアピールにはなりません。その代わりに、実際にあなたが担当した顧客との個別のエピソードなどを挙げることで、あなたがどのような貢献をしたかを具体的に説明できます。
また、あなたはマネージャーとしてチーム売上を伸ばすためにどのようなプロセスで計画を立て、どのようにチームを率いて実行していったか、その中でどのような課題に直面し、どのように解決していったかを詳しく説明することが重要です。チームメイトとの衝突や記憶に残っている会話など、「ナマナマしい程具体的な例が相応しい」です。
実績や数字で結果を示す
英語にはWeasel word(ウィーズル・ワード)という言葉があります。直訳すると「イタチ言葉」となり、表面的には何かを言っているように見えるが、実際には何も言っていない言葉や、曖昧な言葉などを指します。日本語に完全に対応する表現はないのですが、「回りくどい言葉」「曖昧な言葉」「抽象的な言葉」などが近い意味を持ちます。例えば、very, probably, nice, great, excellent, offen, immediately, usuallyなどが挙げられます。論文では「very good result」などとは言いませんよね。その代わりに「result improved from 80% to 90%」などと客観的な数値で示します。面接や大学のエッセイでも同様で、主観的な形容詞や副詞は「イタチ言葉」です。例えば「優秀」、「熱意」、「素晴らしい」といった言葉はイタチ言葉です。どれほど優秀だったのか、どれほど熱意があったのか、どれほど素晴らしいのかがわかりません。それらの言葉を使わず、客観的な実績や数字で示すことが重要です。
例えば、成績が100人の部署のトップ5%で新人賞を取ったと示すことで、「優秀」という言葉を使わず優秀である示す事ができます。また「熱意」という言葉を使わず、大学の研究室にクリスマスや新年もこもって研究に打ち込んだ、関連する論文を50本読んだ、学会で発表したなどの例を書くことであなたがどのように熱心に学び、成長しているかを事実をもって示すことができます。
もし客観的な実績や数字がない場合でも、顧客からのフィードバックやチームメイトとのやり取りを用いて具体例を示すことが可能です。重要なのは、形容詞や副詞に頼らずに、具体的なストーリーを語ることです。これにより、あなたの価値を効果的に示すことができます。
重複を避けよう
長期的なプロジェクトや大規模なプロジェクトをSTARシートにまとめる際には、エピソードを適切に分割することが重要です。プロジェクトが複数のフェーズに分かれている場合、例えばシステム立ち上げプロジェクトの初期の要件定義、中期の開発、後期のテストなどの各フェーズについて、自分が担当した役割や達成した成果をそれぞれ詳細に記述します。さらに、データベースの設計、フロントエンドの実装、バックエンドの開発など、担当した各タスクごとに別々のSTARシートを作成し、役割や成果を明確に記述します。同じ体験談を繰り返すと、他に実績がないという印象を与えかねません。そのため、長期プロジェクトでは、担当した各タスクに独自のエピソードを記述し、重複を避けることが重要です。これにより、自分の実績をより的確に伝えることが可能になります。
文章は短ければ、短いほど良い
長々とした文章は誰でも書くことができますが、簡潔な文章を書くことは能力がある人にしかできません。あなたはこれまで大学や企業で多くのプロジェクトを行ってきたことでしょう。その中で面接や大学のエッセイであなたのこれまで遂行した全てのプロジェクトを話すことはできません。本当に大切なプロジェクトに絞ることは簡単ではありません。さらに複雑なプロジェクトを簡潔にわかりやすく説明することは難しいと感じるかもしれません。
アインシュタインはかつて、「6歳の子供に説明できなければ、理解したとは言えない」という名言を残しています。この格言は面接やエッセイにも通じます。どんなに素晴らしい実績があっても、相手が理解できなければあなたは内定、合格を勝ち取ることは難しいでしょう。そのために、 「Xを行い、Yを達成した」と一文で書けるようになるまでエピソードを掘り下げていくことが大切です。
あなたのSTARシートの完成度を確認するために、必ずSTARシートの内容をプロジェクトに全く関係のない家族や友人に話してみて下さい。たとえ専門的なDNAの研究や、大規模システムのバックエンドの実装であっても、例えばその分野に精通していないあなたの母親でもスッと理解できるようにわかりやすく説明する必要があります。誰にでも伝わる説明でなければ、そのエピソードを深堀りできていないということです。本当に大切なポイントを絞ることは難しいのです。
新プロダクト開発の事例
以上の説明を踏まえ、STARフレームワークの例をシェアします。
プロジェクト名:Deep Estimates
要約(Xを行い、Yを達成したというフォーマット): 新しいプロダクトを開発し、ブルームバーグ営業賞を受賞した。
Situation(状況)
Bloombergのデータ部でデータエンジニアとして働いていた。
その部署は会社の心臓部でBloomberg端末上の全てのデータがそこの部署で作られていた。
金融知識のあるアナリストが手作業でデータ抽出、調整を行っていた。
大量のデータを扱う中で、手作業でのプロセスは人為ミスを引き起こしやすく、毎日の繰り返し作業も多かった。
Task(課題)
競合企業が全く新しい企業予想プロダクトをリリースし、私のチームを震撼させた。
例えば、これまではCOSTCOなどのスーパーの売上高予測をざっくりと「売上高」としていたところ、新しいプロダクトは「小売売上高」「会員費」、「アメリカ」、「イギリス」、「日本」などとより詳細に内訳を予測していた。
競合に一刻も早く追従すべく、大至急プロトタイプを作る必要があった。そこでトップパフォーマーだった私の名前がディレクター会議で上がった。
Action(行動)
まず私は社内の金融アナリスト10人に聞き取り調査を行った。
投資銀行からBloombergに送られてくる業績予想モデル(エクセル)はフォーマットが各社バラバラで、例えば「売上高」に「会員費」を含めているアナリストがと別々に開示しているアナリストがいることがわかった。
エクセルの業績予想モデルをPython openpyxlで抽出、調整、SQLAlchemyでPostgreSQLを自動更新できるようにした。
各社から送られてくるエクセルの「項目名」をWord2Vecでベクトル化したものと「予想値」をハイパーパラメータとして重み付けして、各社のベクトルをコサイン類似度で測ることで「売上高」と「会員費」を別々に抽出するプロトタイプを作った。
Results(結果)
このプロトタイプを部署のトップ3人にデモしたところ、感激をしてすぐにプロダクション化が決まった。
プロダクション化にあたり、ソフトウェアエンジニア3人、フロントエンドエンジニアとプロダクトマネージャーと3スプリントにわたりアジャイル開発を行った。
製品は「Deep Estimates」としBloomberg端末上でリリースされ、営業チームと一緒に15顧客の元に「データの専門家」として新機能の紹介に同行した。
ニューヨークから日本にも出張し、年間3億円の端末売上に貢献した。
その事が評価されブルームバーグ営業賞を受賞した。
海外就職を目指す方へ
日本人留学生がアメリカで就職を果たす確率は約2%と、決して高くありません。さらに、GAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)などのトップ企業に内定を勝ち取る割合は、アメリカ人を含めても約0.2%程度にすぎません。これは簡単な道のりではありませんが、適切な準備と戦略を立てることで、成功の可能性を飛躍的に向上させることができます。
私自身、そしてPolymathのカイも、Amazonの行動面接をクリアするために今回紹介する方法を用いました。この方法、すなわちSTARメソッドは、私が候補者、そして面接官としての経験を通じて培った知識とノウハウに基づいています。行動面接では特に効果を発揮し、具体的な事例を用いて自身の能力や成果をアピールするのに最適です。
もし、この記事を読んで自分には無理だと思った方はこちらの記事を参考にしてみて下さい。私も初めはスキルも自信もありませんでした。そんな私でも一歩ずつステップアップしていくうちにアイビーリーグを卒業して、ニューヨークのGAFAMで働く事が出来ました。挑戦を繰り返していたら、なんだか遠い所まで来てしまったなと不思議にすら感じることがあります。
私たちは、海外挑戦をする方をサポートするためにPolymathを立ち上げました。優秀で勤勉な日本人が海外でより活躍できるようサポートすることをミッションに掲げており、特に理系留学や海外就職の対策を少人数制で提供しています。ありがたいことに、これまで多くの生徒さん支援をさせて頂き、理系留学や現地就職をサポートをしてきました。中には、未経験からコツコツと必要な科目を履修し、コンピューターサイエンスへの留学を経て、GAFAMの本社に就職された方もいます。挑戦に遅すぎることはありません。そして、挑戦なしに成功はあり得ません。イトクもカイも30歳半ばで大学院に留学しました。みなさんも海外就職に挑戦してみませんか?留学や海外就職についてのご質問や、個別の相談を希望される方は、こちらからお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。
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