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英語を《勉強》から《日常》にシフトするため、工学系の学生に《おススメ》していること (1)《偏食》のススメ

科学技術系の分野では、国内学会誌であっても、英語論文の投稿のみを受け付けるジャーナルが増えています。これと連動して、各大学では、技術英語に関わる教育に力を入れています。

けれども、工学系の学生には、数学や物理は得意でも、そもそも語学は好きじゃない、という人が少なからずいます。
英語で文献を読まなくてはならないとか、卒業要件として、TOEIC*点以上を取らなければならない、という状況は、英語が嫌いな人にとっては苦痛でしょう。

栄養価が高いと言われても、嫌いなものは手をつけたくないもの。抵抗なく食べれるようになるには、やはり、料理法や味付けが決め手になります。

私たちが学校で受けてきた英語の授業は、《教科書》に載った同じテキストを題材にした《勉強》でした。当然、自分が興味を持つ話題もあれば、そうでない内容もありました。でも、ある段階までは、教育の効率上、一斉に同じ題材で学ぶことは避けられません。

でも、それではやはり、英語がいつまでたっても《非・日常》であり続けることになります。特に、この国では、日常生活で英語を使わなければならない機会は、ほとんどありません。
工学系の学生でも、いや、だからこそ、《無理に》技術英語を詰め込むよりも、英語を《日常化》することの方が重要で、早道ですらある、と私は思っています。

そこで、学生には、英語に《馴染む》機会を自分で作るよう、おススメしています。英語が《日常》になる条件は、読んだり、聴いたりする中身が、自分の《好きなジャンル》であることです。内容が《楽しめる》ことです。

野球好きなら英語で書かれた野球雑誌やネットの記事、野球に関する本を読んだり、英語版MLB中継を聴くのも良いでしょう。

旅が好きなら、Lonely Planetシリーズのような英語版旅行ガイドや、もちろん各種旅行記を読むのもおススメです。

誰かのファンなら、その人についての記事や伝記もいい ──ミュージシャンでも科学者でも。iPhoneやiMacの愛好家なら、異能の天才・Steve Jobsの伝記はいいかもしれません。

ミステリー好きなら、Adventures of Sherlock Holmesぐらいから始めて、だんだん長い近年もの、例えば、Stephen Kingに挑戦してもいいでしょう。

寓話が好きなら、George OrwellのAnimal Farmや1984は、英語で読む価値のある、傑作です。

そんなことを話すと、必ず、
「研究上必要な文献を読むだけで精一杯で、とても《遊び》で英語を読む暇はありません」
という学生がいます。
彼/彼女の《好きなジャンル》の読み物が、研究遂行上必要な文献と重なっているならば、それはとても素晴らしいことです。一石二鳥ですよね。
でも、《Burden/重荷》としか感じられないけど読まなきゃならない英語文献を消化するのに追われて、《Fun/愉しみ》あるいは《Opportunity/好機》となるかもしれない読み物・聴き物を楽しむ時間がないのは、《人生》として本末転倒のような気もします。

まずは、現在《好きかも》と思う《ジャンル》で、易しい、短いもの(差込記事やパンフレット程度でもOK)から始め、少しずつ、本格的(というのは、単に難しい、長い、ではなく、本当に自分が好きな、という意味で)著作に進んでいくのがいいと思います。
その過程が、ある種《自分が本当に好きなもの探し》の旅になれば、最高だと思います。

つまり、「英語の勉強」ではなく、「楽しむ」手段が「英語読み・聴き」である状態に至れば、貴重な人生の時間の使い方になります。

レオナルド・ダヴィンチも言っています:
「食欲がないのに食べても健康に悪いように、やる気がないのに勉強しても記憶力が損なわれ、記憶したことは保存されない」

また、英語は日本語に比べると《曖昧さ》を排除する言語なので、《Fun/Opportunity》として身についた言語力は、結果的に、工学系の学生が専門で議論する際に、必ず役に立ちます


結論(1):英語の読み・書きに関しては、「勉強」から「日常」へ大転換するため、できるだけ早めの《偏食(好きなものだけ!》」をおススメします。


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