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マサランド戸越vol.ゼロで提供したイチジクとチキンのカレーのレシピ公開

先日KOKUYO  THE CAMPUS FLATSで開催した「マサランド戸越 Vol.ZERO」でパールシー料理を元ネタにしたフルーティーなチキンカレーを提供しました。元ネタはSalli Murghiという料理で、salliというのはマッチ棒くらい細長く切って揚げたジャガイモのことで、もともと付け合わせで一緒に食べていたものをのっけてしまえとなったのがルーツ。この料理はパールシーの中で新年やイベントの際に提供されることもあり、新しい催しごとの始まりにちょうどいいなと思った。

元々はドライアプリコットを使ったレシピが多かったのだが、今回はドライイチジクを使用。

パールシーとは

パールシー(parsi)はイスラム教徒に追われる形で10世紀前後にインドに難民として移住してきたペルシャ(現在のイラン)からのゾロアスター教(拝火教)徒の呼び名。「parsi」はそのままペルシャ人を意味する。パールシーたちは正式に難民として認められ、グジャラートやムンバイ、プネーなど西インドに多く定住した。フレディーマーキュリーがパールシーであることは有名で、家ではこういう料理を実際に食べていたかもしれない。

イラン料理店も日本にいくつかある。玉ねぎとトマトベースで肉を煮込んだカレー的な料理が多く、スパイスの入っていないインド料理のよう。パールシーの伝統料理は長年の時を経て徐々にインド化し、スパイスがたくさん入るようになった。

何度か試作をして行き詰まった時、ルーツを辿るために一度イラン料理店に食べに行ってみたところ、フェセンジャンというチキンを柘榴と胡桃のペーストで煮込んだ料理があることを思い出した。

ザクロペーストが手に入らないということでこの時はお店では食べられなかったが、今回はフェセンジャンのレシピも参考にしつつ、ザクロをいちじくに変えつつフルーティなチキンカレーに仕立てた。甘いのでリンゴ酢やレモンなどの酸を仕上げにかけると味が引き締まる。

おすすめ調理器具

今回必要な調理器具:フライパン、ブレンダー、ボウル、はかりなど

・今回のレシピにはブレンダーが必須。どれを買えばいいか悩むけど、入手性と使いやすさという意味でマジックブレット(魔法の弾丸)はおすすめ。パワーはそんなにないけど、スパイスを挽くミルサーとしても使いやすい。

・スパイスや材料をいちいち計量するように習慣づけると料理の上達が早まり、安定して再現性を出せるようになる。今のところ0.1g単位、3kgまで迅速に測れるタニタのデジタルスケールがベスト。使っているときに反応速度が速いのでストレスがない。

・今回は使用しないが、圧力鍋があると料理の幅が広がり、時短にもなるし光熱費の節約にもなる。慣れないと爆発しそうで怖いかもしれないが、時短アイテムとして非常に有効。インドでよく使われている圧力鍋はこちら。少量作るためにも使えるので小回りは聞くが、日本のものの方が性能はいいと思う。

・テンパリングをするときには少量の油でも使えるタルカパンがあると便利。インドの家庭にはだいたいあり、自分もインドで買ったものを8年くらい愛用している。


・揚げ物をするときや炒め物をするときに赤外線温度計を使うと便利。キッチンに置いておいて、玉ねぎを炒めているときに今何度なんだろう?って気になった時などサッと調べてみるのも面白い。

・イドゥリやドーサなどを作るために豆のペーストを作るときはウェットグラインダーが欠かせない。詳しくは→https://philosophycurry.com/wet-grinder


調理上のポイント

肉はマリネしてから表面を強火で焼く

今回はとりもも肉(できれば骨つきが良いが)を使用する。煮込んで仕上げるのも良いが塩と酸でマリネした上で表面を短時間強火で焼いて、最後に軽く煮合わせる方式をとった。マリネ時間を置くことで肉にしっかり味がつき、水分量が保持される。表面を焼いて仕上げることで香ばしいメイラード香が生じてうまみにつながる。温度が上がりやすいのでテフロン加工より鉄のフライパンで焼きたい。

イラン産とトルコ産乾燥いちじくの使い分け

イラン産とトルコ産のいちじくは結構味が違う。どちらも美味しいのだがイラン産の方が小粒でまんまるで、少し酸味があり皮が固い。

よく見るのはトルコ産で、大粒で甘くてしっとりしている。酸味が少なくカットした時の断面が綺麗なのでそのままスナックのお通しで出されたりすることもある。

正直好みの差かもしれないが、酸味も出したかったので今回はイランのイチジクを使用した。

材料

マリネ

・鶏もも肉 450g 一口大に切る
・ターメリック 3g
・チリ 2g
・塩 4g
・ヨーグルト 50g

パウダースパイス

・クミンパウダー 3g
・コリアンダー 7g
・パプリカ 6g
・フェンネルパウダー 1g

そのほか材料

・油 30g
・ギー 18g

ホールスパイス
・カシアシナモン 2g
・グリーンカルダモン 4粒
・シナモンリーフ 2
・クローブ 3

・玉ねぎ みじん切り 400g
・ニンニク・生姜 15gずつ→同量の水でミキサーにかけペーストにする。
・ホールトマト(缶) 60g
・乾燥いちじく 30gを6等分から8等分くらいに刻む。
・乾燥くるみ 15g ぬるま湯でふやかしてペーストにする。
・塩 4g〜
・水 200cc程度

仕上げ

・シンプルガラムマサラ(クローブ・カシア・グリーンカルダモンが1:1:1) 1.5g
・ブラックペッパー 挽き立て 1g
・ナツメグパウダー 削りたて 0.3g
・ 林檎酢 10g

フライドポテト

・今回は冷凍フライドポテトを使ったが、じゃがいもをしりしり器で細切りにしてよく水に晒して揚げて、マッチ棒くらいのフライドポテトを作るのもおすすめ。

作り方

・鶏肉を切る、玉ねぎを刻む、GGペースト、胡桃ペースト、いちじくを刻む、材料を計量するなどの下拵えをする。

・鶏肉は塩とヨーグルトでマリネする。

・油とギーを熱しホールスパイスを加熱。テンパリングは香りを引き出す準備体操。

・玉ねぎはやや細かめに刻み中強火で炒めて色をつけたら弱火に落として、そこからじっくり水分を飛ばす。玉ねぎに火が通ると油が滲み出てくるので、GGペーストを入れて水分を飛ばしながら中強火で炒め香ばしくする。

・ホールトマトを潰しながら炒め、油が分離してくるまで中強火で炒める。トマトが炒め足りないとなんだか初心者の味になるので注意。

・油が分離したらパウダースパイスを炒める。ここで火を通さないと粉っぽくなる。

・マリネした肉は強火で片面1分ずつ焼いて取り出す。

・出来上がったグレイビーに塩、くるみペースト、刻みいちじく、水、焼いた肉を入れて蓋をして10分煮込む。肉から水が出てくるので水分は少なめに追加する。塩は後から足せるので少なめにね。

・煮込みが完了すると油が分離するので仕上げのスパイスとリンゴ酢を加え、最後に5分ほど軽く煮たら完成。

・揚げたジャガイモを乗っけて食べる。お米は炒め玉ねぎを使ったブラウンライスにしたが、パンも合うと思う。

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