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ピロリ
2019年9月15日 23:44
首筋にそっと唇を当てる。甘い声が、もう一つの唇の隙間から漏れる。そのまま舌を鎖骨に這わせ、下へ、下へと降りてゆく。肝心の言葉は口から出ない。・・・僕は自分が好きではない。好きではなくなったというべきか。去年までは、自分が好きか嫌いかなどという事は考えたことも無かった。自分には何も無い。その事に気づいてからは、自分をむしろ嫌悪している節さえある。彼女の中心に到達する。
2019年9月13日 22:33
この名前を知ったのは今日。綺麗な月だと思っていたが、まさかそんな名前が付いていたなんて、自分の無知さが露わになり、思わず苦笑いをする。1年で1番美しい月とされ、世間ではお月見をするらしい。けれど、僕はもっと綺麗な月を知っている。・・・『今日の月は綺麗だねぇ』自分のすぐ隣から、楽しげな声が泳いでくる。その声に釣られて、思わず僕も上を見る。星がちらちら光る空で、一際光を放つ丸い月。
2019年9月3日 22:49
あの子が、いる。僕の横に。窓ガラスにふと映ったもの。僕はうつ伏せで携帯をいじり、あの子は僕の隣で横向きになってほっぺたを膨らませている。なんの変哲も無い幸せ。ずっと僕にもたれかかってくれると思っていた温もり。今窓に映っているのは、うつ伏せで携帯をいじる、ひとりぼっちの僕。また、記憶に微かに残る温もりに逃げ込もうとしている。妙に広く感じる。あの子が来た日はいつもとっても狭くて、暑くて、寝苦