大手企業の50%が使用していたBCGの『成長・シェアマトリクス』
ボストン コンサルティング グループ (Boston Consulting Group) は、ブルース・ヘンダーソンが作った「マッキンゼー・アンド・カンパニー」と並ぶ外資系経営コンサルティング会社です。
世界的企業上位500社の3分の2がBCGのクライアントで、NO.3のアグベレンが日本好きだったため、日本に第二の拠点を持っている会社でもあります。
今回は、大手企業の50%が使用していたBCGの『成長・シェアマトリクス』について紹介していきます。
ブルース・ヘンダーソン
BCG創始者のブルース・ヘンダーソンは、大学で機械工学を学びハーバード・ビジネス・スクールを残り三ヶ月で自主退学します。
その後、メーカーを3社・コンサルティング会社を1社経験しました。
ヘンダーソンは、どの仕事もしっくりこないので転職を繰り返していましたが、企業や市場の分析に興味があったので、自分でコンサルティング会社BCGを作ることにします。
厳しい採用条件
ヘンダーソンは、BCGの人材を募集する際に3つの条件を出しました。
①ビジネス経験不問
②高度な知的欲求と知的水準を求める
③高給
とくに②の高度な知的欲求と知的水準を求めるでは、ハーバード・ビジネス・スクールでもトップクラスの成績を修めた人間しか採用しない厳しい基準をつくりました。
そのおかげで、20年後にCEOになるジョン・クラークソンが入社してくることになります。
ジョン・クラークソンは、航空機製造にかかる1機当たりの労働投入量は、製造機数が倍になるたびに2割減少する『経験曲線』を見つけました。
経験曲線とは 累積生産量が増加するに従って、単位コストが減少するという経験法則を示した曲線のことで、自動車メーカーフォードやトヨタなどの企業が当てはまります。
『成長・シェアマトリクス』
BCGは、さらに1969年に史上最大のコンサル商品を発明します。
1979年に大手企業の50%近くが利用することになる、BCGの事業分類と資源の集中先をわかりやすく説明した経営ツール『成長・シェアマトリクス』です。
作ったのは厳しい採用条件を突破した、入社1年目の天才コンサルタントでリチャード・ロックリッジでした。
◆『成長・シェアマトリクス』分類
①金のなる木 : 市場成長率が低く、市場シェアが高い製品。
⇒事業の軸となる分類で、基本事業方針は「低成長・高シェアの維持」で、基本財務方針は「投資は最小限に留め、キャッシュの創造源とする」ので金のなる木とあらわします。
②スター : 市場成長率、市場シェアともに高い製品。
⇒金食い虫のスター分類を強化してさらに企業の利益を生み出します。
伸びる市場に①の『金のなる木』から得たお金を優先的に投入します。
③問題児 : 市場成長率が高く、市場シェアが低い製品。
⇒問題児事業では、選別の上で重点的に資金を投入して立て直します。
④負け犬 : 市場成長率、市場シェアがともに低い製品。
⇒負け犬事業は低成長・低シェアなので速やかに売却・撤退すべき分類です。
この新入社員が作った『成長・シェアマトリクス』は、4年後に起きた第四次中東戦争により石油価格が高騰し経済が悪化したアメリカで一番効果の出たコンサル商品になりました。
最後に
今回は、大手企業の50%が使用していたBCGの『成長・シェアマトリクス』について紹介しました。
ボストン コンサルティング グループ (Boston Consulting Group) は、ブルース・ヘンダーソンが作った「マッキンゼー・アンド・カンパニー」と並ぶ外資系経営コンサルティング会社です。
BCG創業者のヘンダーソンは、厳しい採用条件を潜り抜けた優秀な社員のアイディアで事業に悩む経営者たちを救い、経営コンサルタント会社として成功します。
BCGの事業分類と資源の集中先をわかりやすく説明した『成長・シェアマトリクス』は大手企業の50%近くが利用しており、1973年に世間がオイルショックで揺れる中、対応できた数少ないコンサル会社なのです。