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その弱さを、僕らは笑うことができるのか〜「明日カノ」と「王朝序曲」

「明日、私は誰かのカノジョ」というドラマを見ました。マンガが原作らしいんだけど、私はマンガのことはよく知らなくて、ドラマ版が話題になっているので見てみました。まだ全話は見られていないんですが、このドラマは主人公が複数居て、ひとりひとりの物語をオムニバス形式で紡いでいきます。

その中で、ホストにハマっていく「萌」という主人公の物語が特に気になったので今回はnoteに書いてみました。

結論から書きますと、私は萌の物語、すっっっっっっっっっっごく怖かったです。下手なホラーより怖い。最初は怖いもの見たさで視聴した部分もあったのですが、蓋を開けてみたらほんとにホラーでした…。

萌がホスト「楓(かえで)」にハマっていくさまがめちゃくちゃリアルで、私はホストクラブに行ったことないんですけど、「こういうのありそう」「こういう風なんだろうな」の連続。あと「こういう態度をホストにされたら私もハマるんだろうな」「こうやって人はホスト狂いになっていくんだろうな」というシーンがガンガン出てきて怖い怖い怖い。。。

萌は自分が女性らしくない(男性ウケするルックスをしていない)ことをコンプレックスに思っており、それがもとでホストにハマっていきます。そして大学生だった彼女は、ホストに貢ぐお金を稼ぐために、デリヘル嬢になるのでした。


「明日カノ」とはちょっと話が離れますが、永井路子という作家の本で「王朝序曲」という小説があります。

その中に安殿(あて)という人物が登場します。彼は桓武天皇の息子で、皇位継承者なのですが、心身ともに弱く、父・桓武天皇とも仲はよくない。大切にしていた母を亡くして心がさらに弱った安殿は、こともあろうに、自分の妻の母親(安殿から見て義母)と恋人関係になります。

もちろんこのスキャンダラスな関係に桓武天皇は激怒しますが、安殿は本気で義母を愛してしまっていたのです。


でね、私おもうんですけど、萌だったり、安殿だったりの弱い部分を笑い飛ばすことができるのかなーって。

私は下戸だということもあってホストには今まで縁がないのですが、ひょっとしたらホストクラブに行っていたのかもしれない。好きになった人がホストだったかもしれない。その人に貢ぎたくなっていたかもしれない。お金を求めて風俗に行っていたかもしれない。

生まれた家の関係で、父親と仲が良くなかったかもしれない。スキャンダラスな恋に自分を埋めていたかもしれない。

自分がまともな道を歩んでいるというのはたぶん幻想で、ちょっと足を踏み外したら全然別の道を歩んでいるのかもしれないわけですよ。そういうのってまともな生活をしている人ほど想像しにくいのかもしれないけど(特に安殿の話なんて奈良〜平安時代のことだし、皇族の話だしな…)ね。私も普通の生活してる一般市民ではありますが。


でも私は全然笑えませんでした。今でも笑えないです。私が恐怖に感じているのは、「明日カノ」「王朝序曲」のリアルさとか、人間の業とか、そういうことではなく、自分がドラマ内にいるかもしれないという恐怖です。

あと齊藤なぎささん、お美しくて眼福です。

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