この冬、元月曜日のお姉さんは、サンタになります。#ブックサンタ2021
私には秘密基地がある。
高松市にある、ちょっと変わった本屋さん。
その出会いは、唐突だった。
私が前職でMAXに病んでいた時期に、
当時一人暮らしをしていた近所に
ぽっと現れた。
「馴染みの店」という言い方があります。
毎日のようにふらりと立ち寄れて、いつもの店主と軽く立ち話をしたり、友人の部屋のように不思議と落ち着く店。
地元のお客さんにあった品揃えをしていて、今日入荷したオススメの商品についてそっと耳打ちしてくれるような店。
私たちは、誰かにとってのそうした「馴染みの本屋」でありたいと思っています。(ルヌガンガ HPより)
この本屋には、素敵なご夫婦がいつもいて、挨拶をしたり、
ちょっと立ち話をしてくれる。
「本屋だから、お静かに!」みたいなことは、全くなくて。
でも不思議と、騒ぐ人も居なくて。
みんな、心地よいボリュームで、
心地よく、言葉を交わす。
そして、わたしが一番素敵、と思うところは
本屋なら必ずあるであろう、「出版社別」「著者別」のような
すぐに欲しい本を見つけるためのマークがないのだ。
だからわたしは、毎回、宝探しのような気分で、
お店の端から端まで、本とじっくり向き合う。
そのうち、慣れてくると
なんとなくだが
「仕事に悩んでるときに立ち止まりたいぞ」「素敵な言葉と出会えそう」「ちょっとアングラっぽいなココ!」とか
なんとなくの仲間分けが発見できるようになる。
ポップな本を手に取り、レジに持っていくと
「この本おもしろいですよね」と声をかけてくれるし、
なんとなく思い詰めているんじゃないか、みたいな本のときは
「カバーつけますか^^?」と優しく聞いてくれる。
私はいつからか、仕事に行き詰ると
ビジネス書を買い、ここの机でコーヒーを飲みながら
買った本を1冊読んで帰る、というのが習慣になった。
前職は月曜日が休みだったので、月曜日によく通っていた。
なので、いつしか私は「月曜日のお姉さん」と認識されるようになった。
親密さと静けさを大切にし、慌ただしい店の外とは違う時間の流れを感じられる「嵐からの隠れ家」のような空間を作っています。(HPより)
「嵐からの隠れ家」
まさにこの本屋さんにぴったりの言葉だ。
いつしか、気分が落ち込むと決まって、この店に来るようになった。
とても重いものを抱えてくるはずなのに、
店を出るときは不思議と体が浮いているように軽くなる。
この場所は、わたしにとって誰にも教えたくない秘密基地 兼 心のシェルターなのだ。
結婚して引っ越しをしてしまい、距離的に離れてしまったのと
オットの介護が始まり、家から出にくくなってからは
なかなか足が遠のいてしまっていた。
もう月曜日のお姉さんではなくなってしまったが
オットが入院する、わずか数か月の間だけ、
わたしは時々、ここを訪れる。
今日は、取り置きをお願いしていた本を取りにいき、ついでに来週からの仕事に役立ちそうな本を買って読んだ。
そして、ふと壁を見て
素敵なものと出会ってしまう。
わたしが選び、購入した1冊が
日本のどこかに住む、
様々な事情で困難な状況にいるお子さんに届くらしい。
なんて素敵なんだろう。
すぐさま、再び店内をこれでもかという程うろつき、とっておきの一冊を選ぶ。
「誰に読んでほしいか、レシートにメッセージを書いてください」
とオーナーさんに言われた。
宛て先は、「たくさん悩みがあるアナタヘ」にした。
そして、そんな「アナタ」へ、
わたしの大好きな「谷川俊太郎 質問箱」を送ることにする。
親にも、先生にも言えないこと。
でも、聞きたいこと。
かつてのわたしのような「アナタ」が抱える
悩みのヒントが、
この1冊のどこかに、書いてあったらいいな。
届いたらいいな。
この街にはやさしいサンタが沢山いるらしい。
「子どもたちに愛された記憶を残す」
それがこのブックサンタの目指すものらしい。
この冬、元月曜日のお姉さんも、サンタになります^^