カフェイン中毒
今日は2時前に起きて、テレビドラマをBGMに「Fool's mate」1988年4月号を読んでいる。ただ、読み始めたページは音楽の話題ではない。「古代史最前線」という物部氏の伝承と天皇と鍛冶王の伝承という文章や、「日本奇人偉人伝第21話甘粕正彦」と言った文章である。こんな話を載せる音楽雑誌なんて今はないだろう。日本の古代史や戦時中の満州の話は好きである。断酒3日目。
「物部氏の伝承」と「天皇と鍛冶王の伝承」は畑井弘の著書の解説である。畑井弘の「物部氏の伝承」は、大和朝廷で軍事的な職掌を担っていたとされる物部氏であるが、しかし、その一族の実像は茫漠として、いまだ多くの謎に包まれている。記紀の伝承や物部氏の系譜を丹念にたどり、朝鮮語を手がかりに解読を試みると、そこには思いがけぬ真実の姿が浮かび上がってきた。既存の古代史観に疑問を投げかけ、作り上げられた物部氏の虚像を看破する著者独自の論考だ。一方の「日本奇人偉人伝第21話甘粕正彦」は角田房子の1975年中央公論社〈中公文庫〉刊行の「甘粕大尉」の紹介である。
この記事の他にも「Fool's mate」の特徴は、本の紹介でポール・ヴィリリオの「戦争と映画――知覚の兵站術」が取り上げられているところからも普通の雑誌ではない。ポール・ヴィリリオは速度学(ドロモロジー)を提唱し、テクノロジーやメディアの加速度的発達が人間の知覚や行動、社会システムをどのように変容させるのか分析を行ったフランスの思想家、都市計画家、ステンドグラス作家である。
シルヴェール・ロトランジェとの対話による「純粋戦争」と同時刊行された「戦争と映画―知覚の兵站術」では、映画とともに発達してきた光学機器やその製作テクニック(カメラワーク、特殊効果、音響、フィルム編集)などの個別的な技術が総体としていかに戦争という軍事空間において、その戦略技術とともに発展してきたのかが、具体例に即して理論展開される。
もう起きてから2時間になろうとするのだが、コーヒーを4杯も飲んでいる。断酒をはじめてからコーヒーを飲む量が急激に増えてきた。コーヒーに含まれるカフェインは、脳の覚醒作用や解熱鎮痛作用があり、医薬品に使用されることもある立派な依存性薬物である。
カフェインを摂取すると、血液に乗って脳内に入ったカフェインがアデノシン受容体と結びつき、アデノシンが受容体と結合できなくなるため、人は疲れを感じにくくなくなり、人は疲れを感じにくくなくなる。眠気が覚めて体がスッキリとしたように感じるのはこのためだ。ただ、カフェインの摂取を繰り返すうちに、少量のカフェインでは脳へ働きにくくなくなってしまう。これにより、人はいっそう疲労を感じ、それを解消しようとカフェインの量が次第に増えていき、「カフェイン依存症」に陥ることがある。どうも最近、コーヒーを飲まないと落ち着かない。コーヒーを飲まないと体にさまざまな不調が現れるほどではないが、私はカフェイン依存症になったのだろうか?
カフェイン中毒という言葉もある。カフェインの引き起こす症状は、カフェイン自体が持つ神経毒性によって引き起こされる。精神性の症状は『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM-IV-TR)では、同じくカフェイン中毒(caffeine intoxication)として診断コード305.90に分類される。精神症状としては、落ち着きがなくなる、緊張感、感覚過敏、多弁、不安、焦燥感、気分高揚、一時的な不眠症を生じる。重症になると、精神錯乱、妄想、幻覚、幻聴、パニック発作、取り乱す、衝動性などが現れ、酷いと自殺行為に及ぶ場合まである。神経質な人やうつ病、不安障害、パニック障害などを患っている人は重症化しやすく、症状の悪化をきたしやすい。また、身体症状では、胃痛、胸痛、吐き気、嘔吐などの消化器症状、心拍数の増加(時に不整脈)、心筋収縮の促進、心室細動、血流増大、動悸、呼吸が速くなる、頻尿など、循環器の症状のほか、一時的な筋骨格の持久力増進、振戦、むずむず感を生じる。重症化すると、足がつるなどの痙攣を起こし、歩行が困難になる。また、瞳孔拡大や顔が赤くなったり、頭痛を引き起こす。こうなってはもう病気だ。ちょっと気になったのは、重度のカフェイン使用は、摂食障害などの精神疾患に罹患した人、喫煙者、受刑者、薬物やアルコール乱用者で見られ、この人たちは、急激なカフェイン中断で離脱症状を起こすリスクが高いと考えられるという記述だろうか。「受刑者」以外なら全て心当たりがある。カフェイン依存を治そうとすると急いではならないらしい。カフェインを止める時は、突然ではなく、7~14日かけて徐々に減量する必要がある。ただ、私はまだ依存症的な症状は出ていないので気をつけるくらいで良いのではないだろうか。そう言いつつまたしてもコーヒーを飲んでしまう。
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