読書記録37 自分の守り方
『しんどい時の自分の守り方 10代から知っておきたいメンタルケア』著者:増田史さん(精神科医・医学博士)
「10代から」の文字に惹かれて手に取りました。
最近、子ども向けに書かれたメンタルケアの本が増えているように感じます。
子どもが自分で自分を守る技術を本から学ぶ機会が増えているのが喜ばしいと感じる反面、そうせざるを得ない世の中であることが悲しくもあります。
著者の増田さんも様々な悩みを抱えながら生きている人のようなので、悩みを抱えている人からすると、同じ目線で寄り添ってくれる感じがあり、読みやすいと思います。
前半では、多くの精神科医の著書でも書かれている、何か生きづらさを抱えている人の心を軽くしてくれる内容を教えてくれています。
後半では、セルフモニタリングや、PCOP(ピーコップ)…心理的危機対応プランについて教えてくれています。
今回、PCOPというものを初めて知ったので、とても勉強になりました。
「心のお助けノート」というものを活用することでしんどい時に自分を守ることができるようになっていくということが紹介されていました。
その中で、《コーピングレパートリー…自分で自分の気持ちをコントロールするための行動をリストにしたもの》は、ぜひ実際に使っていきたいと思いました。
コーピングは《行動コーピング…体を動かしたり何か行動を起こす》と《認知コーピング…考え方やとらえ方を変える》の2種類があるようで、それぞれが自分を守るアイテムになってくれそうです。
《行動コーピング》は、体を動かす…なので、「動画を見る」とか、「粘土をこねる」とか。
《認知コーピング》は、考え方を変える…なので、「ま、いっか」とか、「こんなこともある」とか。
他者から「こうすればいいじゃん」と励ましてもらっても、「でも、そうできないから困ってるんだよ!」と、もがいてしまうようなときに、自分はどうすればこの状況を乗り越えられるのかいうことを、元気なときの自分が考えておくというのはとても大切だなと思いました。
「心のお助けノート」は、心が元気なときにつくっておくものらしいです。
とても落ち込んでいるときには自分以外の考えを取り込みにくかったりしますもんね。
それに、「自己決定」は結構大きな力がありますよね。
ということで、この取組は説得力があるし、強い味方になってくれると感じます。
「ストップいじめ!ナビ」のwebサイトから「PCOP」のリーフレットがダウンロードできるようなので、自分のためにも、仕事のためにもじっくり見てみたいと思います。
先日、職場で「精神科医が書いた本は内容がおかしい」という発言をしている人がいました。その人がたまたま読んだ本の内容がよくなかったのか、その人自身が精神疾患に偏見があるのかわかりませんが、これまで色々な本を読んできて、しっかり参考になる本はあると感じています。
人は自分に都合のいい情報をキャッチしやすいという特性があるらしいので、もしかしたら私が自分に都合のいい部分ばかりに目を向けているのかもしれませんが、結構ショックな発言でした。
ただ、自分がいいと思うものを悪いと思う人がいるのも当然のことなので、まぁその人の発言も一つの考え方なのだよなぁ…と、受け入れるのは難しくて、理解はしていきたいです。
そうやって考え方の種類を増やすことが、自分を助けてくれるのだろうと思います。それがこの本に書いてあった認知コーピングですね。
…と、少し愚痴も書いてしまったのですが、その時に感じた不快感も気にしなくていいよと寄り添ってくれるような1冊でした。10代でなくても、しんどい時に自分を守る方法をもっておきたいという人にはおすすめです。
教室にも1冊置いておきたいです。
しかし、こういう本を読むと、学校や先生にいい思い出がない人が多いのを実感します。私もいい思い出がない方ではありますが、結構とんでもない学校や先生がいるんだな…ということを知って驚くことも多いです。
自分が知っている世界は本当に狭いなと思いますし、これから自分が出会う子どもに、そんな嫌な思いはさせないようにしたいと強く感じます。
3月もいろいろな本を読んでいけそうなので楽しみです。
ありがとうございました。ぽくこ
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