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フィンランドのランチ食堂

フィンランドの中心部から離れたオフィス街には、周辺ビルで働く人たちがランチを格安で食べられる食堂が多くあります。

特に、メーカーのビルが立ち並ぶだけのエリアにはあまりレストランが無いので、こうした食堂がその地域で働く人たちの食事を担っています。

食堂が提携している企業の社員がランチに訪れると、だいたい税金分をカットされた金額で食事をすることができるそうです。
提携企業の社員だけではなく、通常価格なら誰でもここで食事をする事ができます。

そしてこうしたランチ食堂に行く醍醐味は、真のフィンランドの味を知る事ができるという事。
彼らが普段、気取らず食べるもの、観光客の好みなんて聞いちゃいないぜソーリー!というものが味わえます。

ランチ食堂へ

今回は、ヘルシンキ郊外のとあるオフィスビル内にある食堂に訪れました。

オフィスビルの一角にあるランチ食堂。すぐに見つからない入り口から入る。LOUNASがランチの意

この「Ravintola FACTORY」はヘルシンキ周辺にチェーン展開するランチビュッフェレストラン。
カンピなど都心部では一般向けの通常レストランのような形態で、ディナー営業も行っているようです。

ヘルシンキ市内に多店舗展開している
先にレジで会計します

金額は€12.90(約2,000円)。
安くは無いですが、フィンランドだと味や質はそこそこでお手頃なレストランでのランチの平均価格です。
提携企業の社員なら€8(約1,280円)程度になるかと。
こちらも日本円だと安くは無いですが、€8でそこそこの質で食べられる店を探すのはヘルシンキではなかなか難しいかなと思います。

店内の様子

スープ

まずはスモークエンドウ豆のスープです。

真ん中に浮かぶのはマスタード。オニオンと相性が良い

とても家庭的なスープで、ここまで素朴なものは普通のレストランではなかなか食べられなさそうです。
マスタードと刻んだオニオンをかけて食べます。
マスタードぉ?と思ったのですが、これがなかなか合います。
スープは、とりわけ旨い!というわけでは無いけど、ホッとして食べ飽きず親しみ深い味です。

サラダとメイン

次に、サラダやメイン料理をいただきます。

温められた料理たち

サラダはよくあるグリーンサラダや、豆のサラダなどです。
サラダだけで4種類ほどあって、野菜を自分であまり摂らない人には良さそうです。
メインのお料理は「工場のミートボール スモークチーズソース」、「グリルチキンのライムハーブグレーズ添え」とのこと。
その他、ポテトなどの付け合わせもありました。

食べられるだけお皿に乗せました。盛り方が汚くてすいません!ライスの他にパンもありました

お肉は柔らかく味わいも良くて、全体的にそこそこ美味しかったです。
ビュッフェだから気に入ったものを好きなだけ食べられるのは嬉しいですね。

毎日メニューが変わるようで、前日は「ウクライナ風ボルシチスープ」や「カラメルポークリブのゴマ照り焼きソース添え」など興味深いメニューでした!
そんな面白いメニューの時に来ると良さそう。

今週のメニュー

ランチ食堂の定番ドリンク

ローカルの食堂ではミルクやコーヒーなどのほか、Kalja(カルヤ)、英語ではHome beer(ホームビール)というドリンクがお馴染みです。

ライ麦由来の黒い色の飲み物です

ビールと言ってもアルコールは入っていません。
ライ麦を使った少し甘い飲み物です。
アルコールと炭酸のない発酵のニュアンスが残るスタウトビールに甘さを加えた感じでしょうか。
5月のイベント、May dayに飲むSima(シーマ)と似ています。
働く人たちのランチタイムの一服に欠かせないドリンクなのでしょう。

誰もが美味しいと思うかは別として、正直、日本人には未知で珍しい風味です。
うまく説明出来ないのですが、あぁ、フィンランドだなぁ、という味がします!(苦しい)
フィンランドにいても、わたしは普段なかなか飲む機会はないので味わえてよかったです。

デザート

さて、デザートは、フィンランド風パンケーキ「Lettu(レットゥ)」でした。

レットゥは人気なので順番待ちができていました

フィンランドのパンケーキは薄くて膨らみもなくとてもシンプルです。
生地の分厚いクレープみたいな、、具の入ってないチヂミみたいなイメージ。

余談ですが、フィンランド人のダンナを連れて埼玉のムーミンバレーパークに行った時に、ムーミンママのパンケーキのお店があり、お店の入り口に「Lettu」と書かれていました。
彼は、そこで出てきたふわふわのパンケーキを見て、
「これはフィンランドのLettuじゃない!別物のkakku(カック)だ!」
と憤慨していました。

ムーミンママのパンケーキ。こんなに立体的でクリームに覆われていればケーキと言われるのは分からんでもないけど

Kakkuは日本でいうとショートケーキやミルフィーユなどデコレーションされたファンシーなケーキです。
日本の“Lettu”を食べて、
「Lettuがこんなにファンシーでふわふわで美味しすぎるのはおかしい!」
と言っていました。
Lettuはもっとシンプルで庶民的な食べ物とのことです。
子供の頃、ママと一緒に作ったり、学祭やバザーで生徒が手作りして販売したり、フィンランド人の思い出の味のようです。
日本でも家庭で食べるホットケーキってそんな感じなんだけどなぁ。

5月のお祭りMay DayでLettuを焼く大学生

話を戻して、ランチのシメにLettuをいただきます。
ホイップクリーム、イチゴソース、アイスクリームをもりもり乗せています。
フィンランドでアイスクリームはなくてはならない存在です。

もりもりにデコレーション

旨い!
クリームは甘すぎずミルクの味がして、イチゴソースの果物のみずみずしさと程よい酸味が、レットゥやクリームの甘味とバランスを保ってくれます。
コーヒーとともにいただきました。

Lettu自体はモチッとして焼いたバターの香るシンプルな食べ物です。
スモークサーモンやクリームチーズを載せて食べても美味しいですよ。

後片付けは自分で

日本の食堂と同じく、自分が使った食器は返却口で分別して返却します。
ごちそうさまでした!

分別して戻す感じが日本の食堂と同じ

おわりに

ランチ食堂は、働く人たちのお腹を満たす他、地域の高齢者の方の集会場になっていたりします。
(リタイアされた高齢者には割引がある。)
ローカルの人たちが子供の頃から食べ慣れた、飾らない、気取らない、お馴染みのフィンランドの味を楽しめます。

食べ慣れないものもあるかも知れませんが、面白そうだなと思ったらぜひ訪れてみてください。

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