見出し画像

詩 | 穴の中の君に贈る

君はずっと一人、穴の中で生きてきたんだね。

つらかったよね、なんて月並みな言葉を君に贈るつもりはないよ。

なにがきっかけになったのかは、僕は知らない。

穴の中から抜け出した君を、ただ見守ることしかできない。

どうだい?穴の外の世界は?
まぶしいだろう?

君が何100年も穴の中で眠っている間に、みんなどこかへ行ってしまったんだ。

君のまわりにはもう誰もいない。
みんなが作り上げた道も、もはや今、一本も残っていない。

それでも、太陽と青い山と緑の草原と大地はある。

君は歩き始めた。
どこへ向かっていいか、君は途方にくれているだろう。

だけどね、どの方向へ歩いて行っても、必ず今と違う光景を、君は見ることになるだろう。

どこにもたどり着かないかもしれないが、暗く閉ざされた深い穴から一歩踏み出した君に、僕はエールをおくりたい。

君の心に、微かにでも風をおくることができるなら、僕はとてもうれしい。


(384文字)

#毎週ショートショートnote
#エール   #イラスト #デザイン
#僕にできること   #童話
#穴の中の君に贈る #大人の絵本
#詩     #ポエム #HSP
#私の作品紹介   #闇の奥
#短編小説 #今こんな気分

いいなと思ったら応援しよう!

山根あきら | 妄想哲学者
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします