川名 紀義

病気のこととか日常とか気ままに。2023年パーキンソン症候群と診断。 デザインディレクター/情報設計・編集/デジタル/AI。株式会社ピージー代表取締役/IT会社取締役CDO。医療情報専門のデザイン+クリエイティブコンサルティング。他にTシャツブランドSIGNS OF LIFE™。

川名 紀義

病気のこととか日常とか気ままに。2023年パーキンソン症候群と診断。 デザインディレクター/情報設計・編集/デジタル/AI。株式会社ピージー代表取締役/IT会社取締役CDO。医療情報専門のデザイン+クリエイティブコンサルティング。他にTシャツブランドSIGNS OF LIFE™。

最近の記事

「タイマー」がある私

私にはウルトラマンのように活動限界がある。 ウルトラマンが地球で3分しか活動できないように、薬が効いている限られた時間しかまともに動けない。 薬が効くまでに1時間ほどかかり、効果が続くのは3時間くらい。1日に薬を3回飲めるとして、合計で9時間ほどそこそこまともに過ごせる時間がある。薬の量にも限度があるので、この限られた「まとも」な時間を効率よく使う必要がある。 医師に言わせると、まだ初期なのにそんなに早く薬が切れる症状(ウェアリングオフという症状)が現れるはずがないとい

    • 世に「棲む」私

      『世に棲む患者』という精神科医の中井久夫さんの書名が心に響くのは、それが私たち患者の存在様態をいくつか言い当てているからだろう。 私のような患者は、もう世の中に普通に「住む」ことはできない。社会のルールは個々の病人を考慮して作られてはいない。私自身、自分はもう1/3くらいは社会的な意味での「人間」ではないと感じている。 人間ではないものが人間に理解を求めても仕方がない。 それでも生きていくためには、社会の仕組みの中で利用できるところは利用していかなければならない。だから

      • Anthropic CEOのダリオ・アモデイのエッセイにおける生物学・神経科学の未来

        生成AIのClaudeを作っているAnthropic社のCEOであるダリオ・アモデイのエッセイをClaudeで翻訳しながら読みました。 Anthropicは、AIの開発に対して極めて慎重なアプローチを取ることで知られている企業で、AIの安全性と倫理性を最重視する姿勢を貫いています。また、同社は「AIの潜在的なリスク」について頻繁に警鐘を鳴らしてきました。 そのAnthropicのCEOが、これほどまでに大胆なAIの未来像を描いているという事実は、極めて示唆的です。特に、「

        • 明日、不健康になっても納得出来る生き方を

          仰ることを慮るばかりですが、健康というか、当たり前の自分があるうちにやりたいことはやっといた方が良いかな。 仕事にフルスロットルできるのも、精一杯遊べるのも、美術館に足を運んだり芸術に打ち込んだり、本を読んで哲学的な思索したり、成功するのも失敗するのも健康なうちに。 明日、不健康になっても納得出来る生き方を。私も動けるうちは、頑張りたいと思います。 ちなみに私は旦那さんの漫画、特に初期の方が好きです。

          ある小学校の先生という例え話。

          その先生は「生徒のため」と言いながら生徒から嫌われている。高圧的で理屈っぽいから誰も言い返せないし、子供の話をきかない。 面白いのは、子供はみんな1+1=2みたいな教えてる内容は正しいって分かってる。子供はそんなに馬鹿じゃない。同時に、先生の行動が間違ってるってこともちゃんと理解してる。 どれだけ1+1=2が当たり前に正しくても、先生自身が正しいかは全然別の話となる。 正しい情報と正しい行動は一緒ではない。知識が正しいからって、それを伝える人の行動も正しいとは限らない。

          ある小学校の先生という例え話。

          毒キノコになりたい。

          病気になると、病気以外のことで気苦労する。 正しい医療情報だけが出回れば、偽医療に引っかかる人がいなくなるという考え方には全く同意しかねます。 誰だって医療機関で病気を発見するわけですから、まず病院にかかっているはずです。 そこで何らかの不和や不信感があって、玉石混淆のネットの情報を探したりするわけですよね。 病院で提供される「医療」というものは、ほぼ医師と患者だけになる結構な密室で、普段熱心に勉強していらっしゃる医療者の方々でも、「患者のため」という名目のもと、相当

          毒キノコになりたい。

          医療分野にデザインとデジタル技術を活用した新事業「exde」

          デザインとデジタル技術を活用した新事業「exde」を立ち上げ、在宅医療の課題解決に取り組んでいます。私たちが開発した「HOME-CARE LINK」は、患者、家族、医療従事者間でデータを共有し、在宅医療の質の向上と業務効率化を目指すソリューションです。 将来的には、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」をデザインとデジタルの力で促進し、より良い医療体験を提供したいと考えています。 exdeのビジョンや取り組みについて、より詳しくお知りになりたい方は、ぜひインタビュー

          医療分野にデザインとデジタル技術を活用した新事業「exde」

          君が大きくなる頃、僕は何になっているんだろう?

          「足どうしちゃったの。怪我したの」 「いやあ、病気してしまいまして」 マンションでエレベーターに乗り合わせたおじいちゃんと会話する。 「病気なんだ。大変だねえ、治るんだろう?」と言われていささか返答に窮する。 「そうですねえ。まあ付き合っていく感じですかねえ」 「子供もまだ小さいのに」 と言われて、またまた返答に窮する。 おじいちゃんも言いながら困っているようである。「子供もまだ小さいのに大変だねえ」 「そうですねえ」 こう言ってはなんだが、仕事で付き合うような優秀な

          君が大きくなる頃、僕は何になっているんだろう?

          検査入院

          検査入院をしています。2週間の予定なのでもう先が見えてきました。 多少窮屈ですが、人は親切です。周囲に対して病人であることを気にせずにいられるし、慣れてしまうと案外引きこもってしまうかも。 ここにいると、ファン・ゴッホが描いたアルルの精神病院の絵が思い出されます。 なんか自分と空間に奇妙な調和というか親和性を感じます。 精神と時の部屋ってこういうの言うんじゃないのかしら。 自分がヒエロニムス・ボスの『悦楽の園』(The Garden of Earthly Delig

          SIGNS OF LIFE™の記事が配信されました。

          SIGNS OF LIFE™のコンセプトの作り方など語ったPRtimes STORYが配信されましたので、是非ご一読ください。 https://prtimes.jp/story/detail/beEZ5LIay4b 写真は若林勇人さん、秋元麦踏さんに撮っていただいたものです。 ありがとうございました。 新作も頑張っておりますんで楽しみにしてください。 株式会社ピージーはこの7月より9年目に入りまして、来年の7月で10周年となります。 色々節目ですので、この一年やりき

          SIGNS OF LIFE™の記事が配信されました。

          はじかれたボールはその後、ネットのどちら側に落下するのか

          だいたい今の私の状態。 ジョジョの奇妙な冒険(私の聖典)「スティール・ボール・ラン」にはこんな言葉が出てくる。 症状が出てから1年半ほど、私もネットに弾かれたボールを見ている感じだ。 正確な病名がつかない僕にできることは多くない。 毎日薬を飲み、そこそこストレッチをし、日常生活を送る。 その間にも理由もわからず徐々に体が動かなくなり、真綿で首を締め付けられるような心境というのは、こういうことかもしれないと思ったりする。 自分に残された時間は有限である(誰しもそうだけ

          はじかれたボールはその後、ネットのどちら側に落下するのか

          私のトリセツ

          昔からヘルプマークはちょっと洗練されすぎていて、もう少し説明してあげた方が良いのではないかと考えていた。「ヘルプ」と一言補うとか何か手はないものかと。 でも、これは無いでしょう大田区さん。多分同じような事考えてるんだろうけど、情報過剰だしチープだし、肝心のマーク小さすぎぃ!縦にぶら下がるのになんで情報は横やねん。ほぼトリセツ。 これぶら下げて歩けるの勇者か魔王だけですよ。 その場にいる人達の言うこと全部聞いてたら、文句無くなったけど役にも立たなくなったという、デザイナー

          私のトリセツ

          「ラブ&ドラッグ」映画の感想

          たまには観た映画について感想でも。まあ結構前なんですけど。 「ラブ&ドラッグ」という映画で、ジェイク・ギレンホール演じる大手製薬会社で働く女好きなMRがバイアグラの発売とともに成績を伸ばしていく姿と、アン・ハサウェイ演じる若年性パーキンソン病を患う女性との恋愛を描いたラブコメディです。 私はジェイク・ギレンホールをかっこいいと思っているので見てみたいと思っていました。あとアン・ハサウェイがきらきらしているのは確かです。 ファイザーが何と言うか、こういうかなりポップな?映

          「ラブ&ドラッグ」映画の感想

          子供は不思議

          小さい子は素直だ。 娘(4)の送り迎えに保育園に行くと、僕の杖をつく歩き方を見て、笑って真似する子ども、おじいちゃんみたいという子ども、どうして杖ついてるの?と素直に聞く子ども、色々といる。 一応傷つく人もいるかもしれないから、「病気なんだよ」と笑顔で伝えている。 でも、うちの娘は「なぜ」とか「どうして」とか一度も聞いてこない。 僕が、娘の友達に笑われているのも黙って見ていた。 「パパの歩き方が変になって気にならないの?」と何度か聞いたが、何も答えない。 手のかか

          子供は不思議

          手を握る娘(4)

          最近、左手が震えていると、娘(4)が面白いものを見つけたようにニコニコして、「パパ、震えてるよ」と握ってくれる。 一緒に歩くとペースを落としてくれたり、むしろ私の手を引くような仕草をみせたり、気を使わせているようだ。

          手を握る娘(4)

          子供を大人の型にはめないこと

          うちの娘(4)そっくりということで家族の間で見解が一致し、奈良美智さんのポスター買う。 娘は、手強い。 息子(11)が大人しかった分なのか、娘は手強い。何度ダメと言っても本は破くし、おもちゃは壊すし、やってはいけないことをやってのける。 ムズムズしたら、我慢できないのだろうか。コントロールには程遠い。 奈良さんの描く作品には、子供の訳分からなさとか、大人に掴みきれないところとか、謎めいた神秘的なところとか、そして確かにある種の悲しみとか孤独とか、良く表現されていると感

          子供を大人の型にはめないこと