カジュアル面談では「あなたのどこに興味を持ったのか」を伝えると良い?500人への調査結果を解説します
カジュアル面談は、候補者と企業側がお互いの貴重な時間を割いて初めてもつ接触機会、お互いに有意義な時間になるよう準備をしたいですよね 。
では、カジュアル面談にきてくれた候補者の方が「実はこれが知りたい」と思っていることとは、なんでしょうか。
知りたかったので、調査してきました。
わたしの所属する採用市場研究所の母体である株式会社ダイレクトソーシングは、スカウトに強みをもちながら、スカウトだけでは解決できない採用課題に取り組むコンサルティングサービスや、ブランディングサービスの提供を行っています。
今回、候補者の方が実はどんなことを知りたいと思っているのか、受けた後の気持ちの変化はあるのかといった調査のレポートを公開しました。
この調査レポートをもとに、スカウトを受け取ってカジュアル面談にきてくれた候補者が何を知りたいと思っているのか。そして、「実際、カジュアル面談でどんな話がもとめられているのか?」について解説します。
このnoteはレポートをご覧になっていなくてもわかるように心がけていますので、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
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前提、カジュアル面談とは「相互理解や関係構築を目的としたコミュニケーションの場」
情報の非対称性が大きい「転職活動」。
カジュアル面談は、候補者にとっても企業にとっても、相互理解の場となる重要な機会です。
市民権を得てきたカジュアル面談ですが、実のところ導入している企業の大半はスタートアップが多く、新卒採用が中心だった企業ではいまだに導入が進んでいなかったり、書類選考通過者のみに実施していたりと、企業によって取り組みかたはさまざまです。
調査レポートからみる候補者側の視点
スカウトを日常的にうけとっている人たちのうち、カジュアル面談を受けたことがある人は7割にのぼります。
一方で、「カジュアル面談をきっかけに転職をしたことがある」という人は全体の2割でした。
「なんだ、カジュアル面談で内定が決まらないなら力入れる必要はないな」と思うのは少し早計かもしれません。
カジュアル面談をきっかけに転職をしたことがある人は22%に留まりますが、「カジュアル面談をうけたことがきっかけでその企業に興味を持ったことがある」というひとは37.8%、この2つの合計は「興味関心」を獲得できた割合とも捉えられます。
「カジュアル面談を受けたことはあるが、それをきっかけに興味を持ったりしたことがない」という7.4%の方に対しては、企業側がカジュアル面談の機会を有効に活用しきれていなかった可能性があります。
カジュアル面談で候補者が本当に知りたいことは
候補者がカジュアル面談に参加するときの気持ちはどれに近いと思いますか?
求人票も添付したスカウトに対しての反応でカジュアル面談にきてくれるのだから、応募意欲は高いだろう、具体的な選考に進む前の情報収集できてくれたんじゃないだろうか、と思いませんか?
実は大半の候補者は「自分のどこに興味をもったのか」を知りたいと思っています。
とはいえ、「あなたのどこに興味をもったのか」をどのタイミングで伝えたらいいか、迷ってしまいそうですよね。
みんな苦手?アイスブレイクの活用法
アイスブレイク、得意ですか?
私は大の苦手です。ついつい本題から入ってしまいたくなる気持ちになります。
周りに聞いても、アイスブレイクで見事に滑ってから自己紹介恐怖症になっていたり、1年中天気の話をしちゃう・・という声も。
アイスブレイクが苦手な方にほどおすすめなのが、先ほどの「あなたのどこに興味をもったのか」をアイスブレイクに入れてしまうということです。
これにはアイスブレイクを気まずい時間にさせない以外にも、2つのメリットがあります。
会話のスタートを肯定から入れる
相手のことをここまでは理解しているという自己開示ができる
アイスブレイクで何を話そうと迷ったときには、ぜひ使ってみてください。
【達人秘伝】カジュアル面談に臨む企業側の心得
わたしの身近にカジュアル面談の達人と呼ばれるひとがいるので、その達人に、こっそりとカジュアル面談に臨む企業側の心得について聞いてみました。
達人の心得1:カジュアル面談は、働く場として検討に値するかを判断してもらうために実施する
達人の心得2:カジュアル面談のゴールは、面談に参加してくれた候補者がポジションとのマッチを認識して、応募してもいいなと思ってもらえる状態
達人の心得3:会話のなかで気を付けるポイント
1.面談じゃなくて面接だなと思われたら逃げられます
必ず「選考ではありません」と宣言しましょう。候補者は面接っぽいなと認識した途端に離脱していきます。志望動機を聞くのはもってのほかです。
2.相互理解が基本、手元のあんちょこがあると便利
選考ではないことは前提として、ポジションの説明用にJDなどの資料を一緒にみながら感想を候補者に聞くことでお互いの理解が深まります。
公開されているJDとは別に、ポジションのことを説明するうえで必要な情報を手元にまとめておくと、候補者の知りたいことに合わせた情報の出し入れがスムーズになります。
3.双方が感じるFIT/UNFITについては正直に伝えましょう
話をしていくなかで、候補者の反応から、候補者が求めるものと自社が提供できるもののバランスが取れていないなと感じることもあります。
その場合も、正直に今組織が必要としている経験、スタンス、スキルについて伝えましょう。
4.機会はこの時だけじゃないことを認識しましょう
候補者のやりたいこと、自社の求める人材も、流動的なものです。
今はマッチしなくても、1年後、2年後は違うかもしれません。
今回応募に至らないとしても長期的に自社を気にかけてくれるファンが獲得できれば、それはひとつの成功です。
おわりに
候補者がカジュアル面談に参加するタイミングは、企業目線の選考フローでいえば初期に位置しています。
企業側からすれば、候補者に対して何の決断も「求めていない」段階のように見えますが、候補者視点の体験でいえば、その時点ですでに現職に残るか、転職をするかの葛藤のなかにいます。
葛藤のなかにいる候補者に対し、候補者が知りたい思っていることをキャッチして情報を提供しながら、背中を押す。一見簡単なように見えて、じつは難しいことです。
カジュアル面談を終え、正式に応募をいただけた場合には、面接も控えていますよね。面接ではお互いに見極めの視点も入ってくるため、留意することも変わります。
候補者から「イマイチだな・・」と減点されてしまうような面接もあり、面談・面接官へのトレーニングの需要も増えています。
次回はこの「候補者からみて減点される面接/加点される面接」についてまとめていきます。
今回取り上げた調査レポートは下記のリンクからダウンロードいただけます。年代、年収別の違いも見えてきますので、ぜひダウンロードしてカジュアル面談実施の参考にしてみてください。