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コミュニティ・ディナーの良さ

デンマークでは今、「フェッレスピースニン(fællesspisning)」に注目が集まっているそうで、「コミュニティ・ディナー」と言われています。

今回の記事は、コミュニティ・ディナーについて心理学的に考察したいと思います。

ちなみに、都内では、コミュニティ・ディナーを体験できる場所があるみたいなので、一度行ってみたいと思っています。

コミュニティ・ディナーとは

コミュニティ・ディナーとは、北欧デンマークのアブサロンの様な一期一会の出会いや語らいを楽しむディナーです。
​​アブサロンでは、はじめて出会う人同士で一つのテーブルに座り、大皿料理をシェアしながら一緒に食事をします。思い思いに語らい合っているうちにゆるくつながっていく様子が賑やかであり、あたたかくもあります。
そんな景色を日本でも作りたくて、コミュニティ・ディナーをはぐくむ湖畔の1つのコンテンツにすることにしました。

https://note.com/kohan_note/n/nbfa098d06f9a

コミュニティ・ディナーでは、知らない人同士で食事を食べるみたいです。これは、「孤独対策」になるのではないでしょうか?

孤独感の心理学

心理学(特に、社会心理学)において、孤独感は、自分自身がさみしいと思うことであり、不快な感情として扱われています。孤独感を感じている人は、自分が望む人間関係を築けておらず,現実の関係において誰かとのつながりが感じられないと思っているです。つまり、孤独感は、その人自身が誰かと関わりたいという願望の裏返しなのです。

ちなみに、孤独感については過去の記事で解説しているので、興味があれば見てください。

孤独感を癒すためには

孤独感を癒すためには、本人が望む人間関係を築く必要があります。
例えば、孤独感を感じている人が、他者とのつながりやコミュニケーションを求めているとしましょう。
しかし、孤独感を感じている人は、他者との関わり方に苦手意識があったり、ネガティブな思考で頭がいっぱいになっていたりします。

そのような場合に、見知らぬ人と食事をするといったコミュニティ・ディナーは、孤独感を癒す効果的な施策になる可能性があると思います。

見知らぬ人と話すことが目的になると、緊張して上手く話せなかったり、何を話していいかわからなかったりするかと思うのですが、食事をすることが目的だと、少しハードルが下がるのではないでしょうか。

コミュニティ・ディナーは、そのような場だと想像しています。

コミュニティ・ディナーという場で、誰かと一緒においしいものを食べることで、お互いがポジティブな気分になると思います。

このような他者と共有されたポジティブな感情は、人々の幸福感を高めることにつながります。

ポジティブ感情の役割

バーバラ・フレドリクソンという心理学者は、「拡張−形成理論」というポジティブ感情の機能を説明するための考え方を提唱しました。
拡張−形成理論によれば、ポジティブな感情には、私たちの思考や行動を拡張させ、人間関係を築かせようとさせる役割があります。

ポジティブ感情の共体験

フレドリクソンは、さらに、ポジティブ感情を誰かともに体験することで、幸福感を高めると考え、「ポジティブ共鳴理論」を提唱しました。

ポジティブ共鳴理論によると、ポジティブ感情は単なる感情の共有にとどまらず、相手との関係性を深め、私たちの幸福感を高める役割を果たすそうです。

ポジティブ共鳴理論の特徴

共鳴には、以下の3つの特徴があるそうです。

  1. ポジティブ感情の共有

  2. 相互のケアと関心

  3. 行動的・生物学的同期性

ポジティブ感情の共有

自分と相手の双方でポジティブ感情を共有することで、お互いに相手の感情に共感し理解しようとする姿勢が生まれます。

相互のケアと関心

相手に関心を持つようになり、相手への気遣いが生まれます。

行動的・生物学的同期性

自分と他者の境界があいまいになり、一体感が生まれます。

以上のような特徴から、ポジティブ感情の共体験は、私たちに様々な良い効果をもたらします。

共鳴に重要なもの

ポジティブ感情の共体験において、ソーシャルスキルは重要な役割を果たすと言われています。なぜなら、共体験が生まれるためには、相手との心理的なつながりや、他者への共感が必要であり、それを効果的に行うためにはソーシャルスキルが求められるからです。

コミュニティ・ディナーでの共鳴

コミュニティ・ディナーに参加した時には、誰かと一緒に食事する時に会話を楽しんでみることで、幸福感がさらに高まるのではないでしょうか。
コミュニティ・ディナーに参加する以外にも、誰かと一緒に映画を観て感動したり、誰かと面白いことを共有し笑いあったりすることでも共鳴できると思います。

重要なのは、誰かと一緒に何かを楽しむことでしょう。

参考文献

  1. Brown, C. L., & Fredrickson, B. L. (2021). Characteristics and consequences of co-experienced positive affect: Understanding the origins of social skills, social bonds, and caring, healthy communities. Current Opinion in Behavioral Sciences, 39, 58-63.

  2. Fredrickson, B. L. (2001). The role of positive emotions in positive psychology: The broaden and build theory of positive emotions. American Psychologist, 56, 218-226.

  3. Fredrickson, B. L. (2004). Gratitude, like other positive emotions, broadens and builds. In R. A. Emmons & M. E. McCullough (Eds.), The psychology of gratitude. Oxford: Oxford University Press. pp. 145-166.

  4. Major, B. C., Le Nguyen, K. D., Lundberg, K. B., & Fredrickson, B. L. (2018). Well-being correlates of perceived positivity resonance: Evidence from trait and episode-level assessments. Personality and Social Psychology Bulletin, 44(12), 1631-1647.

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