book #4 「沈黙法廷」と、心の空白の話。
映画「空白」を観た。
みんなちょっとずつ傷を抱えて、日々をそーっと生きている。でも誰かや何かを守ろうとする時、その人の思う「正義」が思わぬ方へ向かうことがあるかもしれない。そこから広がる波紋が、知らない誰かまで傷つけることも。
じりじりヒリヒリ。日常にある繊細な心の描写が、痛くて熱い。心の空白と向き合うのは、エネルギーが要る。
ほぼ同じ時期にドラマ「沈黙法廷」を観て、原作を読みたくなった。
心の中に大なり小なり目を背けたい空白があったとして、それがどうしようもなく心をむしばんでいった時。自分のすべてが空っぽな気がして、感情の矢が一気に内側に向いてしまうこともあるかもしれない。
そんなことを考えた2つの作品。
どちらも(背景やクライマックスは違えど)心に空いたちいさな穴がいかにして広がるのか、知らぬうちにどう傷つけ傷つけられるのか。
空白だからこそ見えてくる「絶望」と「希望」が私の目には印象的に映った。
本の世界に目覚めかけの私には、厚めの小説だー!と思いつつ、ドラマを観ていたこともあり、ずんずん読み進められた。
日々色々あれど、生活はつづく。足元への眼差しの向け方、心はどう満たされるのか、じんわりと問いもつづく。そんなような気分になり、読了。