「日本の歪み」の感想(読書)
「日本の歪み」を読んだ。養老孟司さん、茂木健一郎さん、東浩紀さんの鼎談本である。
なぜ、この本を手に取ったかといえば2022年に公開された三人のシラス放送が面白かったから。こちらすでに公開は終了しているが、YouTubeにダイジェスト版がある。
養老さんと東さんの動画は、YouTubeで度々見ている。養老さんについては事あるごとに見ているので主義主張はぼんやりと分かってきた。著書を読んでいると気づいてくるが、どの本も根本の主張は似てるので、徐々に腑に落ちていってる。
東さんは、主義主張についてはボヤッとしか掴めていない。哲学についての素養が私にはないからだ。それでも氏の動画を見るのは、話のリズムや生き様が心地よいからだ。氏は喜怒哀楽が大きい。自分より年齢が上の方が喜怒哀楽が大きいと妙な安心感があるのだ。
茂木さんについては、未だプロフェッショナルのイメージを覆せていない。ぼんやり掴んだ人間像は、人当たりの良い博愛主義の方であるが、ノッてくると猪突猛進となり、知性が低い振る舞いをする人を忌避するといった感じ。まだ、話のリズムに慣れていない。
私からみた三人の印象はこのような感じではある。その三人の鼎談本である「日本の歪み」は、タイトル通り、日本のココってヘンだよね?をほぼ全編通して語っている。
本編を通して残念だったのは、語り口調が文語に修正されている点だ。書籍にするからしょうがないのだが、私は対談本の類は、その人の語り口調が感じられる文体が好きなので、好みとして合っていなかった。これは批判ではなく好みの話だ。なので、全編通してよそよそしく感じたところはある。
また、テーマについては「それってこうだよね?」「どう思います?」という振る舞いで語られるが、「日本」「SNS」「国家観」などはやはりテーマが大きいのか、個々人が細分化されているのかどうもボヤッとした印象を受けた。何度も何度も読み返せば、自分にとって切れ味の良い指摘や印象に残る一文は見つかると思う。ただ、こうも世の中の共通認識が微妙にずれた世相だと、その切れ味に鋭さを感じず、これが動画ならば楽しく見れられるのだが、文章で読むとどうもボヤッとするというか、反芻というか、対象が4-50歳以上向けなのでは?と感じるのであった。