音読のヒーリング効果、素読の効用
私は中学生の頃から本格的に英語を勉強し始めた。教科書を音読するのが好きだった。中学生のときの3年分の教科書は、文字通りすべて音読して暗唱していた。教科書のどのレッスンで登場した単語なのか瞬時に言えるくらい覚え込んだ。
さすがに高校生の教科書を3年分暗記する事は出来なかったけれども、定期テストの範囲に関しては、暗記せずに試験に臨んだことはない。だから、穴埋め問題では外したことはない。
現代文の教科書を暗記することはなかったけれども、一度は音読して読めない・書けない漢字はないようにしていた。
古典と漢文は何回も音読していた。とくに漢文は英語の文法と似ていてけっこう好きだった。
心を込めて読むということはあまりなかったけれども、黙読と違ってメリットがある。
黙読の場合は、読めない漢字や英単語があっても、スルーしてしまうことがあるが、音読の場合は立ち止まらずを得ない。ごまかしがきかない。誤魔化すことができないことが音読のメリットかなと思う。
音読のデメリットは、読むのに時間がかかることと、読むことに一生懸命になってしまって、意外と内容が頭に入って来ないこと。暗記はしやすいのだが。
普通に読書するならば、内容をつかむことが目的だから黙読のほうが良いかもしれない。しかし、試験前には暗記も大切だから音読するのもよい。
で、ここからが本論になるが、試験というものから離れて考えてみても、丸暗記は無駄ではないと思っている。
脳が活性化するからという理由の他に、音読には癒しの効果がある。
気分が落ち込んだとき、声を出して本を読んでいると、たとえ意味がわからずに読んでいたとしても、雑念を消すことができる。余計なことを考えながら音読することは至難の技だ。別に般若心経ではなくても、普通の小説でも、声を出して読むと気が紛れる。
学習という面から考えれば、おおよその意味を理解して音読したほうが効果的だが、必ずしも意味は理解していなくても体に文章というものは染み込んでいくものである。
寺子屋では、古典や漢文の「素読」が行われていたという。子供が読む場合、細かいことはきっと理解できないだろう。しかし、子供の頃に覚えたものがあれば、大人になって思い出すとき、「難しい!」よりも「懐かしい!」という気持ちが先立つだろう。大人になれば、もしかしたら、ある日、意味が氷解することだってあり得る。何も覚えたものがなければ、何も起こらない。
現在の学校教育では、暗記を軽視する傾向がある。もちろん思考力は大切なのだが、頭の中に何の道具もなければ、思考もへったくれもなかろう。もう一度、素読というものの価値を再考しても良いのではないだろうか?
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